この度ご縁があって、私の持っている万華鏡を京都万華鏡ミュージアムで展示する機会を頂きました。私は所謂コレクターではないのですが、現代の万華鏡に出会ってから二十数年たち、その過程でたくさんの作品と出会い、作家さんと出会うことで面白い経験を積ませていただいた気がします。そんなストーリーを絡めた展示にしたく、私の思いを綴った文章も会場に展示させていただきました。
以下はその内容です。数回に分けてこのブログにも載せることにしました。
私の万華鏡史は26年ほど前、アメリカの万華鏡から始まる。
翻訳のアルバイト先として友人に紹介された万華鏡専門店で出会ったのが、現代の万華鏡だった。 それは衝撃的な出会いだった。覗くと見たことのない美しい景色が存在していた。
任された仕事は、「カレイドスコープ・ルネッサンス」と題するコージー・ベーカーさんによる本やブリュースター・ソサエティの季刊誌を翻訳することだった。読み進むにつれてその世界の面白さ、奥深さに惹かれていった。
あの頃、万華鏡は輸入品だった。 アメリカで様々なアーティストが万華鏡アートに関わり、次々と作品を創っていたあの時代。コージー・ベーカーさんは作家たち、作品を扱うギャラリー、そしてコレクターをつなぎ、ブリュースター・ソサエティを設立し、万華鏡アートの大きなうねりを巻き起こした。1816年の発明により当時のヨーロッパで大きなブームを起こしたものの、その後すたれていた万華鏡がアートとして生まれ変わったこのうねりをカレイドスコープ・ルネッサンスと名付け、万華鏡の第一人者として皆をリードしていた。そのアメリカから輸入された万華鏡に日本人は驚いた。
子供の頃から知っているはずの万華鏡とは全く違うものだったから。
それは花火、それは宇宙、それは完結した中心を持つ円形の模様。素材も多岐に及び、デザインも、大きさも様々だった。いろいろな挑戦があった。 この時代の作品は、コージー・ベーカーさんの本に載っているが、その多様な魅力は現代の万華鏡界の礎となった。彼らの創造性を超えるのは難しいかもしれない。それほど斬新だった。
2000年代になって少しずつ日本でも万華鏡を創る人や、万華鏡愛好家のグループも生まれていた。 でも今ほどインターネットも普及しておらず、万華鏡の情報は相変わらず少なかった。 (続く)
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