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国家の学力

2013年12月04日 | 時事
日本「学力向上」=読解・科学4位、数学7位―上海が連続3冠・国際調査
現在の「脱ゆとり路線」の根拠となっていたPISAの結果が、3年も経たずに盛り返してきた模様です。

現行の学習指導要領は平成23年度から実施されています。ではその前はと言うと、平成14年から22年までは内容が3割削減された、いわゆる「完全ゆとり教育」でした。つまり、今年受験した高校1年生の子は、小学校6年間と中1までを「ゆとり」で、残り2年間を「脱ゆとり」で育ってきた子どもたちなのです。もちろん段階的に先行実施はされていますが、小学校、少なくとも低学年の頃の「ゆとり」はそんなに悪い事ではないのではないかな、と思う今日この頃です。
授業の時間が増えたため、今の1年生は月曜日から金曜日までほぼ5時間授業です。「昔はもっと勉強していた」と思われた方、確かに土曜日に3時間ありましたが、今はないので自分達が子どもの頃はむしろ5時間授業は少なく週に3日しかありませんでした。今は5月のGW明けぐらいから毎日5時間になるのですが、給食を食べるとママが恋しくなって泣き出すような1年生に、そこまで勉強させてどうなのかなぁと思っていました。2年生からの6時間もキツイですね。この時期は4時過ぎるとどんどん暗くなってきますから、低学年は安全面でも心配です。今回の指導要領改訂は、戦後初めての内容が増える改定であったため、この移行期の子ども達は少なからずどこかで新しい学年相応の学力を身につけるために無理をさせています。例えば、算数では「不等号><」が20年ぶりに2年生に復活しましたが、当時の5年生は習っていないのにいきなり教科書に不等号が出てきて面食らうと言う経験をしてきているのです。それでも追いつける力が、思春期の頃の日本の子ども達には十分にあるというのが、今回の調査から分かることではないでしょうか。

もう1つ思うのが、日本が例えば10位だったとして、それで他国に劣っていると判断できるのか、ということです。2000年からの数学的リテラシーの結果は1位→6位→10位→9位→7位となり、指導要領改定の根拠となったのは10位を取った2006年ですが、これ実は参加国の分母が年々10くらい増加しているということはあまり報道されていません。32カ国中1位は流石に凄いですが、41カ国中6位が56カ国中10位になったのを単純に「下がった」と見るのは早計ではないかということです。それと、いずれも現在上位にランクインしている国は、多くは都市国家か日本より人口の少ない国ばかりです。もしかしたら、人口1億人を有していて、それで上位にいる国は日本だけなのではないでしょうか。以前、全年齢を対象にした学力調査があった時も、日本はどの層でもトップを走っていました。今回の改定前までは間違いなく学習内容は削減され続けてきたのに、これだけの人数が老若男女ほぼ平均的に学力が高く維持できるのは、日本の教育の方針が間違っていなかったと言う証明になるのではないでしょうか。もちろん今後がくっと下がってしまうのは問題ですが、このレベルを維持できるなら、次に政府が考えるべきはもう学力再生ではなく「この学力をどう生かすか」でしょう。

日本の子どもはよく「何のために勉強するの」と聞きます。海外ではまずありえません。日本人だけが、この問いに対し答えのない哲学的な思考を巡らしてしまうからです。実はこの問いに対する答えは明快で、ずばり「国のため」以外にはありえません。しかし、そう言うとまるでアレルギーのように戦争を連想してしまう人が、「自分のため」とか「人のため」とか言って論破されてしまうのです。良い悪いは別にして、「国のため」「国を守る」という発想を毛嫌いするようになってしまったのは戦後教育の1つの成果ともいえるでしょう。しかしこのせいで、海外では当たり前である「国の発展や未来のために勉強している」という思考ができないのは問題だと思います。
一方で、法的には日本国憲法の26条に「子どもに教育を受けさせる義務」があるとしっかり明記してありますし、教育基本法にも「平和で民主的な国家及び社会の形成者」として教育するとあります。日本国の発展のためにわざわざ税金を投入して教育を行っているのですから、当然成人すれば国家および社会の形成者としての責任を果たす人材となるべきです。ただし、現状は必ずしもそうなっているとはいえません。勤労も納税も義務なのですが、様々な理由で中々果たせない国民もいるわけですしね。世界には、学校に行ける環境になく、まともな仕事にありつけない子ども達がまだまだたくさんいますが、そう考えると学歴は高いのに就職できないとか、いつまでも経済的に自立できないとか、海外に比べて日本人の抱える問題点はちょっと趣旨が違うのです。義務教育中に教えるべき内容は、本当に点数を取るためだけのものだけでよいのでしょうか。大学入試も変わることですし、今後は人物そのものを磨いていく視点も必要になってくるでしょう。そもそも教育は学力の完成でなく、人格の完成を目指して行うものですからね。

それにしてもこの調査って、国レベルで参加したり都市レベルで参加したりできているのは謎だなあ・・・次回は常勝秋田を投入してみては?