Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

映画「Timbuktu」@ロッテルダム国際映画祭2015

2015-01-28 08:33:33 | Movie
今年のロッテルダム国際映画祭で見た二本目の映画は「Timbuktu」でした。Timbuktu(トンブクトゥ)はアフリカのマリ共和国にある都市の名です。砂漠の真ん中にある町で、古くは栄えた町だそうで、私は知らなかったのですが、名前を聞けばアフリカの砂漠の町の名だとピンとくる人も多いようです。
モーリタニア出身のアブデラマン・シサコ監督の作品で、イスラム過激派に支配された砂漠の町で侵攻しつつある静かな恐怖が描かれています。民族音楽が要所に使われ、砂漠の町の雰囲気がとても感じられます。
武器をもった支配グループは、住民たちに、音楽を禁じ、女性にはスカーフ、手袋の着用を強制し、よそからやってきた支配グループのメンバーは地元の美しい女性を気に入り、彼女やその家族の意思に反し、無理やり結婚させたりします。
むち打ち刑や石を頭に投げて行う処刑など、残虐な行為も見せています。
支配グループのリーダー的人物はリビアからきており、地元の言葉はしゃべれません。タバコを吸うのは禁忌であるのに、リーダーは隠れて吸ったりしています。
イスラムの名のもとに、理不尽なことが進められており、住民たちはときには口答えしたり、密かに音楽を楽しんだりしていますが、武器をもった支配グループには太刀打ちできるはずもありません。静かに、恐怖の支配が進んでいきます。
その地域が逃避しようとする人もいるのでしょうが、やはりずっとその土地で暮らしてきた人々ですから、貧しく厳しい砂漠の土地ながら、その美しい寂寞とした風景に愛着を感じ、恐怖をかかえながらもそこで暮らし続けることをひとつの抵抗として示している内面の意志を感じます。
ストーリー的には細かなことで、ちょっと疑問というか、どうしてと思うところもあるのですが、すごく町で起こっていることの恐怖とやるせなさが画面から溢れていて、とてもよかったです。
体調は良好です。