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五感

2006年08月23日 | 私見
「五感を全て挙げよ」と聞かれて、言えない人はいないでしょう。

言うまでもなく「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」ですね。中には「第六感もある」なんて言っている人もいるでしょう。
しかし、発達障害を捉える上での五感というものは、少し違います。

すなわち、「前庭覚、固有覚、視覚、聴覚、触覚」です。

味覚障害なんて言葉もありますが、この人は普通の人生を送る上で多少の愉しみの欠如はあっても、困って仕方がないとまではいきません。臭いも同様です。しかし、目が見えなければ直で生活が困難になってしまいます。こちらの五感は、人間が生活する上で欠かす事のできない感覚であると言えるでしょう。

さて、後ろの3つは共通ですが、前庭覚、固有覚という言葉は初めて聞かれた方も多いのではないでしょうか。簡単に説明すると、前庭覚とは「重力の感覚、平衡感覚」で、固有覚とは「筋肉の弛緩や関節の感覚」を表しています。
日常生活において、重力があることはある意味当たり前です。受精卵の時代から、細胞分裂を繰り返すうちに重力によってハート型になり、そのまま「背中、お腹」が決定されるのですから、それがある故に人間は地球上で発展できたと言えるわけです。しかし、中にはあたかも別の星から移住をしてきたかのように、この星の重力を受け入れられない人がいるのです。難しく書きましたが、イスを後ろにギーコギーコしている子は、こうした重力の刺激を正常に処理できずにより強い間隔を求めているのですし、某マンガの“L”や“魔人ブウの第二形態”など、ヘンな座り方をしたり常に首を傾けていたりする人も、ある体勢を取らないと思考力が衰えたり、砂時計が落ちるのをじっと待つことが苦手だったりするなど、この「前庭覚」が未発達な状態にあると言えるのです。

固有覚についても説明すると、例えば目を閉じた状態で本一冊持ってもらい、次に本5冊持ってもらいます。目を閉じていても、「後からの方が重かった」と確実に分かるのですが、「では、なぜ“重い”と分かったのですか」と聞かれると応えようがありません。実はこれが「固有覚」で、重いものを持ったことによって筋肉の張力の違いが理解できたから、重さが分かったわけなのです。5冊だと流石にアレですが例えば腕立て伏せを10回やった後、同じように2冊ぐらいで重さ比べをしてみると意外に分からないものです。フリーザを倒し、強くなりすぎた悟空が軽く叩いたつもりでチチを吹っ飛ばした状態であると言えば分かりやすいでしょうか。
その「固有覚」の働きが鈍いために、コップに飲み物を入れすぎたり、定規でまっすぐな線を引いたり「3cm5mm」を正確に測ったりするのが困難な子が出てきます。大人になるともっと深刻で、急ハンドル急ブレーキなど、車の運転が荒い人、身近にいませんか?

このように、「前庭覚」「固有覚」とは、LDやADHDの子に密接な関係ある“見えない感覚”なのです。ある意味「第六感」のようなものなのかもしれませんが、この2つを含む「五感」を鍛えることとは、ボディーイメージ、すなわち「自分の体」をコントロールすることであり、感じたことを脳で適切に処理し、行動に移すと言う人間の根本的なサイクルを作っていくことになるのです。
「字が下手だ」というのは、極端な話そのままでは何100回練習してもうまくなりません。それよりも、ブランコや自転車に乗って平衡感覚を養い、木登りやジャングルジム遊びなどで筋肉の力配分を学習し、しっかりと感覚を鍛えてから臨んだ方が実は近道だったりするのです。α式感覚統合法で、来年度から始まる特別支援教育を乗り切っていきましょう。

と言うような話を今週末に大学でしてきます。そんなわけで練習がてら文章にしてみましたが、どうもまとまりが弱いような。上手く話せるかなぁ・・・