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先住民族関連ニュース

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聖火リレー1万人が思い継ぐ 25日スタート、コロナ下で機運醸成なるか 道内は6月13、14日

2021-03-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/25 00:16 更新
 新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京五輪の聖火リレーは25日午前、東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の対応拠点となった福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)で始まる。ランナー約1万人が7月23日の東京・国立競技場での開会式まで、121日かけて47都道府県を巡る。ただ、感染収束は見通せず、大会開催とともに聖火リレー実施にも不安の声が根強い。感染対策の徹底で大会の機運を醸成できるかが大きな課題となる。
 リレーの第1走者は、震災発生の2011年にサッカー女子ワールドカップを制した日本代表「なでしこジャパン」の当時のメンバー、高瀬愛実選手(30)=北見市出身=ら16人がグループで務める。お笑いコンビ「サンドウィッチマン」や俳優石原さとみさんらが出席する出発式は一般客を入れず、簡素化する。
 24日、Jヴィレッジ内でのリハーサルでは関係者が紙でかたどったトーチを掲げ、コースを走った。大会組織委員会の橋本聖子会長は記者会見で「安全最優先で進める。万全の体制で運営する」と強調した。
 組織委と各都道府県の実行委員会は、観客の肩が触れ合う密集の回避を呼びかけ、マスク着用や声を出さないように求める。密集が解消されない場合は、当該区間や市町村単位での中断も検討。緊急事態宣言や外出自粛要請が出ている都道府県では公道でのリレーを見送り、点火セレモニーだけを行うこともあるが、組織委は4月27、28日の鹿児島県までは予定通り公道で実施すると公表した。
 道内は6月13、14日に約200人が18市町を走る。初日は函館市をスタートし、胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」に到着。2日目は苫小牧市から、胆振東部地震で被災した胆振管内むかわ、厚真、安平の3町などを経て、札幌市北3条広場(アカプラ)がゴールとなる。(須貝剛、木村直人)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/525324

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環境生活部長に森氏 道部長級人事、48人中30人新任

2021-03-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/24 05:00
 鈴木直道知事は23日、4月1日付の部長級人事を決めた。48人中30人が新任となる大幅な異動となった。環境生活部長に森隆司東京事務所長(57)、農政部長に宮田大食の安全推進監(57)を起用。建設部長には北谷啓幸後志総合振興局長(57)、知事室長には三橋剛経済部次長(55)が就く。総合振興局長・振興局長は新任が8人となる。
 知事は既に、総合政策部長に浜坂真一知事室長(56)、総務部長に藤原俊之総務省大臣官房政策評価広報課企画官(44)、新型コロナウイルス感染症対策監に原田朋弘保健福祉部次長(44)、次世代社会戦略監に中島俊明上川総合振興局長(55)、観光振興監に山崎雅生経済部次長(46)を充てることを決めている。(村田亮)
 このほかの部長級人事は次の通り。
▽会計管理者(危機管理監)野村聡▽道議会事務局長(人事委員会事務局長)青木誠雄▽監査委員事務局長(胆振総合振興局長)花岡祐志▽人事委員会事務局長(アイヌ政策監)長橋聡▽職員監(総務部次長)若原匡▽危機管理監(檜山振興局長)永山秀明▽アイヌ政策監(石狩振興局長)佐藤則子▽食産業振興監(釧路総合振興局長)山口修司▽食の安全推進監(農業経営局長)横田喜美子▽企業局長(地域経済局長)三島斉▽道立病院部長(地域医療推進局長)道場満▽空知総合振興局長(土木局長)白石俊哉▽石狩振興局長(森林環境局長)浜田智子▽後志総合振興局長(建設部技監)天沼宇雄▽胆振総合振興局長(人事局長)谷内浩史▽檜山振興局長(政策局長)槇信彦▽上川総合振興局長(観光局長)佐藤昌彦▽宗谷総合振興局長(水産林務部次長)辻井宏文▽釧路総合振興局長(交通政策局長)菅原裕之▽東京事務所長(計画推進担当局長)加納孝之▽札幌道税事務所長(札幌道税事務所税務管理部長)斎藤正彦
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524957

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中国の個人が「アイヌ」の商標出願、特許庁が拒否

2021-03-25 | アイヌ民族関連
サンケイビズ 2021.3.23 10:24
 中国広東省の個人が日本の特許庁に「AINU」を商標登録出願し、一部のアイヌ民族から「便乗商法だ」などと反発の声が上がっていた問題で、民族の誇りが尊重される共生社会の実現の障害となる恐れがあるとして、登録を拒否していたことが23日、同庁の開示資料で分かった。
 開示資料で、「AINU」が「先住民族であるアイヌのローマ字表記と容易に認識させる」と指摘。アイヌ施策推進法が施行され文化振興への意識が高まる中、「商標を独占的に使用することはわが国の社会公共の利益に反し、公序良俗を害する恐れがある」とした。
 開示資料によると、広東省深センの個人名でスマートフォンケースやパソコンのマウスといった商品の商標として登録が出願されていた。(一方、国内では番組で差別的表現 日テレ社長が謝罪 総務省接待問題に関しても言及)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210323/mca2103231024012-n1.htm

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<日本テレビ>アイヌ差別放映 局の認識甘く、波紋 「歴史学ぶ契機に」 /北海道

