

寅次郎も奈々子もわが道をゆく

向かうべきわが道を描いた年頃からの歳月、
(以下太字は佐藤利明著『みんなの寅さん』258頁)
さくらは、奈々子同様「レビューに憧れたり、歌手になりたいと思ったり」、おいちゃんは「満州で馬賊になるつもり」で、おばちゃんは「日本橋の大きな呉服屋さんのおかみさん」、博は「学者になりたかった」けど「裏の工場の職工留まり」と、皆でどっと笑います。傑作なのはタコ社長。「弁護士になりたかった」と、およそ似つかわしくないことを言います。
「みんなこういうふうに、若い頃の夢とはほど遠い現実生活を営んでるわけだ。」寅さんがまとめようとしますが、結局、奈々子と少年時代からテキ屋に憧れていた寅さんだけが、「子供の頃の夢」を実現させている、と大笑いとなります。
続けて、
実は、これが第二十一作のテーマでもあります。さくらはレビューに憧れて、学校の成績も良く、誰もが羨む憧れの存在でした。奈々子はそのさくらにコンプレックスを抱きながら、頑張って、SKDのトップとなったのです。一方のさくらは、寅さん曰くの「しがない職工の女房」となりましたが、一粒種の満男と博と、幸せな日々を過ごしています。
kaeruも「わが道」を行きます、いや「われらの道」と言うべきでしょう。