万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

美しいオブジェクトセル

2007-10-17 21:07:24 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻のもうひとつの最新作「ザムカ」Zamkaは、一つ一つ番号を持つシリーズ作品で、「カザーム」Kazaamのビッグブラザー(兄貴)と紹介されています。限定版ではありませんが、一度に数個作っては、次の作品に取り掛かり、期間を置いてまた作るという風に製作しています。木材の種類もいくつかあります。この万華鏡の特徴といえば、オブジェクトセルに施された模様に注目です。黒地にくっきりと彫り込まれた白い模様はやはりローズエンジン(木工装飾のための機械)によるパターンだそうです。美しい木肌に茶色のアルミニウム、その先端にこの装飾がとても魅力的です。
注目は先端部だけではありません。この作品のオブジェクトセルの側面は、表面は滑らかなカーブを描く美しい仕上げがなされています。そして内部を良く見ると、スカラップ状に彫りこまれているのが、外からも見えています。オブジェクトセルの形状にここまで気を配る作家さんはあまりいないなあと思います。そして木製の筒から先端まで、一体化した美しいラインも見事です。セルの滑らかな回転という機能を果たしながら、形も整った作品は、ナップ夫妻の今までの技術と経験から生み出された結晶であることは、間違いありません。
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ガラスと光の饗宴

2007-10-16 22:45:08 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻の「パステレイター」の内部映像です。たくさんの映像の中から1つを選ぶのが結構大変な万華鏡であることに気付き、あれこれ迷った挙句にこの写真を載せることにしました。 今までの彼らの作品の多くは、内部映像に関しては、パステルイメージとブライトイメージの2種類があり、それぞれ色合いの傾向があっただけに、この作品ではさまざまな色とさまざまな形、質感のガラスオブジェクトが混ざり合っていて、生み出される映像の特徴が捉えにくいのです。だからといって無作為に選ばれたオブジェクトではなく、考えられて創られ、組み合わされたものであることもちゃんと分かるような構成です。それだけ変化の仕方がダイナミックで、しかも繊細なのです。2ミラーシステムを通して8ポイントの映像はとても大きく、強いインパクトがあります。
オブジェクトセルの外側は12面にカットされ、内側は貝殻状に彫りこまれている手の込んだ造りですが、光の通し方に変化と影響を与えると思います。滑らかなセルの回転も大変心地よく、いつまでも眺めていたい万華鏡です。
木工の万華鏡とガラス細工を究めて、新たな万華鏡を作り続けるナップ夫妻はやっぱり凄い作家さんです。
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ナップ夫妻の新作万華鏡「パステレイター」

2007-10-15 22:23:05 | 万華鏡ブログ
木製の万華鏡に独自の境地を開き、さまざまな一点ものや限定版の作品を生み出しているランディー&シェリー・ナップ夫妻から、最新の限定版万華鏡「パステレイターPastelator」が発表されました。黒っぽい木製の筒全体に彫りこみを施し、紫色のアナダイズド・アルミニウムと組み合わせた堂々とした重量感のある作品です。この写真からも分かると思いますが、覗き口の直径はオブジェクトセルの直径の約半分で、先に大きく広がる感じです。ミラーシステムも先が広がる「逆テイパード」といわれるもので、映像の大きさと美しいシンメトリーを生み出す仕組みです。いつもながら、品質の高さには感心します。
木部の彫りもアルミニウムのデザインもオブジェクトセルの造形もすべてローズエンジンと呼ばれる旋盤を使っての加工で、今ランディーさんが究めようとしている技術です。オブジェクトセルの先端部には幾何学的な曲線模様が施され、とても手の込んだ作品です。 入手した木材の種類によるのでしょうか、シンビオプティックに次いで発表された少数の限定版万華鏡です。
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天然石のオブジェクト