2021-03-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/03/24 06:17
 日本テレビの情報番組「スッキリ」で、アイヌ民族を傷つける表現が放映され、波紋が広がっている。認識の甘さに批判が集まった日本テレビは謝罪に追われている。一方、アイヌの側からは抗議や憤りだけでなく、「歴史を学ぶきっかけに」と願う声も出ている。【山下智恵】
 発端は、今月12日午前に放送された「スッキリ」でのお笑い芸人、脳みそ夫さんの表現。アイヌの女性をテーマにしたドキュメンタリー作品の紹介を受け、「この作品とかけまして動物を見つけたととく。その心は、あ、犬」と発言した。内容は事前収録だった。
 放送直後からネット交流サービス(SNS)で問題視する声が相次ぎ、日本テレビは放送当日の午後に謝罪のコメントを出した。脳みそ夫さんも14日に「勉強不足を痛感」とSNSに直筆文書を公開し謝罪した。
 インターネットでは反応が過激化もみせ、脳みそ夫さんを「差別主義」などと指弾する書き込みなどが相次ぐ一方、発言に乗じて「アイヌ民族なんていない」などと分断をあおる発言もあった。
 多くのアイヌが暮らす北海道では反響が大きく、市民団体や政党からも抗議や申し入れが相次いだ。アイヌや研究者で作る「アイヌ政策検討市民会議」は15日、「ネット上の差別する側にどのような影響を与えたのかなどを調査し、メディアとして今後のあるべき姿を再構築すべきだ」と日本テレビを厳しく非難。政府も加藤勝信官房長官が同日の記者会見で「極めて不適切。放送局に厳重な抗議をした」と述べた。
 日本テレビは「担当者に差別に当たる認識が不足し、放送前の確認も不十分だった」と説明するが批判は収まらず、幹部が繰り返し謝罪を重ねる事態となっている。
 「差別的意味に気づかなかったとの日本テレビのコメントはより深刻。個人や放送局レベルの問題ではない」と北海道大アイヌ・先住民研究センター長の加藤博文教授は問題の根深さを指摘する。
 近年、アイヌへの関心や理解が深まり、内閣官房による同12月の世論調査では、アイヌ民族が先住民という認知度が初めて9割を超えた。だが、加藤教授は「先住民族の認知と差別禁止など施策の必要性が結びついていない」と指摘。「諸外国では国の政策が先住民族をどう傷つけてきたか、国のトップが和解のための表現を公に行い、全体に周知を図りけじめをつけてきた」と、日本との温度差を問いかける。
 白老町でカフェを営むアイヌの田村直美さん(49)は中学生の頃から、今回問題となったのと同じ表現でいじめられ「あ」「いぬ」という発音にすら反応するほど嫌だった。「多くのアイヌが苦しんだ言葉。傷ついた人は多い」と話す一方、共生への期待は失わず、「発言は教育の問題など、さまざまな要因がある。さらなる分断のきっかけにするのではなく、アイヌの歴史を学んで知る契機にしてほしい」と訴えた。
 ■アイヌ差別表現を巡る経過
12日午前 日本テレビの情報番組「スッキリ」でお笑い芸人がアイヌ民族への差別表現を使い発言
   午後 日テレが謝罪コメント発表
13日   北海道アイヌ協会が日テレに事情説明を申し入れ
14日   発言した芸人がSNSに謝罪を掲載
15日   加藤勝信官房長官が記者会見で「放送局に厳重注意した」と発言
16日   道アイヌ協会の大川勝理事長が政府に対応を要望。加藤官房長官が再発防止策を検討する方針を示す
18日   日本民間放送連盟の大久保好男会長(日テレ会長)が定例会見で謝罪
19日   道と道アイヌ協会が原因究明と再発防止求める共同声明
22日   日テレの小杉善信社長が定例会見で謝罪。再発防止策をまとめる
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20210324ddlk01040014000c.html

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「スッキリ」にアイヌを「あ、犬!」と言わせたのは日本政府である アイヌへの「ジェノサイド」を謝罪し先住権を認めるべきだ

2021-03-24 | アイヌ民族関連
論座 2021年03月23日
 日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で、「あ、犬」などという、アイヌ(*)を絶望におとしいれる言葉が公然と語られた。これが公共の電波にのって日本中に流された事実に、私は跳ね上がるほど驚いている。
(*) 本稿では、「人」、しかも「誇りある人」という、「アイヌ」がもつ語義をふまえ、単に「アイヌ」と記す。
無関心・差別意識
 「アイヌ」は、アイヌが自己確認のために用いる言葉である。だがそれは、「明治」以降ずっと、あまりに強い負の意味を背負わされてきた。おまけにそれを「犬」と結びつける悪意は、ヘイトスピーチとしてどれだけアイヌを苦しめたかしれない(貝澤正『アイヌ わが人生』岩波書店、93頁;北海道新聞社編『こころ揺らす――自らのアイヌと出会い、生きていく』同社刊、116頁)。

