美しい色合いの偏光万華鏡といえば、その代表格は細野朝士さんでしょう。 オイルタイプ、ドライタイプのそれぞれに、様々なポイント数の2ミラーシステムや、スノー、キルト、マンダラと名づけた3ミラーシステムを揃え、色鮮やかな映像世界を見せてくれています。
その細野さんの最新作、「スペースシリーズ」をご紹介します。
外見は「オーロラシリーズ」より少しだけ小さいですが、いつものスマートなスタイルです。
オイルセルの背景は透明で光を取り込みます。 偏光フィルターのため、外からは黒っぽく見え、中のオブジェクトは見えません。 いったいどんな世界が展開するのか・・・外見は同じように見えても中に展開する世界はみんな違っています。 もしどこかで細野さんの作品が並んでいたら、ひとつ見て終わりにせず、ぜひぜひ、たくさん覗いて見てくださいね。
そして、お気づきかと思いますが、今までとは一味違う新たな細野さんの映像世界です。
上の写真は2ミラー4ポイントの映像です。 黒い中に虹色のラインが浮かびあがり、オイルの流れにまかせて、優雅な動きを見せます。
2ミラー6ポイントの映像は、雪の結晶のように輝いたかと思うとスーと消え・・・
また新たな形で浮かび上がります。
3ミラーシステム “キルト” の映像は 4ポイントの映像が視野いっぱいに広がります。連なる虹色のラインがきれいです。
そして3ミラーシステム “マンダラ”の映像は13ポイントの中心映像の周りに小さな花がぐるりと囲みます。覗き口の角度が狭いため、全部は映しきれませんでしたが、どこか神秘的でさえある美しさは伝わると思います。
繊細な線の表情が際立つこのシリーズで、細かさのある“マンダラ” の映像は、ひときわ美しく感じます。
細野さんは、偏光タイプで重要視してきた色の多彩さ、その変化を全てそぎ落とすところから、新しい映像の世界を生み出されたそうです。今まで、隠し味やスパイスといった役目を果たしたものが主役になったような万華鏡だそうですが、覗いている私にとっては、今までも不思議でたまらなかった細野さんの作品に、また新たな不思議が加わった気がします。
ゆっくりと時間をかけて楽しみたい幻想的で魅力的な映像世界だと思いました。