Homo Faber 展はイタリア、ベネチアで9月1日から30日まで開催されている現代のアート・クラフト展で、世界中のアーティストが参加し、クラフトマンシップを見せる作品展です。 中里保子さんの万華鏡作品が展示されることになり、この機会にベネチアを訪問し、どんな展覧会なのか見てきました。ベネチアのマルコ・ポーロ空港に到着すると、さっそくこのような看板があり、ワクワクします。
会場はサン・マルコ寺院の向かいのサン・ジョルジュ・マッジョーレ島です。サン・マルコ広場から船で5分ほど。8月31日は出展者とゲストのためのプレイベントがあり、中里さんとふたりで参加しました。
入口のこのカラーの組み合わせが今回のロゴにも使われています。シンプルでおしゃれでイタリアっぽいですね。
展覧会の構成は、”The Journey of Life” 人生の10のステップをテーマにした10か所の展示。
”Birth”、”Childhood”、”Celebration”、”Inheritance”、”Love”、”Journeys”、"Nature"、”Dreams”、”Dialogues”、”Afterlife”をテーマに敷地内の10か所の建物でまったく異なった雰囲気でデザインされた会場です。
会場の建物は、サン・ジョルジュ・マッジョーレ教会の施設。庭と回廊をめぐって散策しながら、展示を見ます。
外は強い日差しでまぶしく、木陰がほっとする場所でした。
回廊には、同じテーマで創られたいろいろなアーティストの作品群。最初の”Birth” の展示が始まります。
次が、子供時代(Childhood)を表現する部屋で、多様な作品が並び、そこに万華鏡も含まれます。出展の招待を開催の財団から提案されたとき、中里さんはどんな作品がふさわしいのか、とても悩まれました。現代のアーティストが出展する展示会ですから、子供向けではなく、大人の中の子供時代への郷愁を感じさせる作品がふさわしいのではと考えました。部屋はブルーで天井と壁をデザインしています。
会場に入ってみると、ドールハウスと動物フィギュアの間に万華鏡がありました。
中里保子さんの、”Mandala”、”Katagami”、”Haku”、”Rin”、そして山見浩司さんの”Gozzira” です。
多様な素材や種類の作品群の中で、われらが万華鏡は静かにたたずんでいました。 展示作品に触ることは憚られるのは理解できますが、触って覗いて万華鏡の面白さ、美しさを体験をしてほしいなと心から願います。作品には作家名、国名、(解説用)QRコードがついていますが、万華鏡と一目でわかる人がいるかなと心配になりました。ユニークで特別なこのような展示会において、万華鏡の特殊さをいつも以上に感じ、何とか万華鏡作品への理解を深めてほしいと思いました。
次の部屋は”Celebration” がテーマ。 まったく違う展示方法で大きな鏡のテーブルにガラスの食器や造形作品などが飾られていました。
”Love”の展示室には多彩な花のオブジェが並びます。
”Nature ”の展示室から。
”Dreams”の展示室は光と水の演出を駆使して、顔のない像が並び、周囲にいろいろな顔のマスクの展示がありました。
最後の”Afterlife”から。
だいぶ端折りましたが、最後の展示室まで回った後、教会の鐘楼に上り、会場を見渡すことができました。
そして対岸のサンマルコ寺院、ドゥカーレ宮殿などのベネチアの街の景色を楽しみました。
日常的な機能性から、目を見張る装飾的なクラフトまで幅広いHomo Faberの展示会は、今年で3回目(2年ごと)だそうです。その根底にあるのは、人生を豊かにする創造力とそれらを生み出す作家たちを支え、育てることでより良い世界にしていこうとする精神です。図録を読み、後から思い返してみると、人間の生み出す豊かな作品が、豊かな経験を与えてくれるなあと実感します。素敵な機会を与えてくれた中里さんにも感謝です。
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