拡大アイヌの歴史や差別問題を学校教育でどう伝えるかについては、かねて議論されてきた=1993年、関東ウタリ会が開いたシンポジウム
 言うまでもなく、日本語では(も)、「犬」はさげすみの言葉として使われている。「犬死に」はその典型だが、「犬の遠吠え」、「犬も食わぬ」などもそうだし、犬を意味する「狗」(く)を含む「走狗」、「羊頭狗肉」も、さげすみの含みをもつ。また俗に警察官を「権力のイヌ」と言う場合もそうである。
 ふつうに日本語を母語とする話者ならその程度の意味は直ちに感じとるはずだが、今回の当事者や放送スタッフがそれを感じなかったのだとすれば、それはアイヌに対する無関心の帰結であろう。
 無関心はふつう心理的・物理的な距離から生まれる。かつて在日トルコ人が、「トルコ風呂」という名前を変えてと訴えたことがあるが、心理的・物理的な距離に甘んじた不明を、私たちは一度かえりみる必要がある。近年では「スペイン風邪」、「中東呼吸器症候群」(=MERS)、「中国ウイルス」(トランプ前米大統領)などという言葉も、同じ問題をひきおこしている。
 差別語としても機能するこれらの背景には、他民族に対する差別意識もおそらく伏在する。「中国ウイルス」の場合は、伏在どころか顕在していた。
 では、「あ、犬」はもちろん「アイヌ」にさえこめられた差別意識は、一体どこから来たのか。それは、語り手個人のアイヌについての無知に由来する部分もあろうが、それを誘発する何かが日本社会にはある。
“被告席”にすわるべき日本政府・北海道庁
 今回、メディアおよび世論は機敏に反応し、日本テレビは直ちに謝罪した。ひとまずこの事実は、当然のこととはいえ良かったと思う。また例えば北海道アイヌ協会が、局としての認識、原因究明や再発防止を日テレに機敏に申し入れた事実も同様である。
 ただ私は、“被告席”にすわるべき当事者が欠けていると思う。そこに、日本政府・北海道庁を座らせるべきである。ヘイトスピーチを行うのは個人だが、それを許す土壌は、政府・道庁によって歴史的に作られてきた。
 元々、日本のアイヌ政策は、とうてい国際的な水準に沿うものではなかった。国連は2007年、「先住民族の権利に関する国連宣言」を採択した。その際日本政府はこれに賛成したが、アイヌに対する先住権の保障を、いまだにかたくなに拒んでいる。
 なるほど2019年に成立したアイヌ新法では、アイヌを「先住民族」と明記した。以前の「旧土人保護法」はもちろん、1997年に施行された「アイヌ文化振興法」を思えば、これは画期的だった。だがアイヌ新法は、先住権(生活様式等をみずから選ぶ自決権、同意なく没収された土地・資源の返還要求権・賠償請求権等)の保障とは無縁である。
 これを保障するためには、アイヌに対して日本政府が行ってきた「同化政策」についての反省と謝罪がなければならないが、政府はそれに背を向ける(杉田「「アイヌ新法」はアイヌの先住権を葬る欠陥法」19年4月17日)。道庁もそうである。2018年、「北海道150年」を祝う大規模な式典・関連事業を行いながら、知事はついに同化政策について謝罪しなかった(杉田「むしろ「シャクシャイン独立戦争350年」事業を」18年8月20日)。
日本政府のジェノサイド
 日本政府・道庁(当初は開拓使)はこの150年、アイヌに対して何を行ったのか。
 アイヌモシリ(アイヌの静かな大地)を「開拓」するために、移民政策を大規模に推進し、アイヌの土地を奪った。アイヌの固有の生活様式(狩猟・漁労・採集)を捨てさせて農作業を強い(ただし「無償下付」されたのはしばしば農地として不適切な土地だった)、アイヌとしての社会・精神生活を破壊し、民族性を自覚できない状態へと追いこんだ。一方、日本語を強制してアイヌ語を消滅へと追いやり、またアイヌとしての固有名を捨てさせて「創始改名」を強いた。
 これが、日本政府がアイヌに対して行った「同化政策」の骨格である。最近、中国政府によるウイグル政策は「ジェノサイド」(民族絶滅政策)だと欧米各国が非難しているが、アイヌに対する同化政策もまた典型的なジェノサイドだったのである。
 そしてこの猛威に翻弄された少数者アイヌは、多数者=和人の社会にあって激しい差別にさらされてきた。多数者さえその多くは貧しい農民であり、厳しい「開拓」労働をよぎなくされ、少数者に対する実質的な加害者となる。くわえて加害を合理化するために、相手は劣った存在だという認知を強めようとする。北海道「開拓」の場合、その武器になったのは、「土人」もしくは「旧土人」という言葉であり、その含みが「アイヌ」という自称と分かちがたく結びつけられた。その時、誇りある「アイヌ」さえ、痛ましいことだが、アイヌ自身によって避けるべき禁忌の言葉となる。
 今日、アイヌの権利擁護・福祉に関わる「北海道アイヌ協会」が、発足後15年目(1961年)に、「北海道ウタリ〔=同胞〕協会」と改称したことに、それは象徴的に現れる。その後およそ50年、「先住民の権利に関する国連宣言」が出た後に、同協会はようやく「アイヌ」を協会名に復活させることができたのである。
人を「殺す」差別語
 総じて差別語は、人を比喩的な意味で「殺す」。「チャンコロ」=中国人はかつて文字通り殺してよい対象と見なされたが、在日コリアンに対する「チョン(コ)」、被差別民に対する「(ド)エッタ」といった差別語は今、ヘイトスピーチとなって当事者を不安・絶望に追いこんでいる。
 かつて日本人は「ジャップ」と呼ばれたが、これは「ベトナム戦争」中に南ベトナム解放民族戦線について言われた「グーク」、「ベトコン」と同じように、相手の人格性を抹殺する言葉である。アフリカ系アメリカ人等に対して使われる「ブラック」等も、そうである(杉田「「ブラック企業」の修飾語「ブラック」の使用はやめるべきだ」20年6月22日)。
 漢字文化圏では、文字においても同じ問題がおこる。「害」の字は使わないでほしいと、しょうがい者はしばしば訴えてきた(杉田「「障害者」ではなく「しょうがい者」と記そう」21年3月4日)。
 「あ、犬」は、日本において絶対的な少数者であるアイヌにとって、自己確認をさえ困難にするという意味で最悪の差別語に属する。「ジプシー」も、そう呼ばれた民族にとって屈辱的な語だが、まだしも彼らは「ロマ」という自称をもち、今日ではこの語が一般に用いられる。だがアイヌの場合は、誇りある自称自体に、和人によって差別的な意味がこめられてしまっている。
 そして社会的・経済的等の差別・被害を、今でもアイヌは受け続けている。
日本政府・道庁の立ち遅れ
 カナダやニュージーランドでは(最近ではオーストラリアのヴィクトリア州でも)、入植者が先住民に加えた被害を検証する作業が進められている。だが日本では、そうした試みの端緒さえない。
 なるほど去年(2020年)開設された「民族共生象徴空間(ウポポイ)」およびその一部をなす「国立アイヌ民族博物館」の展示を見ると、苛酷な同化政策の片りんをかいま見ることはできる(杉田「「民族共生象徴空間」(ウポポイ)になぜ慰霊施設があるのか」20年8月5日)。だがそれは、いかに国立とはいえあくまで博物館としての展示にすぎず、政府や道庁が正式に被害事実を究明し謝罪するのとは、まったく意味が異なる。究明・謝罪がなされるためには、それを明示した政策が不可欠だし、最終的にはそれは先住権を保障し差別を禁ずる立法に結びつかなければならない。
 道庁の姿勢も変わらない。道庁は2月、次期アイヌ政策(2021~25年度)の基本となる「北海道アイヌ政策推進方策」の素案を公表した。ここに同化政策に関する記述はあるが(2-3頁)、おざなりなものである。
 ここに見るように、アイヌ新法施行後も道庁は旧態依然とした姿勢を見せている。
 2019年9月、紋別アイヌ協会の会長が、許可を申請せずにサケを捕獲した。だがそれは法律違反だと、道庁は紋別署に刑事告発した(朝日新聞北海道版19年9月6日付)。ちなみに2020年にサケ捕獲は行われなかったが、それは同会長が体調不良だったからである(同20年9月6日付)。もし許可申請なしに捕獲したなら、道庁は再び同氏を訴えたであろう。
 また、「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会)は、サケ漁をアイヌ固有の先住権と認めさせようと政府・道庁を相手に提訴したが、道庁は政府とともにこれの棄却を求め、また無許可のサケ捕獲に漁業法上の根拠はないと、あえて主張している(同12月18日付)。
 だがこうした姿勢こそ、改められなければならない。アイヌ政策の最前線の役所として、むしろ日本政府をけん引すべきではないのか。
重要なのは不正義の究明・謝罪と先住権の保障
 さて、アイヌ新法にさえいまだにアイヌを観光資源として見る根強い傾向がある中で、アイヌに対してとってきた政府・道庁の不正義がまともに追及されず、謝罪されてもいないという現実を、私たちは重く見るべきである。
 そうした政府・道庁の姿勢は、いやがおうでも日本社会ににじみ出る。私は「ウポポイ」は重要な施設だと思うが、アイヌ政策がこの水準に止まるかぎり、アイヌにとって自己確認の手立てとなる民族衣装・祭祀等さえ経済的・観光的な資源としてしか認められず、むしろアイヌに対する偏った民族観を強めかねないことを恐れる。
 重要なのは、アイヌがその文化・価値を、固有の権利(先住権)として実現できるよう保障することである。そのためにも、政府・道庁はこれまでの同化政策(ジェノサイド)の不正義を究明・謝罪して、アイヌを「二級市民」におし止める力学を解体しなければならない。
 そして政府や道庁が、究明・謝罪の過程と同時に、アイヌに保障されるのは特権なのではなく日本政府が剥奪してきた固有の権利なのだと、学校教育を含む多様な機会に、また多様なメディアを駆使して、国民にていねいに伝えるのでなければならない。
 それらの努力なしには、アイヌに対する差別はなくならない。
杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021032100004.html

