万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

金閣寺が万華鏡に!

2006-05-21 22:10:42 | 万華鏡ブログ
いつもザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティのコンベンションでは日本的なテーマの大作を発表なさる山見浩司さんの今年の作品は、「金閣寺」でした。金色のガラスで精巧に組み立てられたこの作品が発表されたときは、人々から静かな歓声がもれました。きれいな屋根のカーブなどさぞかし大変だろうと思いましたが、日本の建築美を表現した作品は、大変細かいガラス片を根気の要る作業で貼り合わせたものです。(左下すみに見える小さな長方形のガラス片が使われたもののサンプルです。)
どこが万華鏡かというと、屋根のてっぺんの部分が外れるようになっていて、アイピースになっています。そこから下を覗き込むときらきらした3D映像が目に飛び込んできます。小さめですが、宝物を見つけたような気がしました。以前の舞妓さんの万華鏡も注目を浴びましたが、今回の作品も山見さんのガラス工芸技術のすばらしさと、日本の美と、万華鏡の美が余すところなく表現されていて、日本人としても嬉しく拝見いたしました。使われたガラス片はガラスの奥が金色にコーティングされた特殊なものだそうですが、山見さんは、これが本当の金だったらすごいことになると笑いながらおっしゃっていました。アメリカのコレクターの強い要望があって、この作品はアメリカにとどまることになったそうです。
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フィエスタ タイム

2006-05-20 18:27:17 | 万華鏡ブログ
コンベンションの楽しみにサイレントオークションがあります。作家さんがテーマにそってこのオークションのための作品を創り、展示テーブルで披露します。つまり今回のための特別な作品なので、他では手に入らない、コレクターにとってはとても嬉しいアイテムなのです。今回のテーマは「フィエスタ タイム」。オークションといっても声を上げて買値を競うのではなく、自分の思う金額を作品の前に置かれた紙に書き込んでいくのです。だからサイレント。でも締め切り時間が近づくとそんなに静かにはできません。前の人が書いた価格より少し高い価格をつけては側で見守り、最後の最後まで気が抜けません。それでも最後はフレンドリーな会員同士なので、残念だった人もゲットした人に快く祝福というような光景が展開しました。(内心悔しい人もいるかもしれませんけれど。)そしてここにご紹介した作品はキャロリン・ベネットによるもので、オークションに出された作品の中でもっとも良く〝フィエスタ タイム″というテーマを表現している作品としてピープルズ・チョイス・アウォードを受賞しました。カラフルな色合いのテレイドスコープと時計の(まとも過ぎる!)組み合わせですが、色合いがきれいで、全体的にインパクトがあって目を惹きました。
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ユニバース2006

2006-05-19 18:33:32 | 万華鏡ブログ
今回ご紹介するのは、日本を代表する万華鏡作家の一人(一組)、依田満、百合子夫妻の「ユニバース2006」という大作です。コンベンションの参加者の投票により最も優れた新発表作品に贈られる「ピープルズ・チョイス・アウォード」で、みごと第1位を受賞なさいました。依田さんは何回かの受賞暦をすでに持っており、毎年どんな作品を発表なさるか、人々の注目の的です。そんな状況でいつもその期待を裏切らないすばらしい作品を発表なさるための努力とご苦労はいかばかりなものかと思うと、受賞者として壇上に上がられたお姿に胸が熱くなりました。今回の作品は以前にもテーマとした「宇宙の広がり、神秘」を表現しています。アクリルの多面体のケースの中に、星座の輝く青い天球が浮かんでいます。その宇宙の中心を覗き込むように、万華鏡が組み込まれています。ミラーステムがオープンになっているので、その星空が内部映像に映りこんで2ミラーのマンダラ映像を囲んでいます。第3面がオープンになっているミラーシステムを下側に向けると、映像は一転してビッグバンを表す大きな渦が目に飛び込んできます。静かに深い宇宙とダイナミックな動きのある宇宙がみごとに表現されています。台座にはコンピューターの基盤が組み込まれ、光や音楽、万華鏡の動きなどをコントロールしているそうです。オブジェクトの色合いはいつもながらテーマにぴったりとあうようによく考えられていて美しくて透明感のある映像を見せています。こんなに立派な作品ですが、まだまだ進化する余地があるそうで、次回は流れ星や印象的だったアルバカーキの満月も取り入れてみたいとおっしゃっていました。6月21日から東京、新宿の伊勢丹デパートで万華鏡展を予定されていてきっとこの作品も発表されることでしょう。そして多くの人に万華鏡の面白さを見せてくださるに違いありません。(万華鏡の左側に見えるガラスのオブジェが受賞者に授与されました)
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ヘンリー・バーガソンの万華鏡

