20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『オリガ学園 仕組まれた愛校歌』(佐藤佳代著 金の星社刊)

2008年12月23日 | Weblog
 若い作家の友人、佐藤佳代さんのデビュー作が出版されました。
『オリガ学園 仕組まれた愛校歌』です。
 福島正美記念SF童話賞に入選経験のある佐藤佳代さんは、ファンタジー作品も数々書かれていて、まさにこれからの児童文学界を背負っていくホープのおひとりです。
 彼女のデビュー作をご紹介する前にちょっと宣伝を。
 数年前、私は日本児童文学者協会の「創作教室」(詳細は児文協HPを)の責任者をしていました。そのころ受講されていた人たちが、この佐藤佳代さんや、いまや縦横無尽の大活躍をしている濱野京子、工藤純子、田部智子(近々二冊目のご本のご紹介をこちらblogでさせていただきます)、飯田朋子(同じく二冊目を近々・・・)、イノウエミホコなどの各氏です。
 来年はここに、さらに新人作家が登場します。
 児文協事務局のGさんに「今度<活躍する創作教室卒業生たち>という特集を組んで」、とお願いしているくらいです。
 あのころはお教室が終わるといつもみんなで、わいわい将来の夢を語ったり、文学について語ったりしたものです。
 あれから3年?4年?・・・。
 こんな短い間に夢を現実のものにしてしまった彼女たちの力には、ただただ敬服するばかりです。
 
 さて『オリガ学園 仕組まれた愛校歌』佐藤佳代ちゃんの新刊です。この作品、舞台設定は実にファンタジックです。いえファンタジーというよりファンタジー的色合いの世界を描出していると申し上げたほうが適切かもしれません。
 ドイツ人の父親と日本人の母親から生まれたふたごの姉弟にしても、シュヴァルツヴァルトと呼ばれるドイツの黒い森での暮らしも、織賀の街にあるオリガ学園の理事長にしても・・・。
 その魅力は、いわゆる文芸少女漫画の世界で好んで描かれる「愛憎劇」です。それを実に端正な文体で書き込んでいます。
 ラスト、魔法が溶けていく瞬間の大団円にさしかかったところでは、思わず手に汗を握りしめました。
 ここまで「少女漫画的世界」を描ききった児童文学を、私は読んだことがありません。それくらいの新鮮さで、この物語は迫ってきました。
 これはもしかしたらすごい冒険作かも知れないと。

 ともあれ、若い作家の誕生に心からの祝福をお送りしたいと思います。
 彼女は今後、さまざまなジャンルの作品を書きこなしていく大きな作家にきっと成長していくでしょう。その予感をこの作品を読んでいて実感しました。

 2月7日(土)には彼女の出版記念パーティが開かれます。
 ご連絡はこれからだと思いますが、ぜひたくさんのみなさまのご出席をお待ちしております。
 みなさま、どうぞお読みになってください。
コメント (2)
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