Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「終わらざる夏」

2015-09-07 08:15:57 | Book
浅田次郎著「終わらざる夏」を読了。
上、中、下の3巻からなる長い物語。第二次世界大戦終了の1945年8月15日前後の話です。舞台は、千島列島の先端にある占守(シュムシュ)島です。
この島に陸軍の先鋭部隊がいたことを知りませんでした。というか、この島のことをまったく知りませんでした。また、終戦になっているのに、この島にソ連軍が攻め込んできたことも知りませんでした。そして、島にいた兵隊たちはその後シベリアなどに抑留されます。
この本では、終戦近くなって召集された40半ばの翻訳書編集者片岡、岩手の田舎で育ち3度も兵役に着き殊勲を挙げた荒くれものの鬼熊、岩手の医大をでて帝大で勉強中に召集された医師菊地など、それぞれの登場人物の人となりが描かれ、いかに戦争が人の人生を踏みにじっていくかを感じさせます。
また、ソ連側の兵士の物語も入っており、敵味方なく、個々の兵士はみな戦争で一つの駒として扱われており、戦争が終わり家に戻ることを切望しています。
日本の軍隊の戦略が失敗し、最後のほうはもうぼろぼろの状態で戦争を続けたことがわかります。
占守島の歴史にも触れられており、昔はアイヌの人々が住んでいた平和な島だったそうです。
いろいろな話が盛り込まれており、読みごたえのある本でした。
戦争とは直接関係ないですが、この本で、はっとした文章は、
「自分が幸福を感じたとき、その幸福がいったい誰によって、何によってもたらされたかのかを、必ず考えなければならない。そうでなければ幸福を受けとめる資格がない」
です。幸せを感じても、誰によってそれがもたらされたかを考えたことはないなあと思いました。でもその都度考えて、感謝することは大切なことでしょう。
それにしても日本の現代史をよく知らないので、こういう本でもっと知りたいと思いました。
体調はOKです。