2006-05-18 20:35:38 | 万華鏡ブログ
木工の万華鏡を作る作家さんは、外観のデザインが皆さん個性的で、見ただけでこれは誰の作品かわかることが多いのですが、その中でも独自のデザインと機能性を追求し続け、進化しているのが、このヘンリー・バーガソンです。ニューイングランド生まれで大学では機械工学を学び、船の仕事に携わっていましたが、大西洋で難破するという経験を経て、人生観が変わったそうです。コロラドの山中に移り住み、自分の力でできる、より創造的な仕事を目指した彼が出会ったのが万華鏡でした。この環境が何よりも気に入って工房を構え、1987年から製作を続けています。
美しいラインを描く木材と磨かれた真鍮のコンビネーションがひとつの特徴ですが、この「インバージョン」という作品でもそれぞれのセルの縁取りに真鍮が使われ、アクセントとなっています。滑らかで美しい木の表情は暖かさを感じさせるし、触ったときの心地よさも魅力のひとつです。造形デザインは、木の生命(いのち)を表現しているように思えます。オブジェクトセルは黒い背景のセル、白い背景のセル、透明なセル(裏と表の2種類の表情)が簡単に交換できるので、4種類の楽しみ方ができます。光源を内蔵していて、スイッチを押すとオブジェクトセルに光があたります。しばらくすると自動的に消えるシステムです。姿の美しい万華鏡だと思うのですが、この写真で伝わりますでしょうか。
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コンベンションからのメッセージ

2006-05-17 23:55:48 | 万華鏡ブログ
今日はザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションプログラムに書かれた運営委員からのメッセージをご紹介します。

「色は私たちの住む世界でとても重要な役割を持っています。色は考え方を左右することがあります。色は行動を変えさせることがあります。色は反応を呼び起こします。人間は色に対して感情から動くということ、そしてその反応の仕方は人それぞれであることはよく知られています。万華鏡は私たちの五感を、さまざまな色とそれによって呼び起こされる感情で満たすのに、完ぺきな手段なのです。私たちみんなの万華鏡と色への情熱に万歳!」

この映像はその運営委員のひとりであるチャールズ・カラディモスの赤いパーラースコープの内部映像です。このソサエティーを万華鏡にたとえて、「私たちひとりひとりはオブジェクトの中の小さなガラス片に過ぎないけれど、同じ情熱のもとに集まったそのグループがまとまれば、万華鏡の映像のように予想を超えた美しさで輝き、人を幸せにすることができる」と言った人がいました。この映像を見てそのことを思い起こしました。
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フィエスタ オブ カラー

2006-05-16 21:46:06 | 万華鏡ブログ
ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンション「フィエスタ オブ カラー」が、5月11日から14日まで、アメリカのニューメキシコ州、アルバカーキで開催されました。参加者は200名ほどで万華鏡作家、コレクター、小売業者など、万華鏡に携わる異なる立場の人々が集い、新作の発表があったり、作家が自分の作品を並べて、万華鏡ショップやギャラリーとの取引をする場であったり、コレクターの人が直接作家と話しながら、気に入ったものを買うことができる場にもなっています。今回で18回を数えるこの集まりに、アメリカ各地から、日本から、またイギリス、ドイツなどから参加者がありました。万華鏡を見て楽しみ、愛好者同士の交流を深めるフレンドリーな雰囲気の集まりです。最大の楽しみは各作家による新作発表です。これからしばらくの間、このコンベンションで発表されたすばらしい作品をご紹介していければと考えています。
今回ご紹介するのは、日本の新進ガラス作家、佐藤元洋さんの作品です、タイトルは「碧水」、青く深く澄んだ水という意味で、映像イメージからその名前をつけたそうです。この万華鏡のユニークなところは、ミラーシステムの代わりにプリズムを使っているところで、万華鏡の筒にあたる部分が同時にミラーシステムの役目を果たしています。台座の部分は板ガラスの層なのでかすかにその重なりのラインが見えます。プリズムの材質はクリスタルでとても透明感があり、写真に撮ると周囲が映りこんでしまうので直線的なラインが見えづらいのですが、いかがでしょうか。その工程は佐藤さんによると「ひたすらガラスやクリスタルを磨く、磨く」ことだったとか・・滑らかに回転するオブジェクトセルも、オブジェクトの数々も丁寧に作られて、彼のテーマのひとつである「水」をきれいに表現しています。
作家さんがアメリカまでこのような作品を持ち込むのはいつも大変な労力を伴うことで、セキュリティーチェックで梱包を解かなくてはならないこともしばしばあるそうです。今回もそのような場で、期せずして披露された彼の作品にその場に居合わせた人が群がって歓声を上げたそうです。6月には東京でこの作品が披露される機会があると伺っています。
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細野朝士さんの偏光オイル万華鏡

2006-05-09 21:38:49 | 万華鏡ブログ
この映像は細野朝士さんのオーロラ・2ミラーという万華鏡のものです。彼の万華鏡ボディーはステンレスのシンプルな外観に統一されていますが、ミラーシステムと内部映像はさまざまあり、いずれも独自の世界を展開しています。この作品はレンズ入りの偏光オイルタイプで、光源付近に向けてみるタイプだそうです。きらきら感を最大限生かし、透過光の映りこんだ映像の変化を楽しみます。光のほうに向けながらテレイドスコープのように動かしてみると、外の光を取り込んで、背景がオーロラのように色合いが変化します。幻想的ですね。
このほか、偏光ドライタイプもありますが、こちらはテイパードミラーシステムになっており、黒い背景に浮かび上がる立体的なドーム状の映像が特徴です。虹色の、本当に細かい三角や四角や長方形の色模様が組み立てられてくっきりと浮かび上がります。本来あまり色のない偏光素材が光と鏡のパワーでこんなに美しく輝き、色の饗宴を見せてくれるのが、何度見ても、本当に不思議です。こんなに素直に驚いてしまって、細野さんの思う壺にはまってしまったかなといつも思います。
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ペットの万華鏡

