20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

勉強会

2012年03月21日 | Weblog
            
 
 今夜は隔月の第三水曜日に行っている「Bー子どもの本」の勉強会です。
 今月のテキストは、『ひみつ』(福田隆浩・講談社)
 
 過去に友だちをいじめたというトラウマを持っている主人公の少女は、転校前の夏休み、母親と校長室に挨拶に行きます。
 そこで、図書室にいた「東川」と名乗る少女と出会います。
 彼女は唐突にも、主人公の「わたし」に、『ホビットの冒険』に出ている気味の悪い生きもの「ゴクリ」が好きだと話します。
 物語は、崖から落ち意識不明になってしまった、この「東川」の事故をめぐり、転校した学校で「わたし」とクラスメートたちの「事故」か「自殺」かの攻防が基軸になって展開します。
 ここにあるのは、子どもたちの胸に内在している無意識の残酷さを暴こうとする姿勢です。
 多少のあざとさを伴いながら。

 湊かなえの『告白』のように、じわじわと真相がつまびらかにされていく手法は、まずまず読ませます。
 内容的には、さほどインパクトがあるわけでもないのに、それなりに読ませてしまう・・・。
 それはひとえに、物語の展開の仕方。次のシーンへ読者をいざなうテクニックの力です。
 でもこの作者の物語を展開させるときの息づかい。間の取り方・・・。
 これだけは、参考になるかもしれません。
 
 さて、今夜はどんな議論になるでしょう。
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アオサギ

2012年03月20日 | Weblog
          
 
 アオサギが、いつもの王国からこちらを見ています。
 よく見ると、王国には、彼ひとり。いえ、一羽。
 仲間たちはどうしたのでしょう?

 彼は、優雅に首をのばすと、とつぜん。
「ギャー!」
 そのすがたからは、想像できないくらいの汚らしい声です。
 ふたたび、
「ギャー、ギャー,ギャー!」
 王国の城主である彼は、うつくしい声でさえずる他の鳥たちを見回し、
「自分はなぜ、こんなみにくい声に生まれてしまったのだろう」と嘆き悲しみます。
 城主である彼の、アイデンティティのめんどくさに、なかまたちは
「勝手に,悩んでろ、めんどくさいヤツ!」
 と、そこを離れていきます。
 ひとりぼっちになってしまった城主は、それでもなお、叫びながら己の声のみにくさを嘆きます。
 
・・・なんてこと、ぜったいありえませんよね。

 でも、それから2日後、対岸にあるその王国の近くを通りかかったら、そこは、もぬけの殻でした。
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日の出

2012年03月19日 | Weblog
           

 目が覚めたらカーテン越しに、明るい日差しが・・・。
 起き上がってカーテンを開けたら、顔を出したばかりのお日さまが見えました。
 今朝の日の出は、5時46分だそうです。
 5時45分と言ったら、つい先日まではまだ真っ暗な時間で、空には星が瞬いていました。

 日の出だけではなく、日の入りの長さも、このところ実感しています。
 夕方になっても、日脚がいつまでもリビングにオレンジ色のひかりをふり注いでいます。
 日の入りは17時52分だそうです。
 ついこのあいだまでは、16時くらいには日が暮れていたのに・・・。

 春が近づいているとはいえ、今日も冷たい北風がふいています。
 でも、こうしてお日さまの動きを見ていると、直実に季節は移ろっているのだということを実感します。
(写真はベランダから写した、今朝の日の出です。)
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塩麹と醤油麹

2012年03月18日 | Weblog
            
 
 最近、塩麹がブームになっています。
 たしかにデンプンやタンパク質が分解されてアミノ酸が出るので、おいしさは増すのかも知れません。
 でも作り方を見ると「塩60グラム」と・・・。
 一日せいぜい5~6グラムぐらいを目標にしているので、60グラムなんて気の遠くなりそうな数字です。
 
 でも、お魚でも塩麹につけ込んでから、焼いて食べたらおいしいだろうな、と・・・。
 塩キャラメルなんていうのも、おいしいですし、塩というのは不思議な力を持っています。
 
 そんなことを考えていたら、今度は「醤油麹」がブームらしいです。
 麹をお醤油につけ込んで常温でしばらく置くと出来るとか。
 
 発酵食品というのは、もともと健康にいいと言われています。
 本来でしたら流行に(おまけに健康という言葉にも)弱い私は即刻影響されそうになります。しかし減塩を考え、塩分の多そうな麹は、ただいまペンディング中。

