20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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お雛まつり

2009年03月03日 | Weblog
 今日はお雛まつり。
 写真は娘が生まれたときに購入した、今は亡き無形文化財「原米州」作のお雛さまです。
 娘が生まれてから、来る年も、来る年も、飾らなかった年は一度としてありませんでした。
 2月に飾って、お雛祭りが終わるとすぐにかたづけます。
 その昔、母に言われた因習が、まだ頭にこびりついているからです。
 
 ふるさとのお雛さまは、月遅れの4月3日でした。
 春休みになると、いつも母や祖母たちと段飾りのお雛さまを飾りました。
 こまごまとしたお道具まで飾りつけ終えると、小一時間が過ぎています。
 そんなとき、決まって母はこう言いました。
「こんなたいへんな思いをして飾っても、飾っておくのは2~3日。4月の3日が過ぎたら、すぐにしまわなくちゃいけないんだから」
 母が言うには、いつまでもお雛さまを出しておくと、娘たちがお嫁に行き遅れるというのです。
 母のつぶやくそんな因習に、あの頃はまるで汚らわしい話でも聞くように耳を塞いでいたのに、気がつくと母親になった私はその呪文にどこか縛られていることに気づきました。
 母親というのは、すごい力を持っているものなのだということをいまさらながらに思います。こんな大人になった今でもまだ、あのときの母の言葉を耳の奥底から拭い去れないでいるのですから。

 それでも緋毛氈に飾られたお雛さまの情景は、色あせることなく、いまも脳裏に鮮やかに残っています。
 お雛さまというと甘酸っぱいような気持ちで、あの、子どもだったころのことを思い出します。
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