2006-05-08 20:24:59 | 万華鏡ブログ
今年は戌年で、年賀状にもいろいろなわんちゃんが登場しました。友人のところの太郎君と次郎君がとても可愛かったので、写真をもらって万華鏡にしてもらいました。ここには映っていませんが、ちゃんとTaro & Jiro という名前も入っています。オブジェクトも写真の色合いに合わせて選び、3ミラーの内部映像にもTaro & Jiroという字が見えます。光のたくさん入る大きめのオブジェクトセルなので映像も明るく、奥行きのある見え方です。大切なペットの写真をTシャツやバッグなどに転写したものがありますが、こんな万華鏡にするのも楽しいですね。 オブジェクトにはガラスやプラスティックのビーズなどのほかに何と金色の骨(!)が入っています。アメリカの作家さんにお願いして作ってもらいましたが、自分だけのオリジナルな万華鏡を欲しい人、お祝いや記念の気持ち、思い出など万華鏡にしてみたい人にご案内していきたいと思っています。写真だけでなく、自作の絵などでも作れます。特別なプレゼントとして差し上げたら、きっと喜んでもらえると思います。
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山見浩司さんの万華鏡

2006-05-07 18:40:09 | 万華鏡ブログ
昨日有田焼の万華鏡でご紹介した作家、山見浩司さんは本来、ステンドガラスの万華鏡を作る方です。この作品はBorn to the Space (2001)という作品で、黒やグリーンのステンドガラスの輝きが美しい造形作品でもあります。テイパード(ミラーの先端が細くなっている)の3ミラーシステムで、その上、オブジェクトケースが食い込むように取り付けられているために、ユニークな映像を作り出します。手作りのガラスオブジェクトとオイル入りの球体を鏡を通して見ますが、つまみを持って回すことで映像の変化を楽しみます。このようにパーラー型あるいは卓上型の万華鏡は、手に持って持ち上げる必要がありませんので、大掛かりな作品やガラスなど重量感のある作品に向いており、軽く筒の部分を支えて先端部を回すことで、楽に覗くことができます。山見さんの映像にはガラスの魅力を知り尽くした作家ならではの美しさと奥行きがあり、万華鏡の中の世界に引き込まれるような気持ちになります。
日本の作家さんとしては草分け的な存在で、ザ・ブリュースターソサエティーにも早くから参加なさり、すでに2回の受賞暦があります。また、万華鏡教室の講師として活躍なさり、その教室から立派な作家さんたちが続々と生まれてきています。日本万華鏡倶楽部の創設者の一人として、万華鏡の普及活動にも尽力なさっていて、日本の万華鏡界に大きな貢献をなさっている作家さんです。アメリカでアートを学んでいた時に万華鏡に出会い、帰国後その道を開拓し、そして今では万華鏡のいろいろな可能性を広げるような活動をなさっているので、今後ますます期待したいと思います。
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有田焼の万華鏡

2006-05-06 23:28:15 | 万華鏡ブログ
日本の伝統工芸の有田焼で作られた大型万華鏡をご紹介いたします。日本を代表する万華鏡作家、山見浩司さんが積極的に協力し、有田の大手窯元の香蘭社や源右衛門窯、佐賀ダンボール商会などが立ち上げたプロジェクトの結果、生まれてきたコラボレーションの作品です。地盤沈下が進む有田焼の業界を活気づけるきっかけとなったという意味でも、大変注目を浴びました。陶磁器で精密なサイズの筒を作ることの困難さを乗り越え、有田焼ならではの美しさを生かした万華鏡は、万華鏡が工芸品として一歩進んで作られているアメリカでも類を見ない、日本の伝統工芸ならではの作風を上手に表現しています。手描きの模様、色付けなどしたものは有田焼の高級品としてそれなりの価格はしますが、とても魅力的です。そしてその外観の印象を裏切らない、ガラスの透明感のある美しい内部映像が見る人の心を惹きつけます。作品の種類も、手持ち型の万華鏡(オイル・ドライ両タイプ)、テレイドスコープ、そしてペンダントタイプなど数も増え、このような大型の床置き型の万華鏡も作られるようになりました。立ったまま覗ける高さがあります。白地に手まりの模様が可愛らしく、清楚な感じですね。2枚のステンドガラスのホイールを回転させて、映像の変化を楽しみます。台座や支柱ののデザイン、全体の姿もバランスが取れて美しいと思います。昨年のザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティのコンベンションでも発表され、高い評価を受けました。このような作品を美術館やホテルなど公共的な場に展示して、多くの人に見てもらいたいというのが、有田の職人さんと山見さんの願いだそうです。
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