・・・日本語には、「塩梅(あんばい)」という言葉があります。
 いずれにしてもほどほどの塩気が、いい塩梅なのではないかしらと思うので、いくら麹を入れても取りすぎにはご用心です。

 麹の塩分について、ご存知のかたは、ぜひ教えてください。

(写真はサイトからお借りしました)
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新刊4冊ご紹介

2012年03月17日 | Weblog
 友人の皆さんからご恵贈いただいたまま、慌ただしく過ごしていたため、すっかりご紹介の遅れてしまった4冊のご本のご紹介です。
 まずはこのご本から。

           
『紅に輝く河』(濱野京子・角川書店)
 濱野京子さんの「シューマ平原」シリーズの三巻目です。
 第一巻は『碧空の果てに』第二巻は『白い月の丘で』、そしてこの『紅に輝く河』が第三巻です。
 いずれもスケールの大きなファンタジーです。
『紅に輝く河』では、生まれたばかりの、母の違うファスール王国の王女姉妹は、天の声を聞いた神官による託宣で、次期国母となるべく第一王女と、第二王女が交換させられてしまうところからはじまります。
 この物語では、その第二王女である「アスタナ」が主人公です。
 男装した「アスタナ」は、正義感と知的好奇心を持ち、第一巻、第二巻にでてきた国々出身の若者たちと関わりながら恋に落ち、そしてなおも国のために闘っていく物語です。
 王の第二夫人である、美しき母親との微妙な関係も絡ませながら展開していきます。
 濱野さんらしい確かな筆致で、スケールの大きなひとつの世界が構築されています。

           
 次にご紹介するのは、
『男子弁当部 オレらの青空おむすび大作戦!』(イノウエミホコ・ポプラ社)です。
 このお話も、イノウエミホコさんの『男子弁当部』シリーズの第四巻です。
 今回の男子弁当部は、主人公の「ソラ」の兄で、世界中を放浪している「ミライ」の誘いで、米作りのお手伝いのため、新潟へ行きます。
「ミライ」の友だち「カン」さんの家を訪ね、田植えを手伝ったりしながら、そこに住む人たちと食の原点「米」について、いろいろ知っていくお話です。
 いままでの「男子弁当部」とは違う、ただお米を炊き握るだけのシンプルな塩むすびのレシピ。それなのにどんなお弁当よりおいしそうで、読んでいるだけでできたてのおむすびのほかほかした感じが伝わってきて、しあわせな気持ちになります。
 お米とはの原点が、弁当部を通して描かれています。
 そして「男子弁当部」のメンバーは、「ひとと出会うことで」大きく成長していきます。
 ラストにはおいしいご飯の炊き方や、おむすびの作り方のレシピもついています。

           
『虹色ティアラ 月夜のあぶないセレモニー』(次良丸忍・フォア文庫)
 フォア文庫の次良丸忍さんの『虹色ティアラ』シリーズの第三巻です。
 ティアラーである「ユッコ」は宿題に悩み、ループホールから同じくティアラーの仲間である「シルク」の住むラビューランドへ、タイムスリップしてしまいます。
 そこはちょうど、「月食の儀」の準備の真っ只中。「シルク」も「ユッコ」の相手どころではありません。
 あわてて元の世界へ戻ってきた「ユッコ」は宿題の紙をラビューランドへ忘れてきてしまったことを思い出します。そこでもうひとりのティアラーである「ポリエ」を誘い、再びラビューランドへ。
 今回のシリーズはラビューランドで行われている「月食の儀」の夜を舞台にした、悪者「マックラーミ団極東支部」との闘いです。闘いの中でシルクは、母親の過去を知ることにもなります。それはこのご本を読んでのお楽しみ。

           
『童話を書こう!完全版』(牧野節子・青弓社)
 さまざまな大学で非常勤講師をしていらっしゃる牧野節子さんは、これまでも『童話を書こう!』(寺子屋ブックス)『童話を書こう!実践篇』(青弓社)の二冊の童話指南書を執筆していらっしゃいます。
 このご本はそれらの、言わば完全版です。
「人称と文体」「アイディアは無限に」「登場人物の魅力」「背景の設定」「構成と構造」「ストーリーの進め方」「小道具の活用」「タイトルのつけ方」「パロディとオマージュ」「テーマとラスト」など、各章にわかれ、「書くこと」へのアプローチが、具体的にいろいろな本の文章を紹介しながら、とてもわかりやすく書かれています。
 ここには書き方の「コツ」が余すことなく伝授されています。
 書き手志望の皆さんへ、お薦めの一冊です。

