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アルファ碁完勝

2016年03月16日 | 時事
【囲碁AI対決】最終戦、韓国トップ棋士がソフトに敗北 “人類”の通算成績は1勝4敗
囲碁の人工知能に韓国のトッププロが挑んだ世紀の5番勝負は、AI側の4勝1敗となりました。

第1局はそれこそ歴史的な勝利に思えましたが、何とその後立て続けに連勝し、ストレートで勝ち越しを決めてしまいました。1局目2局目は連日対局であり、敗戦のショックから立ち直る余裕がなかったのも人間側が不利だったかもしれません。3局目までは全く隙がなく、悪手に見えた手も実は考え抜かれた手だったのではないかとプロが疑心暗鬼に陥る始末でした。しかし4局目、ついにイセドルの放った妙手にアルファ碁が対応できず、明らかに得にならない手を繰り出すようになり、結果中押しで1勝をもぎ取りました。この勢いでもう1勝を・・・と思いきや、最終局は序盤ミスが出たものの終盤まで冷静に打ち切って勝利、という感じでした。

総じて見ると、アルファ碁はかなり大きく囲う癖があるという印象を持ちました。囲碁では序盤に陣地を稼ぐ実利派と、将来的に大きな陣地を囲う模様派があり、昔は隅や辺にしっかり打ち切って中央に展開する実利碁が多かったですが、最近は大きな模様を構えるスピード碁が多いので、今の風潮に乗っているのかもしれません。現代碁をたくさん勉強しているからでしょうか。1局目も左上を大きく取っていましたし、最終局も最後に勝負を決めたのは左下で稼いだからに見えました。CPUなので形勢を分析し、どちらが得かといったフリカワリもお手の物でしょうしね。負けた第4局も、一瞬上辺を大きく取り切って大優勢か・・・と誰もが思った瞬間のイセドルの妙手でした。普通のプロならあれで終わっていたかもしれません。

CPUの利点は疲れないことと、ミスっても動揺しないことがあります。逆に弱点と言えば、一般的には大石の死活やコウが苦手だと言われます。第4局・第5局はその2つの弱点を同時につきつけられ、変なコウ材作りの手や無駄にコウ材を消費したりする不自然な手が見られたので、やはりアルファ碁も苦手なのでしょう。第5局はコウにする手筋をわざと避けて取らせにいき、終盤にイセドルがミスをした瞬間に左下を大きく取ろうとする手を打って盛り返したような感じでした。やはり疲れない、動揺しないというのはものすごい強みですね。自分などはよくミスった直後にもっと致命的なポカをしたりしますから(笑)

この対局の結果、ある囲碁のランキングサイトではアルファ碁が中国のカケツに次ぐ世界第2位にランクインすることになりました。名実共に世界トップクラスだといっても過言ではないでしょう。これがまだ誕生して2年だと言うのだから驚きです。今も自分との対局を繰り返して強くなっているようで、まもなく誰も勝てなくなってしまうのではないでしょうか・・・まあしかし、これは世界最高のスパコンを大量に投入しての結果であり、市販されるようなものではまだまだアマ強豪といったところではないでしょうか。将棋では既にソフト指しといってネットで分からないのを良いことにソフトを使っている人もいるようですけど、そのうち囲碁でも増えてくるのかもしれませんね。そうやって勝つことに何の意味があるのかは分かりませんが。