2007-10-14 21:58:03 | 万華鏡ブログ
前回ご紹介しましたデヴィッド・カリッシュさんの「ザ・エンターテイナー」のオブジェクトセルの1つは、オイルセルで、オブジェクトは天然石です。パワーストーンと呼ばれている色とりどりの石がありますね。その小さなかけらの角をとって丸くした感じです。パワーストーンというのは、「古代より自然のエネルギーが持ち主にいろいろな影響を与えると考えられている鉱物石」だそうです。アクセサリーとして身につけて、そのパワーを感じようとする人もいるようですね。ここで使われている石そのものは、光を通さず、透明感やきらめきもないのですが、オイルの中に入れると、色が鮮やかになり独特の個性を発揮します。形は不規則なので、生まれる映像も映りこむ部分によって、大きく変わってきます。透明で、取り外しが可能なセルですから、セルの中のオブジェクトが良く見え、個々の石の色や表情の豊かさが良く見えます。映像となって映りこむと、この写真のように、落ち着いた色合いの模様になったり、紅葉した木々のような赤い色合いになったり、表情をさまざまに変えます。カリッシュさんは、このタイプのオブジェクトセルを1つのトレードマークにしていて、ほかの作品にも良く使っています。万華鏡に石のパワーが加わって、見る人にエネルギーをくれるかもしれません。
この万華鏡では、もう1つのオイルセルがあり、こちらは対照的に装飾的なビーズや輝きのあるガラスビーズなどを多用し、また別の映像世界を見せてくれます。
そしてもう1つのドライセルには、自分の好きなものを入れ替えて覗く楽しみがあります。
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ザ・エンターテイナー という万華鏡

2007-10-12 21:50:14 | 万華鏡ブログ
デヴィッド・カリッシュさんの2007年新作の「ザ・エンターテイナー」という作品です。アクリルと金属と木を素材として使い、すっきりとした作品に仕上げています。スタンドの部分は黒っぽい透明なアクリルで万華鏡を宙に浮いた形で支えています。万華鏡本体はサテン仕上げのクローム材、覗き口の部分を木で作っています。筒の先端の透明なアクリル製の円盤で載っているだけで、そこから取り外して覗く、手持ち型の作品です。
この万華鏡のオブジェクトセルは透明な円盤のついた帽子のような形で、先日ご紹介したアイポッドと同じようなつくりです。磁石の吸着力でオブジェクトセルの取り外しをします。2つのオイルセルと1つの空のセル(ドライタイプ)が付いていて、空のセルには好きなものを入れ替えて楽しむことができます。両脇に替えのセルを取り付けるのも磁石なので、側面に近づけるだけで、カチッとくっつくのです。
もう1つの大きな特徴は、ベアリングにより、オブジェクトセルだけを滑らかに回転させることができるところです。オブジェクトセルを外すと、そのベアリングの仕組みが良く見えます。
一見して万華鏡とはわかりづらいデザインでありながら、機能を持ち、3つのセルと鏡の筒で映像世界を演出し、楽しみを与えてくれるこの作品を、カリッシュさんは「ザ・エンターテイナー」と名付けました。ぴったりのネーミングであり、また彼らしい名付け方だと思います。
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雪の舞う万華鏡

2007-10-10 14:45:17 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した細井厚子さんの「静夜」の映像写真です。オイルセルですから、本当はゆっくりと舞う映像がその魅力です。
何故白い万華鏡が静かな夜を表しているのか、お分かりになると思います。こんな静かな作品ですが、覗いているとその世界に引き込まれてしまうのです。夜空から舞い落ちる雪が降り積もる夜を、その時間を、そのときの気持ちを込めて、そしてこの万華鏡を手にとる人と分かち合える希望を秘めて創られたように思われてなりません。
オブジェクトの中には丁寧に創られた小さな雪の結晶があり、それが見えたときは子供の頃、手袋の上に雪の結晶を見つけて嬉しかったことを思い出しました。
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真っ白な万華鏡

2007-10-09 21:58:13 | 万華鏡ブログ
細井厚子さんの白いステンドガラスの万華鏡「静夜」です。静かに、しかし、しっかりとその存在を主張している作品です。美しいですね。
細井さんの作品を目の前にすると、語る言葉が見つからない、寡黙な人になりそうです。でも心のなかで、作り手の思いを何かしら感じ、反応している自分がいる…自分の心に問いかけている自分に気が付くのです。どうしてだろう?この静けさをずっと感じていたい。白い中に吸い込まれていきたい。そんな気持ちになる万華鏡だと思いました。
細井さんの作品の外観は、基本的な形を保ちながら、単色のガラスでシンプルにテーマを表現します。オイルセルの中には繊細なオブジェクトがかすかに見えるぐらいの、控えめなスタイル。待っているとふわーっと流れるように見えてくる内部映像にも、独自の世界を築き上げています。
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記念の万華鏡を探して