 皆さま、この4冊。ぜひお読みになってください。
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水鳥、歌い・・・。

2012年03月16日 | Weblog
           

 このところの晴天。
 公園の水鳥が、池の中を元気に泳ぎ出しました。
 こころなしか、春の喜びを歌っているようです。

 写真を撮ろうとそばにいったら、群れをなしてこちらに近寄ってきました。
「この人、餌をくれそうだよ」
 カモたちが目くばせしあい、泳いできます。
 知らんぷりしてカメラを構えると、
「ふーん、違うんだ」と、そっけない素振りで、離れていきました。

 この公園の鳥たちは、とても人慣れしています。
 鳩にいたるや、スーパーのビニール袋を、がさがさせるだけで、群れで直行してきます。
 怖いくらいに。
 公園の鳥たちは、人間たちが差しだした「甘い汁」を、いつの間にか、すっかり覚えてしまったようです。
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日だまり

2012年03月15日 | Weblog
         
         
 
 うす桃色の、梅が咲いていました。
 そばには、木瓜の花が・・・。

 風のこない日だまりでは、花も、こうして人間が佇むのも、居心地がよくて体も気持ちもほかほかしてきます。
 ぬくもりを求めるのは、それだけこの冬が寒かったということでしょうか。

 昨晩は夫が遅くに帰宅しました。
 今日は東京で会議があるとか。
 でも、一泊しただけでトンボ帰りです。

 ご恵贈いただいている新刊のご本が、とうとう9冊。
 出来るだけ早く、ご紹介したいと思っております。
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合同選考委員会

2012年03月14日 | Weblog
          
 
 今日は協会賞・新人賞の合同選考委員会です。
 とはいえ、これはまだほんの第一歩です。
 ここで俎上に上がってきた本を、全員が読んで、一次選考委員会になり,その後、最終選考委員会になります。

 こんなにすべての本を選考委員が網羅して読破する、ていねいな選考の賞はおそらく他にないでしょう。(と、自負しつつ・・・)

 写真は昨年度の新人賞受賞作・樫崎茜『満月のさじかげん』(講談社)です。
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大地震に備えて

2012年03月13日 | Weblog
            
 
 先日の日曜日、夫とホームセンターで家具を固定する金具を買ってきました。
 とくに10畳のベッドルームは,ベッドの足もと側の、壁面一面がオーダーの本棚です。
 その本の数たるや、半端ではありません。
 私は、本はパブリックスペースではなく、プライベートスペースに置くという主義なので、地震が起きたとき一番怖いのが寝ているときです。

 その壁面一面の本棚。
 天井までのわずかな隙間につっぱり固定ポールのようなものを三箇所やっていますが、震度7の地震でもきたら・・・と思うと、不安になります。

 そこで、L字金具で壁と家具を固定するのが一番と聞きつけ、さっそく家具を固定する金具をどっさり買ってきたのです。

 首都直下型地震・震度7と言われる地域は、まさに東京湾の真上にある我が家のある場所です。
 テレビで流された地図を見ると、真っ赤な地域。
 ただ我が家のマンションは耐震のため、建物の高さと同じだけ地下を掘って基盤を頑丈にしているという耐震がウリでした。
 ですから建物自体は倒壊しないとは思いますが,相当の被害が想定できます。

 実際に震度7なんていう地震に遭遇したら、「備えあれば憂い無し」などという言葉はふきとんでしまうかもしれません。
 それでも、その言葉に一縷の望みを託し・・・。
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スカイツリー・鎮魂の祈り

2012年03月12日 | Weblog
          
 
 東日本大震災から1年になるのを前に,東京スカイツリーで10日夜から11日の夜にかけて、白色の発光ダイオードの照明が点灯されました。

 この点灯は、10日に67年を迎えた東京大空襲と、大震災の犠牲者の追悼のためだそうです。
 仕事部屋のベランダから、スカイツリーの灯りを写しましたが、例によって夜景は苦手です。
 それでも、青白くほのかに浮かび上がった灯りからは、鎮魂の祈りが伝わってくるようでした。

(左端の、ところどころ青白く見えるのがツリー)
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