今日は10年前の2005年に開かれた Kaleidoscope Reflections 20周年記念万華鏡展
について当時私の書いたレポートです。
来年(2016年)は同じこの場所で、万華鏡が発明されてから200年を祝う万華鏡展が開かれます。
カレイドスコープルネッサンスの実際を見つめてきた場所であり、多くの作家にとっての“始まりの場所”ともなったこのストラスモア・・・そして私にとっても大きな意味を持った「20周年記念万華鏡展」でした。
メリーランド州 ノースベセスダ、ザ・マンション・アット・ストラスモアにて開催中
2005年9月8日~10月15日
日本でもすっかり知名度を増してきたアート万華鏡。そのアーティスティックな姿や形、素材の面白さ、同じものにはめぐり合えないという中の映像の変化と美しさ、はかなさの魅力が多くの人の目と心を奪ってきました。シンメトリーと調和の及ぼす影響でしょうか、癒しの力を持つとも言われています。
カレイドスコープルネッサンスを興した万華鏡界のファーストレディーと呼ばれるコージー・ベーカー女史は、息子さんを事故で失った後、その心の傷を埋めることが出来る美しいものを捜し求め、万華鏡に出会いました。今あるものが壊れた瞬間から次なる美しいものが生まれていく万華鏡の映像に神の意思を感じ、悲劇の中から再出発する自らの思いを重ね合わせたのです。
(1985年のポスターの写真)
その彼女が今から20年前、1985年にキュレーターとして、世界で最初の万華鏡展"Through the Kaleidoscope スルー・ザ・カレイドスコープ"展を成功させました。
同じストラスモアホールアーツセンターの場で2005年9月、それからの20周年を記念する万華鏡展 "カレイドスコープリフレクションズ" が開かれています。コージー・ベーカー女史の後を継いで、ザ・ブリュースターカレイドスコープソサエティーの運営を担う3人のアーティストが中心となり、公募展という形で国内外からの作品を募集しました。
日本からの3名を含む53名の作家の作品が展示され、それらの作品はすべて、手を触れて中を覗くことができるようになっています。
(参加アーティストたち)
初日の9月8日の夜、20周年記念万華鏡展の開催を皆で祝う集いがありました。参加アーティスト、コレクター、万華鏡ショップの人などがホールに集まり、ベーカー女史や、シェリー・モザー、チャールズ・カラディモス、キャロリン・ベネットを中心に20年の歴史を振り返り、大きく花開いたカレイドスコープルネッサンスの現状とこれからの展開に思いを馳せました。
1985年当時参加したアーティストは40名、そのうち今でも製作を続けているのが9名、その後時代の流れを反映しながらさまざまな素材で作る作家が登場し、技術的にも進化・多様化してきました。そして今、万華鏡界はアートのひとつの形態として認知されるために更なる進化と充実を求められ、新しいアーティストの誕生を待っています。
参加部門は3種類に分かれています。
1.カレイドスコープ
2.ジュエリー(アクセサリータイプの万華鏡)
3.カレイドスコープ関連アート(キルト、刺繍、絵画、写真など)
公募展の審査をしたのは、トニー・グランダーというガラスアーティストです。
53名の作家の作品が入選し、ひとり1-3点の作品が展示されています。
大賞のほか、それぞれの部門でさらに授賞作品が選ばれています。一点もの、限定版の作品、オープン製作(注文に応じていくつでも作れる)の作品が混在していますが、展示作品はいずれも販売価格が提示され、購入も可能です。
受賞者
大賞 ポール&スーザン・ノックス 〝Panacea Parlor Scope″
カレイドスコープ部門
第1位 マーク・ティクル&スーザン・ランドグレン 〝Darwin″
第2位 チャールズ・カラディモス 〝Classic #7″
アクセサリー部門
第1位 デボラ&ケヴィン・ヒーリー 〝Rocket Series #7″
万華鏡関連平面アート部門
第1位 アリソン・トランテルマン 〝Mandal 212″
第2位 ローラ・サンダ 〝Cross Stitch Interpretation of Fire Cone Image″
佳作
モニカ&カール・ユリッヒl 〝Jules Projekt: Karleidoskop Nr. 35″
ペギー&スティーブ・キテルソン 〝Triangulations″
ランディー・ナップ 〝Fruit of the Forest”
シェリー・モザー 〝For Kandinsky II″
ジョーン・バゼル 〝Crystal Wysteria″
その他のすばらしい展示作品の数々
(コーキー・ウィークス)
(中里保子)
(スティーブ&ペギー・キテルソン)
(スー・ロス)
(ジョアンヌ・ジェイコブス)
(展覧会場の建物)
この施設は広い敷地の中に2005年にオープンしたばかりのコンサートホールと古くから保存されているザ・マンションと呼ばれるレンガ造りの建物があり、地域の文化活動の拠点として多くのボランティアにも支えられながら、さまざまな芸術活動を楽しむ場として市民に利用されています。
1985年の最初の万華鏡展からさらに4回の万華鏡展がこの場で開かれています。今回の1ヶ月以上に及ぶ万華鏡展のために、万華鏡の基本的知識を覚え、来館者のために活動するボランティアの方々の献身ぶりにもアメリカ人の国民性を見た気がしました。
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2016年4月23日から6月5日まで開催予定の 「200年記念万華鏡展」は公募展です。
どなたでも挑戦できます。
応募要項をご希望の方は info@kaleidoscopes.jp までお問い合わせください。 2016年2月15日がオンラインエントリーの締め切りです。
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