10月26日から31日まで、東京の世田谷美術館区民ギャラリーで開催中の、「和の万華鏡展」に伺いました。 年ごとに場所を移して開催され、今回で第8回となると伺い、積み重ねてきた歴史を想いました。 今回もいろいろな作家さんによる万華鏡作品が並び、手にとってそれぞれの魅力を味わうことができる展示会です。
その中から、目を惹く大きなステンドガラスの万華鏡「Rose ローズ」をご紹介いたします。 加藤瑞枝さんの作品で、日本新工芸展の入選作です。
薔薇の花が咲き乱れるステンドガラスの美しさに目を奪われますが、なんという贅沢な万華鏡なのでしょう。 中央上部には覗き口があり、映像を生み出すオブジェクトホイールは中央下の部分に見えています。 全体的には、薔薇の白と薄いピンクを際立たせるような色を選び、落ち着きのある、上品でしかも豪華なステンドガラスの造形作品ですね。 たくさんのガラスピースを組み合わせた、とても手の込んだ作品であることがお分かりになると思います。
覗いてみると広い空間の中に現れる大きくて美しい映像が見えます。奥のほうから浮かび上がってくる密やかな輝き、優雅な雰囲気を伝えることができているでしょうか?細い角度に組んだミラーシステムから、放射線状に次々と花開くガラスの花の競演です。
オブジェクトホイールは、ステンドガラスの技法で筒状になっています。手を添えて回転させることで映像の変化を楽しみます。
そしてもう一点、こちらも素晴らしい万華鏡であり、造形作品「廃墟の薔薇」です。 パート・ド・ヴェールの技法で作られた濃い黄色のガラスの台に、万華鏡とステンドガラスの薔薇が飾られています。 こちらも日本新工芸展入選作です。
万華鏡があるのは左から2つ目の薔薇の花のところ。 上にのぞき口があり、下にオブジェクトセルが見えています。 黄色い薔薇が咲き乱れ、イリデッセントの光沢が美しい葉に囲まれています。
万華鏡は全体の大きさに比べて小さめで目立ちませんが、覗いてみると視野いっぱいに美しい色模様が飛び込んできます。 外観の美しさに圧倒され、万華鏡を覗いてさらに感動する素敵な作品です。