Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「罪の声」

2017-03-02 15:17:41 | Book
塩田武士著「罪の声」を読了。
グリコ森永事件を題材にしたフィクションです。企業名などは別の名になっていますが、事件の推移などは事実を元にしています。
私自身、記憶にある事件だったので、興味があって読みました。
未解決事件は気持ちが悪いものです。この本のなかで、このグリコ森永事件はオランダのハイネケン事件にヒントを得たのではないかという指摘があります。ハイネケン事件は、オランダのビール会社の社長ハイネケン氏が誘拐され、身代金要求が行われ、犯人たちは身代金を手に入れます。ハイネケン氏は無事解放されています。犯人たちは逃亡しましたが、少したってから、逮捕されています。しかし、お金は大部分が行方不明のままです。
この本の犯人たちは、著者の考えた架空の人物たちですが、ほんとうにいそうな感じがしてリアルでした。
この事件で、犯人たちが指示に子どもの声で録音したテープを使った事実があります。その子どもたちにはもちろん罪がないですが、この未解決事件の陰で深いトラウマを感じているだろうことは予想されます。今や、彼らも40から50代です。この事件の当事者や関係者もどんどんと鬼籍に入っており、犯人たちからの告白かなんかがない限り、実際に事件が解明されることはもうないでしょう。
長い小説でしたが、うまくまとまっており、読みごたえがあり、楽しめました。