世田谷美術館区民ギャラリーで開催中(10月31日まで)の「和の万華鏡展」では、「縁(えん)」をテーマにした万華鏡が数点展示されています。それぞれの作家さんが、「縁」という言葉をどのような形で万華鏡にするのか大変興味深いところです。
最初の作品は中里保子さんと辻優子さんのコラボレーションで、「お結びねこ」というタイトルがついています。 辻優子さんの陶器のボディーは白い箱で、赤いリボンと小さな猫が飾られています。背景に白っぽいガラスをはめ込み、内部にミラーシステムとオブジェクトケースを組み込んで、中里さんが万華鏡にしました。可愛いですね。「縁を結ぶ」という言葉を思い起こします。 そして中里さんと辻さんとのご縁も見せている作品です。
次は、井野文絵さん/羮桜窯 の「縁」という万華鏡2点です。陶器の筒との組み合わせという点では、こちらもご縁があってのコラボレーションでしょうか。金箔、銀箔を使ったモダンなデザインと土の暖かさが感じられる筒。内部には井野さんらしい色合いで、和の雰囲気の映像が見えています。
次の作品は尾崎百々花さんの「縁」の万華鏡です。白いほうは吹きガラスの作品で、「Happiness /花嫁」です。花嫁さんを思わせる白いレースのような映像展開が素敵です。
そして赤いほうは 手持ち型の作品で「赤い糸」。文字どおり赤い糸を筒に巻いた作品ですが、中を覗くと赤い糸がアクセントになった映像展開です。なるほどと思わせるアイディアをいつも形にして、微笑ましくて、美しい映像の作品を制作なさる百々花さんらしい2つの「縁」の万華鏡です。
最後は大きなステンドガラスの作品「架け橋」です。昨日もご紹介した加藤瑞枝さんの作品で、手前と向こうをつなぐ「架け橋」に人のつながりや、支えあう姿を表現なさっているようです。ガラスで表現した「縁」です。
万華鏡は中心部にあり、オブジェクトは色ガラスを組み合わせた細長いもの。左右にスライドさせ、3つの覗き口から、異なるミラーシステムを通して、3種類の映像を見ることができます。
「縁」をテーマに4人の方がこんなに異なる作品を見せてくれました。面白い企画です。