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「アイヌ」商標登録拒否、特許庁

2021-03-24 | アイヌ民族関連
共同通信 2021年3月23日10:23
 中国広東省の個人が日本の特許庁に「AINU」を商標登録出願し、一部のアイヌ民族から「便乗商法だ」などと反発の声が上がっていた問題で、民族の誇りが尊重される共生社会の実現の障害となる恐れがあるとして、登録を拒否していたことが23日、同庁の開示資料で分かった。
 開示資料で、「AINU」が「先住民族であるアイヌのローマ字表記と容易に認識させる」と指摘。アイヌ施策推進法が施行され文化振興への意識が高まる中、「商標を独占的に使用することはわが国の社会公共の利益に反し、公序良俗を害する恐れがある」とした。
https://jp.reuters.com/article/idJP2021032301001500

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高橋尚子さん「変化のきっかけに」 東京五輪組織委、再スタート

2021-03-24 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/03/23 00:06
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は22日、森喜朗前会長の女性蔑視発言を受けて女性理事を増やした新体制で初の理事会を開いた。男女平等を含む多様性を推進するための「TOKYO2020宣言」策定も決めるなど、新たなスタートを切った。
 女性理事12人を新たに迎え、理事45人のうち19人が女性となって、比率は4割を超えた。理事会の冒頭、新任の中京大の來田享子教授は「せっかく出会えたので、何か新しいものを生み出せたら」とあいさつ。理事会後に取材に応じたマラソンの五輪金メダリスト、高橋尚子さんは多様化の推進について「4、5カ月で解決する問題ではない。五輪・パラリンピック後に社会でどう変化があるか、きっかけとなる大会になるようにしっかり土台作りを進めていく」と語った。
 アイヌ文化を伝える北海道登別市の刺しゅうサークル「登別アシリの会」の芳賀美津枝代表も加わった。芳賀さんは理事会で「人間を含め自然界すべての存在に意義があって役割がある」とアイヌの世界観を紹介。「しっかり頑張りたい」と意気込みを語った。
 新体制での理事会の雰囲気の変化について、組織委の武藤敏郎事務総長は「ジェンダーに関する質疑がかなり増えた」とコメント。「新鮮な目で見て、新しい風を吹き込んでいただいた」と歓迎した。【松本晃】
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/sports/mainichi-20210323k0000m050001000c.html

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台湾オードリー・タン「ハッカーとしての素顔」 オープンソースとシビックテックへの思い

