庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

セミ

2007-07-19 11:37:24 | 自然
昨日は走行中の車の中から今年初めてセミの鳴き声を聞いた。まだ数が少ないのだろう、盛夏に比べると控えめではあったが、今年もまたやってきた暑い夏を感じるに充分な合唱だった。

セミの命は一週間とか十日とか、儚(はかな)いものの代表みたいに言われることもあるが、何年にもわたる地中での幼虫期間を合わせると、昆虫類の中でも相当に寿命の長い部類に入るらしい。

我が家の庭の南縁に並ぶキンモクセイの根元あたりは、彼らにとって絶好の生活環境であるらしく、厚く堆積した腐葉土を聡怩オていたら、純白に輝くような幼虫が出てきて感動したことがある。

彼らの長い地中の生活は、存外快適で楽しいものなのかもしれない・・・外界の喧騒とも無縁で安全、適度に暖かく、食料の微生物はそこいら中にいる。暗く狭いところで窮屈に云々・・・なんて想像は人間のもので、彼らの現実でないことはおそらく間違いないだろう。

ある年の夏、何かに促されて、長く豊かな地中の生活に別れを告げて彼らは木に登り羽化をする。その幼い羽の色合いの美しいこと!その何かが、単に種族保存の本能のみであるとは私には思えない。メスを呼ぶためとされる、あの林を震わす精一杯の鳴き声は、時に私の身体にも深く染み込んで、その意味を伝えようとすることがある。

それを人間の言葉に末オたら、「ただただ、生きること死ぬことが嬉しくてしょうがない」・・・生命の懸命の震(ふる)え、とでも言うしかないのかもしれない。


ウィキペディア

台風三首

2007-07-19 10:13:25 | 創作
塵埃(じんあい)を 払うをもって 行(ぎょう)と為す 台風一過 深き大空

南洋の 水を抱えて やってくる 巨大な渦も 慈悲の行業(ぎょうごう)

島国の 生命(いのち)潤す 雨風を 被害となすは 何の仕業(しわざ)か

-寛太郎