万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

夢の滴 

2015-12-18 11:54:46 | 万華鏡ブログ

万華鏡作家として大活躍なさったのに、なぜもう製作なさらないのだろうと思う方がシェリー・モザーさん。 その過去の作品がご縁があって私のもとに届きました。 
シェリー・モザーさんは私がカレイドスコープの世界を知るずっと前から、つまりカレイドスコープルネッサンスの初期の頃から大活躍なさっていた作家さんで、レジェンドとも呼べる方です。
のちに語り継がれるような画期的な作品をいくつも生み出してきた作家さんで、今となってはあまり作品を見ることができないのが残念でした。 
彼女は今でもBKSの会員として毎年コンベンションでお目にかかります。 みんなが彼女の作品をまた創って欲しいとお願いするのですが、実現に至ってはいません。 でも素晴らしいガラスの技術、表現力を活かして、それはきれいなガラスジュエリーの作家さんになっています。

今日ご紹介するのは1990年から製作していた「Dreamdrops ドリームドロップス」という限定版の作品です。 この頃タイトルに「Dream」をつけた作品が多かったようです。 作品には名前と ’01と35/100 という数字が彫られていますので、2001年の製作ということが分かります。

ドリームドロップスというのは、夢の滴という感じでしょうか。 ベーカーさんの本でも紹介されている、あの美しいガラスオブジェクトがたくさん入っている大きなオイルセルです。 ハンダの装飾も彼女らしい表現です。

美しく仕上げられた一つ一つのオブジェクトが見えています。 ランプワークで作られたオブジェクトにペイントを施したものもあります。ダイクロイックガラスの輝きも美しいです。

こんなにきれいなオブジェクトですから映像が美しいのは想像ができますが、覗いて見てびっくりしたのは想像以上の映像表現でした。
この作品は2ミラーですが、見える映像がとても立体的なのです。 覗き口が大きく、つまりミラーシステムが大きく、両目で見られて、凄い迫力があります。 オブジェクトセルは薄いのですが、大きくて奥行きのある美しい映像です。 いつもの癖で片目で見たら気付かない発見です。
2ミラーの作品で、このような映像はめったに見ることがありません。 

カメラは両目で見る映像とは違うので、正しくお伝えできないのが残念ですが、想像力を働かせてご覧ください。

どうして立体的かというと、ミラーシステムの先端が斜めにカットされているからだそうです。

夢の滴が生み出すインパクトのある映像を、今のシェリーさんならどんなふうに作るだろうと思わずにはいられません。 

いろいろなミラーシステムが考案され、現代技術が駆使されてカレイドスコープの世界の広がりがある中で、過去の作品にもまだまだ凄い魅力があったことを教えてくれた作品です。 
ベーカーさんが最初に書いた万華鏡本を見ていても、もう見ることのない魅力的な作品が多数存在していたことに驚きますが、あらためて万華鏡の200年の歴史を思い、カレイドスコープルネッサンスの30年を思います。 そして、カレイドスコープの魅力が失せることなくいつまでも続きますようにと願っています。

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