2021-03-24 | 先住民族関連
東洋経済 2021/03/22 10:00

台湾にさまざまなイノベーションをもたらし続ける、台湾デジタル担当政務委員大臣のオードリー・タンさん。彼女のこれまでの仕事と思考について、オードリーさんへの丹念なインタビュー取材を元にいきいきと描き出した『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』より抜粋してご紹介します。
今回は、彼女の過去の特筆すべき活動のひとつ、シビックハッカー・コミュニティ〈g0v〉への参加と〈萌典〉の経緯についてです。
オードリーがデジタル担当大臣として入閣した2016年からさかのぼること4年前に始まり、彼女が今でも参加し続ける、シビックハッカー・コミュニティ〔g0v(零時政府)〕(ガヴ・ゼロと読む。以下〈g0v〉と記載)。
シビックハッカーとは社会問題の解決に取り組む民間のエンジニアのことで、台湾における彼らの数は、世界でも3本の指に入ると言われている。シビックハッカー内にもさまざまなコミュニティが存在しているが、その中でもソフトウェアのソースコードを開放する〈オープンソース〉に関心のある者が集うコミュニティから〈g0v〉は生まれた。
数字のゼロを使った〈g0v〉という名称は、政府の略称が、government に由来した〈gov〉であるのに対し、彼らは「政治をゼロから再考する」というスタンスを表したもの。
「『なぜ誰もやらないのだ?』と聞くのをやめて、まずは自分がその『やらない人』の1人であることを認めよう。万能な人は存在しない」。これが彼らのモットーである。私自身も耳が痛くなる言葉だ。
従来の社会運動にテクノロジーコミュニティを結び付けることで、環境や労働など、社会問題をテーマにしたプロジェクトに取り組んでいる。2年に1度、国際サミットを開催したり(2018年には30カ国近くが参加)、総額1000万元以上のシビックテック・イノベーション助成金を発行するなど、その規模は決して小さくない。
オードリーを語るとき、この〈g0v〉は重要なキーワードだと言えよう。2014年の〈ひまわり学生運動〉でもオードリーは〈g0v〉のメンバーとして貢献しているし、入閣後は自らプロジェクトを実行することはなくなったものの、今でも〈g0v〉のSlack(チャットルーム)に入り、やりとりは続いており、時には問題解決をサポートすることもある。2020年のコロナ禍でマスクマップを開発したのも、彼女が〈g0v〉と共に行ったことだ。
ここでは〈g0v〉のあらましと、オードリー自身がそこで手がけたオンライン言語辞典の〈萌典 moedict〉を紹介する。
きっかけは、台湾史上最悪の広告
〈g0v〉が始まるきっかけとなったのが、2012年2月に行政院が打ち出した〈経済力推進プラン(原名:経済動能推升方案)〉の動画広告だ。ちまたでは「台湾史上最悪の広告」と呼ばれている。
この動画広告で流れるナレーションの拙訳は以下の通り。
「〈経済力推進プラン〉とは、何でしょうか? 私たちはわずかな言葉で簡単に説明して、皆様にご理解いただきたいと強く思っています。ですが、わずかな言葉数では、こんなにたくさんの政策を説明することはできません。
なぜなら、経済発展のためには完璧な計画が必要であり、それでこそ経済は動き出せるのです。
だからこのプランは当然複雑になります。 重要なのは『たくさんのことが今、加速して進行中』だということです。これを実行すれば、間違いない!」
開いた口が塞がらなくなるような、まったく中身のない内容だが、これは当時の政府が実際に流した広告なのだ。
これに対して、「政府は国民のためにあるものなのに、政策を説明せずに進めるのはおかしい」と立ち上がったのが、高嘉良(ガオ・チャーリャン)、吳泰輝(ウー・タイフォイ)、陳學毅(チェン・シュエイー)、郭嘉渝(グゥオ・チャーユー)ら4人のシビックハッカーだ。彼らは、台湾Yahoo! 奇摩が主催したハッカソン〈Yahoo! Open Hack Day 2012〉に参加し、政府の予算データをオープンデータ化してみせた。
台湾Yahoo! 奇摩主催のハッカソン〈Yahoo! Open Hack Day 2012〉に参加した高嘉良(写真左)ら、4人のシビックハッカーたち。賞金5万元を獲得した(出典:オードリー作成 〈萌典與零時政府〉)
ハッカソン(Hackathon)とは、ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を組み合わせた造語で、エンジニアやデザイナーらが一定期間、集中して開発作業を行うイベントのことである。IT業界では頻繁に開催されているもので、特定のチームを組み、意見やアイディアを出し合いながら制限時間内に出したアウトプットで成果を競う。
行政ごとの各支出項目とその額について年単位での推移を可視化(出典:零時政府 中央政府総予算)
上の図を見てほしい。これは、行政ごとの各支出項目とその額について年単位での推移を可視化したものだ。たとえば「社会保険」にまつわる総合支出は年間およそ1971億元で、そのうち最も多い支出は労働部管轄の「労働保険業務」のおよそ1454億元。2020年の予算配分は前年比で+17.23%ということが、一目でわかる。 
2カ月に1度、ハッカソンを開催
これをきっかけに、プログラマーの高嘉良(シビックハッカー・コミュニティでは愛称〈clkao〉と呼ばれることのほうが多い)とその妻、作家でドキュメンタリー監督の瞿筱葳(チュー・シャオウェイ、愛称:ipa)が共同発起人となり、〈g0v〉は2012年末に設立された。〈g0v〉の代表的な活動の1つが、2カ月に1度開かれる70〜100人規模の大ハッカソン。市民から自発的に議題を上げてもらい、そこに政府の関係者や専門家などに加わってもらいながらオープンな場で討論するというもので、誰でも無料でエントリーすることができる。