2007-10-08 21:10:54 | 万華鏡ブログ
今日は万華鏡の紹介ではなく、ある万華鏡コレクターのお話です。先日アメリカのザ・ブリュースターソサエティーの会員のご夫婦が日本へのツアーに参加なさり、自由な時間に日本の万華鏡を見たいとおっしゃるので、京都の万華鏡ミュージアムのことをお知らせし、楽しんでいただきました。東京では万華鏡専門店にご案内いたしました。カレイドスコープ昔館、ギャルリー・ヴィヴァン、そして山見さんのリトルベアのそれぞれで、日本人作家による作品を、じっくりと中を覗いて楽しまれ、喜んでいました。結婚50周年の記念の旅行で、思い出となる万華鏡を手に入れたいと、二人でご相談しながらの微笑ましい様子にこちらも心が温かくなりました。
万華鏡のアイディア、外のデザインと内部の映像について、それぞれの意見を交わし、お互いの気持ちを大切にしながら、迷った末にお二人で求められた3本の万華鏡。日本から大切に持ち帰られてコレクションの中に加えられるのかと思うと、私も嬉しくなります。
日本人の作家さんが創られた作品が、アメリカで認められ受賞したり、少しずつですが、アメリカの万華鏡店やウェブサイトでも売られるようになっています。嬉しいことですね。
(この映像はナップ夫妻のシンビオプティックです。)
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万華鏡のアイポッド

2007-10-03 21:30:37 | 万華鏡ブログ
デヴィッド・カリッシュさんの2007年新作、プロダクションタイプの小型万華鏡「アイポッドEye Pod」です。筒に黒い布を巻き、透明なアクリルの円盤がアクセントになっています。どこかで聞いたことのあるネーミングですが、万華鏡用の綴りになっています。
何気ない作品のように見えますが、良く考えられて作られています。この万華鏡はインターチェンジャブル(交換可能)な万華鏡です。何を交換できるかというと、オブジェクトを好きなように入れ替えることができるのです。どうやって交換するかというと、オブジェクトセルをパカッと外すのです。アクリルの円盤は、実は小さな2個のマグネットでぴったりと重なった2枚の円盤(といってもオブジェクトセルのほうは帽子のような形です)で、小気味良く閉じたり開いたりできます。透明なアクリルの上に黒い丸が見えますが、この部分がマグネットです。ちょっと力を入れないと外れないので、ぐるぐる回したりしても外れることもなく、磁石の力強さに安心感があります。
説明を聞けば、誰でも納得する構造ではありますが、やはりこのデザインこそがカリッシュさんらしいと思うのです。シンプルで誰もが楽しめる万華鏡を、マグネットを活かしたスタイリッシュな作品に創り上げていると思いませんか。プロダクションタイプといっても丁寧な手作りで、しかも、オブジェクトを変えていろいろ楽しめる優れものです。
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葡萄色の世界

2007-10-02 22:14:24 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介したローラ・ワイルドさんのエリプス・シリーズから「葡萄」の内部映像です。大きなオイルシリンダーにたっぷりと入れ込まれたさまざまなオブジェクトが、豊かな色合いで葡萄のイメージを展開します。あまり映像が大きすぎて写真に納まらないほどです。
ミラーシステムの第3面に外部に使った紫色のスエードを貼っているので、映像の周りに紫色の霧がかかったように映りこみ、やわらかな雰囲気になっています。
ローラさんが最初に手がけたシリーズは「ヴィクトリアンレディース」という万華鏡でした。細めの筒に、布を巻いて、リボン、ブレードなどで装飾した外観と、その色や模様に合わせた映像を展開する手芸作品のような万華鏡でした。女性らしい、可愛らしい雰囲気の作品だったと思います。その後、幅を広げ、技術も向上してシリーズの数も増えましたが、使われているポリマークレイのタイルなども自分で作り、そこに絵を描くなど、手作りの暖かい雰囲気を伝えます。
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