●最近のテレビ・マスコミ等で報道される女子医大問題について 今、連日のようにテレビのワイドショーやネットニュース上で、「女子医大で『夏期一時金支給がゼロ』それによって『大量の看護師が退職を希望』」と 報道されています。
テレビ各社の報道の趣旨・目的が、「コロナ禍の影響で医療機関の経営が困 難になり、そのことが医療従事者の一時金の削減につながっている。したがって、国は医療機関に対して財政的補償をすべきである」ということにあるのは理解できますし、言うまでもありません。
しかし、今回の女子医大における一連の問題『定期昇給なし、一時金支給な し、一時帰休による賃金カット等が看護師の退職希望につながっている』は、 単に「コロナ禍の影響による収支悪化=人件費削減」という単純なものではな く、2014 年に発生した医療事故と特定機能病院の認定取り消し以降、大学理 事会が『設備投資優先=教職員の待遇改善無視』という経営姿勢を強めてきた ことが発端であります。5年間で一時金を 40%近くも大幅に削減し、さらに 2018 年、19 年は2年連続「50%昇給」を押し付け、私立医科大学の中でも 極めて例のない「大掛かりな人件費削減」が行われ、さらに職員への傲慢かつ 一方的な運営や対応や偽説明、そして忖度人事が繰り返し行われてきました。
今回の大学理事会の対応は、まさに最後のダメ出しとも言えるものであり、 その対応にはさすがに労働組合だけでなく、多くの教職員も堪忍袋の尾が切 れ、組合ホームページへの書き込みも増え、また SNS 等での批判が拡散して いったのは当然の帰結であると思います。
したがって、女子医大に働く看護師をはじめとする教職員は、単に「夏期一 時金ゼロ」が理由で退職を希望しているのではなく、大学理事会の「教職員を 大事にしない姿勢」に失望し、働き続けていく展望を見いだせなくなったこと が原因であるのは言うまでもありません。
マスコミ報道の趣旨・目的は理解できますが、「女子医大でのボーナス0→ 退職者 400 名」をことさら強調する報道です。組合の機関紙では看護師の退職希望者の予想数が 400 名を超えると聞いているがその真偽はどうなのかと、当局に対して事実確認を行なった内容であり、事実も趣旨も異なる報道内容になっているのは非常に残念です。何よりも事の本質を理解しないままの過剰な報道は、現場で働いている教職員に誹謗中傷等や、その他大きな影響を及 ぼすのではないかと、労働組合は危惧しています。
2020.7.16 東京女子医科大学労働組合
東京女子医大労働組合ウェブサイト