2020年10月24日に開催された〈g0v〉ハッカソンの様子。子どもから大人までがリラックスした雰囲気でさまざまなプロジェクトを進行していた。このときも会場に高嘉良の姿があった
この〈g0v〉において、オードリー自身の手でメンテナンスされた唯一のプロジェクトが、2013年1月のハッカソンで提案・開発され、今でも台湾で広く使われているオンライン言語辞典〈萌典 moedict〉(以下、萌典と記載)だ。
この〈萌典〉には、約16万もの台湾華語(北京語が台湾にローカライズされて台湾独特の表現が増えたもの。とくにその差を強調する必要のある場合を除き、本書では「中国語」と記載している)、約2万の台湾語(ホーロー語)、1万4000の客家語が収録されており、英語、フランス語、ドイツ語の対訳が付けられている(日本語訳のボランティアに名乗りを上げたいところ。有志求む)。
台湾で最も権威ある国語辞典のウェブ版
もともと台湾の教育部にも、1996年に公開されたウェブ版の〈重編國語辞典改定本〉というものがあった。台湾華語の定本として貴重な辞書であり、公開以来の17年間で訪問回数は約2億回と、多くのニーズがあることをうかがわせる。ただし、このウェブ版は公開後ほぼ更新されていない。そのため、スマートフォンやタブレットでは閲覧できず、外部によるリンクの設置が許可されているのはトップページのみで、下層の個別ページへリンクを設置する際には許可が必要など、使い勝手に大きな課題があった。
教育部によるウェブ版〈重編國語辞典改定本〉(出典:オードリー・タン作成〈萌典與零時政府〉)
2013年に開かれたハッカソンに、アメリカからオンラインで参加した教授の葉平(イエ・ピン)は、この〈重編國語辞典改定本〉をオープンデータ化することを呼びかけ、それに応えたオードリーを含む30名ほどのハッカーらが、夜通しの作業でこの〈萌典〉を開発した。同年3月23日のハッカソンから始まり、ローンチ(公開)したのはその翌日だったというからものすごいスピードだ。その後、数カ月の審議を経て教育部はこの〈萌典〉を認可し、現在では毎月数百万もの訪問がある、台湾になくてはならないツールとして定着した。
ちなみに、若い世代の日本人なら誰しも〈萌典〉の「萌」という文字が気になるところだと思うが、これは教育部(Ministry of Education)を表す略称〈MOE〉の発音が、ちょうど日本の若者を中心に流行した、可愛いという意味の「萌え」の発音と同じであったこともあり、この名前を付けたという。こんなところに思いがけず日本とのつながりがあったことに、嬉しくなってしまうのは私だけではないはずだ。
〈萌典〉の使い方はとても簡単だ。前頁の写真を参考にしてほしい。たとえば、「國語」を調べるとこのように結果が表示され、各説明文内の単語をマウスオーバーすると、さらにそれぞれの言葉の意味が表示される。中国語は、日本語と同じ漢字であっても、筆順や止め・跳ね・払いなどの筆画が違うものもあるが〈萌典〉ではそれぞれの漢字の筆順まで見ることができて、音声読み上げ機能もある。
オードリーは、「一つひとつの言葉にパーマリンク(それぞれに独立した重複しないURL)が必要で、それをシェアしやすいようにすることが大切」だと話す。実際、「國語」について記載されているページのURLをFacebookでシェアしようとすると、写真のようなOGP(ページ情報)が表示される作りになっている。
シェアしやすいように考案された〈萌典〉のパーマリンク
また、〈萌典〉は〈重編國語辞典改定本〉を基盤としながらも、後から複数の辞典の情報が追加されることでその網羅性をさらに高めている。そのため〈萌典〉内で同一の内容に関して異なる表記が存在することも起こりうるが、その場合、アクセスしたユーザーらにどちらが正解かの判断を求め、最適解を探る仕組みが採用されている。実際、とある誤植に関しては、18日間で5602人もの参加者により補正されたことがあるという。
「言語の保存・継承」にデジタルで貢献
台湾には、政府に認定されているだけでも16の原住民族がいて、それぞれ文化も言語も異なる。原住民族とは、17世紀頃に中国大陸から漢民族が入ってくる以前より、もともとこの地で暮らしていた先住民族のことだ。台湾の中国語で「先住民」とは「すでに存在しなくなった」という意味合いがあるため、政府公認で「原住民族」という表記が使用されている。その中でも最大の人口を持つアミ族(約21万人)についても、翌2014年のハッカソンで、専門の〈アミ語萌典〉が開発されている。なんと、わずか53時間で8万語以上のアミ語が登録された。
2014年のハッカソンで開発された、台湾最大の原住民族アミ族専門の〈アミ語萌典〉
多民族国家である台湾ではほかにも、古くから使われていた台湾語や客家語、台湾華語など、言語文化の保存と継承が重視されるようになってきている。また、年々増加する海外からの移民の言語にも向き合おうとしている最中だ。さらに逆に台湾から海外に移住した台湾人の中に、「自分たちのルーツである台湾華語を子どもたちに継承していきたい」というニーズもある。このように、オードリーら〈g0v〉のメンバーは、台湾にとって重要なテーマである「言語の保存・継承」にシビックテックやオープンソースといった概念で大きく貢献した。
中国語の学習者であり、人に物事を伝える仕事に携わる私自身も、日々の執筆の際にほぼ毎日、この辞書に当たっている。台湾で使われている中国語(台湾華語)は、同じ北京語でも中国で使われているものと単語や意味合いが大きく異なる。だが、日本で一般的に流通している北京語の辞書がカバーしているのは中国版であるため、ほぼ使うことができない。
だから、安心して参照できる情報の拠り所があるというのは、本当にありがたいことこの上ない。こうして言語が継承され、学習され、台湾の文化の礎となることに対して、〈萌典〉の存在は重要な役割を果たしていると言えよう。
著者:近藤 弥生子
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/business/toyokeizai-414987.html

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「理解足りてなかった」 差別表現問題 日テレ社長一問一答

2021-03-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/23 05:00
 日本テレビの小杉善信社長の記者会見の一問一答は次の通り。
 ――なぜこのようなことが起こったのか。
 「理解が足りていなかったことに尽きる。事前にVTRを撮っているので、制作から放送までの時間が短かったとはいえ、そこで気付くことはできた。プロデューサーが出演者と相談しながらコメントを考えるが、これはまずいぞというアンテナが極めて鈍感であったと言わざるを得ない」
 ――プロデューサーはどう考えていたのか。
 「大丈夫かなと思った。考査部門に相談しようか、したほうがいいなと思ったが失念した、と本人は話した。多少認識していたというのは、この場合は認識していなかったのに等しい」
 ――他の人が気が付かなかったのはなぜか。
 「プロデューサーが内容チェックを含めてやっているのが『スッキリ』。プロデューサーが大丈夫と言っているということで、上司が、大丈夫なんだろうと思ったということだと思う」
 ――再発防止策は。
 「どういう検証番組にするのかは現在検討中だが、公表する。複眼チェックは徹底したい。アイヌ民族、広い意味での差別に関することを学んで理解する研修、勉強会を制作部門のみならず全社的に行いたい」
 ――アイヌ民族の方々への対応は。
 「北海道アイヌ協会の皆さまには連絡を取らせていただいて、できれば直接お会いしておわびし、今後の再発防止策についてご意見を頂戴したい」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524487

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「AINU」の商標登録拒否 特許庁、今年2月に

2021-03-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/23 05:00
 中国広東省の個人が昨年3月、日本の特許庁にアルファベット表記の「AINU」の商標登録を出願していた問題で、特許庁が今年2月、登録を拒絶していたことが22日、分かった。アイヌ民族と無関係の個人が出した商標登録を認めた場合、アイヌ民族の誇りが尊重される社会実現の障害となるおそれがあり、公共の利益などに反するとした。
 「AINU」の商標は中国広東省深圳市の個人が携帯電話やスマートフォン用ケースなどの商品を対象に出願。商標は読み方も含めて登録されるため、登録が認められた場合は「アイヌ」「あいぬ」など同じ読み方の文字を使う類似商品も販売できなくなる可能性があった。
 特許庁は登録拒絶の理由として、「AINU」の文字は北海道の先住民族であるアイヌの人々のローマ字表記との認識が一般的だと指摘。一個人が商標として独占的に使用することを認めた場合、アイヌ施策推進法に規定された「全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」の実現を妨げ、公序良俗を害するおそれがあるとして、2月25日付で出願者側に登録拒絶を通知した。(金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524485

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日テレ幹部に総会出席要請 差別表現問題で道アイヌ協会

2021-03-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/23 05:00
 北海道アイヌ協会(札幌)の大川勝理事長は22日、日本テレビの小杉善信社長の会見を受け、「番組の内容を考えた担当者の認識の甘さは問題だが、確認を怠って放送したテレビ局の責任はより重大だ」と強調した。社長を含む同局幹部に札幌市内で6月に開く同協会の定例総会への出席を要請し、経緯を直接説明するよう求める考えを示した。
 同協会は13日、今回の差別表現はアイヌ民族全体に関わる重大な問題とし、同局に番組制作の経緯を文書で回答するよう申し入れていた。大川理事長は「社長には会見だけでなく、北海道に来てアイヌ民族に直接謝罪してほしい」と話した。(田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524484

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アイヌ民族差別表現 「考査部門通さず放送」 日テレ社長が謝罪

2021-03-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/22 22:25 更新
 日本テレビ系列の情報番組「スッキリ」でアイヌ民族への差別表現があった問題で、番組は制作過程で内容が適切かどうかを点検する考査部門を通らないまま放送されていたことが22日、明らかになった。同局の小杉善信社長は同日、都内の本社で開かれた定例記者会見で「アイヌ民族の皆さま、関係各方面の皆さまに深くおわび申し上げます」と陳謝。再発防止策をまとめ、検証番組を放送する考えを示した。
 小杉社長は、差別発言があったコーナーは事前に収録され、コメントは社員プロデューサーと差別発言をした出演芸人が相談して決めたと説明。同局は放送内容を事前に点検する考査部門を設けているが、プロデューサーは番組の制作過程で「(コメントについて)大丈夫かなと思ったが、考査部門に相談することを失念した」と話しているという。
 同局には考査部門による放送前の事前点検を義務付ける規則はなく、差別発言があった番組はプロデューサーのみが点検していた。小杉社長は「アイヌ民族の皆さまが差別を受けてきたことの理解が足りず、誠に恥ずべき制作過程だった」と述べた。
 同局は、番組内容について複数の立場から点検する体制づくりなど再発防止策をまとめ、検証番組を放送する方針。アイヌ民族や差別に関する勉強会を全社的に実施することも検討している。
 会見には小杉社長と福田博之取締役執行役員が出席し、冒頭、深々と頭を下げて陳謝。小杉社長は「アイヌ民族の歴史や文化を学び、理解し、伝えるという取り組みを全社的に徹底したい」と述べた。(大沢祥子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524426

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五輪組織委が多様性社会へ宣言 ジェンダー平等明確に

2021-03-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/22 20:33
 東京五輪・パラリンピック組織委員会は22日、東京都内で理事会を開き、大会を契機に日本が真の多様性を備えた社会となるよう「誰もが生きやすい社会を目指すTOKYO2020宣言」(仮称)を策定することを決めた。会場入場者に、選手らに対する性的ハラスメント目的との疑念を生じさせる写真や映像を記録、送信、作成することを禁止することも明らかにした。
 会議では小谷実可子スポーツディレクターをトップとした「ジェンダー平等推進チーム」が検討してきた取り組みについて報告。表彰式のメダルプレゼンターについて、男女のバランスに配慮する方針を明らかにした。
 五輪マラソン金メダリストの高橋尚子さん、パラリンピックのアルペンスキー金メダリストの大日方邦子さん、アイヌ文化を発信する「登別アシリの会」代表の芳賀美津枝さんら、男女平等の推進のため新たに選任された女性理事12人が初めて顔をそろえた。
 高橋さんは「今の東京大会は社会の人たちと気持ちが少し離れている。組織委、アスリート、社会の三つをしっかりとつなげられる発信をしていければと考えている」と意気込みを述べた。芳賀さんは「アイヌ文化、歴史を知らない方が多々いる。この五輪・パラを機会に理解していただく」と抱負を語った。
 理事会に先立ち、日本スポーツとジェンダー学会長で新理事の一人である來田享子さん(中京大スポーツ科学部教授)が、役職員を対象に「五輪憲章とジェンダー平等」をテーマに講演した。
 組織委は森喜朗前会長が女性蔑視発言で辞任。橋本聖子新会長の主導で女性理事を増やすことになり
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524413

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登別の芳賀さん「アイヌ文化理解へ職責全う」 五輪組織委理事会に初出席

2021-03-23 | アイヌ民族関連
登別の芳賀さん「アイヌ文化理解へ職責全う」 五輪組織委理事会に初出席
北海道新聞 03/22 22:47 更新
 22日の東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事会には登別市のアイヌ刺しゅう団体「登別アシリの会」代表、芳賀美津枝さんも初出席した。芳賀さんは大会のテーマ「多様性と調和」を念頭に、「アイヌの文化と歴史を正しく理解してもらうために職責を全うしたい」と抱負を語った。
 芳賀さんはアイヌ文様を刺しゅうしたマスクを着け出席した。あいさつで「天から役目なしに降ろされたものは一つもない」というアイヌ民族に伝わる言葉を紹介。全てのものに存在意義や役割があるとの世界観で「アイヌ文化、歴史を知らない方が多くいる。皆さんに理解していただけるよう頑張りたい」と述べた。
 冒頭を除き、非公開で行われた理事会では、五輪聖火リレーの新型コロナウイルス対策や、ジェンダーに関する取り組みについて意見を交わしたという。芳賀さんは「実りある会議だった。大会を契機に、先住民族やジェンダーなど多様性を尊重する社会をつくるために発信を続けたい」と話した。(木村直人)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/524413

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ポプラ並木は残った 渡辺創

2021-03-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/21 11:20
第一報を聞いて北大キャンパス(札幌市北区)に急行し、自分の目を疑った。高さ30メートルあるポプラ並木がごろん、ごろんと倒れている。突風で青葉が宙を舞い、樹液が強く匂った。
 2004年9月8日。台風18号による暴風雨が全道に大きな被害を与え、札幌では最大瞬間風速50・2メートルを記録した。
 ポプラは背が高い割に根は浅く、風に弱い樹種だ。並木はひとたまりもなかった。51本のうち19本が倒れ8本が傾いた。
 1903年(明治36年)に植樹された並木は大学のシンボルとして親しまれる。札幌を代表する観光名所でもある。どうするべきか議論が巻き起こった。
 隣接地の水田はイネの多様な品種を育て遺伝資源を保存してきた。この保護を優先すべきだとの意見が根強かった。台風による倒木以前から老朽木の危険性も指摘されていたため、北大は代替の「平成ポプラ並木」を400メートル北に造成していた。
 一方、壊滅的な打撃を受けた並木の様子が報じられると、その再生を望む声や寄付が大学内外から続々と寄せられた。
 当時の中村睦男学長の決断は速かった。「ポプラ並木は北大だけのものではなく国民の共有財産でもある。学内の英知を集め後世に受け継ぐべきです」
 林学や工学など学内の専門家らと協議を重ねた。新しい苗木を植えるだけでなく、状態の良い倒木2本は生かすことにした。重さ30トンもあるポプラを植え直す世界的にも例のない試みだった。「あえて困難に挑戦することが、北大が受け継いできたフロンティア精神を生かすと考えました」。取材した際、穏やかに答えた姿が記憶に残る。
 並木再生を指揮した平井卓郎名誉教授(70)は「中村さんは人の話に丁寧に耳を傾け、事が決まると実務は現場に任せていました」。大組織の北大は縦割りになりがちだが、当時は横の連携が密だったと振り返る。
 2004年は国立大学が法人化された初年度だった。北大も大がかりな組織改革を手探りで進めていた。ともすれば研究実績や予算獲得など目立つ仕事に気を取られがちだが、中村学長はそうではなかった。
 当時の副学長だった中村研一名誉教授(72)は「声が聞こえにくかったり、陰になったりした所に手を差し伸べた。いま残っているものには必ず意味がある、と学内の小さな組織や機関にも目を配っていました」。
 国立大法人化は大学の自主性を高めて創意工夫を促し、学長に権限を集めることで組織の活性化を目指す狙いがあったとされる。だが北大前学長が解任され、旭川医大学長も解任請求を受けるなど機能不全が生じている。国からの予算は削られ、学問に専念できる環境が失われたという指摘は少なくない。
 法人化から十数年を経て、その功罪を洗い直す時期に来ているのだろう。制度に加え、どんな人物がトップに立つかも組織の進路を左右する。
 中村睦男さんは昨年4月17日に81歳で亡くなった。専門の憲法学での業績の大きさはもちろん、アイヌ文化振興法の制定に携わるなどアイヌ民族の権利回復に力を尽くした。学長としての仕事は多岐にわたるが、中村さんでなければ並木再生プロジェクトは実現しただろうか。
 一周忌を前に、ポプラ並木を訪ねた。新しく植えられた木々は幹こそ細いが、こずえの高さは古い木と遜色ない。
 枝先に焦げ茶色の小さな芽が並んでいた。春はもうすぐそこだ。今年もきっと、柔らかな若葉が風にそよぐことだろう。その様子を想像しながら、中村さんの温顔を思い浮かべた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/523904

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