<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき じゃない
2015年(平成27年)2月25日、第189国会衆議院予算委員会において、西川農林水産大臣が政治資金問題で辞職(2月23日)したことに対する安倍首相の任命責任を問う質疑が行われました。
この質疑の中で馬淵議員は、国立国会図書館が調査した資料を示して、1985年から質疑当日までの30年間に政治とカネの問題で辞職した大臣が17名いること、そのうち7名(41%)が質疑時点で合計3年2ヵ月間(30年の10%)になる安倍内閣の大臣であると指摘しました。
■国会議事録 2015/2/25 衆議院予算委員会 関係部分抜書き
〇馬淵委員
―― 略 ――
そこで、安倍政権における歴代閣僚の政治と金の問題についてということで整理をしてみたいと思いますが、お手元の配付した資料の中、三をごらんください。これは、国立国会図書館にて調査し、作成いただいたものです。1985年、すなわち直近の30年間、この間における内閣での、いわゆる政治と金の問題で辞任した閣僚のリストであります。
1985年の中曽根内閣から2015年までの、今日のこの安倍内閣までの30年間、これをごらんいただきますと、一々読み上げませんが、17名の方が政治と金で辞任をされています(※2016年2月で18名)。もちろん、辞任の理由はさまざま複合する場合があります。定義はないでしょう。したがって、今回、国立国会図書館におかれては、外形的にも客観性を担保するために、新聞各紙の報道ベースとして作成されたものであります。
これをごらんいただきますと、まず安倍内閣、安倍政権は2006年9月26日に発足をしました。2007年8月27日までの第一次安倍内閣、2007年8月27日から9月26日までの第一次安倍内閣改造内閣。さらに、2012年12月26日から2014年、昨年の9月3日までの第二次安倍内閣、昨年9月3日から12月24日、これは選挙後ですね、までの第二次安倍内閣改造内閣、これは改造した後の、選挙後までの内閣。そして、昨年総選挙後の12月24日から今日までの第三次安倍内閣。三つの内閣というふうにこれはカテゴリーされるんだと思います。
―― 略 ――
総理、総理は同じことをずっと言っているんですよ。ずっと9年前と変わらないんです。大臣の辞任のたびに、政治と金の問題で辞任するたびに同じことを言っているんです。みずからは責任がある、政策を推進する、それは責任の果たし方ではないんです。政治と金の問題に真摯に向き合って、それをどう正すか、それを示すのが本来の責任の果たし方なんです。
総理、わずか3年2カ月で、過去30年間ですよ、歴代の総理がいらっしゃる、30年間の中でわずか3年2カ月の総理の任期の中で7名(※2016年2月で8名)もの大臣が政治と金で次々と辞任を繰り返している。そのたびごとにあなたは繰り言を重ねている。政治と金の問題を全く反省していないからじゃないですか、違いますか。
そして、これこそまさに、この閣僚の辞任、自民党の体質そのものだと私は思いますよ。古い体質そのものじゃないでしょうか。総理、どうですか。何かおっしゃることがあれば、おっしゃってください。
■安倍内閣「政治とカネ」辞職大臣8名のリスト
――上記・馬淵議員質疑の後に甘利氏が加わって8名になりました
▽第一次安倍内閣 2006(H18)-09-26 ~ 2007(H19)-08-27
① 佐田玄一郎 内閣府特命担当大臣(行政改革担当)
2006-09-26 任命 2006-12-28 辞任
2016年女性あさりで再び批判の的になった
② 松岡利勝 農林水産大臣 2006-09-26 任命 2007-05-28 自殺
③ 赤城徳彦 農林水産大臣 2007-06-01 任命 2007-08-01 辞任
▽第一次安倍改造内閣 2007(H19)-08-27 ~ 2007(H19)-09-26
④ 遠藤武彦 農林水産大臣 2007-08-27 任命 2007-09-03 辞任
▽第二次安倍改造内閣 2014(H26)-09-03 ~ 2014(H26)-12-24
⑤ 小渕優子 経済産業大臣
内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)
2014-09-03 任命 2014-10-21 辞任
⑥ 松島みどり 法務大臣 2014-09-03 任命 2014-10-21 辞任
▽第三次安倍内閣 2014(H26)-12-24 ~ 2015(H27)-10-07
⑦ 西川公也 農林水産大臣 2014-12-24 再任 2015-02-23 辞任
2016年3月24日、衆議院に新しく設置された「環太平洋パートナーシップ
協定等に関する特別委員会」(TPP特別委)の委員長に就任
▽第三次安倍改造内閣 2015(H27)-10-07 ~
⑧ 甘利 明 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
2015-10-07 留任 2016-01-28 辞任
内閣総理大臣臨時代理 就任順位第3位
大臣辞任後国会欠席、国会終了後姿を見せる
■① 佐田玄一郎氏 行政改革担当大臣辞職事情
佐田玄一郎氏(当時行政改革担当相)の辞職記者会見記事が内閣府ホームページにありません。大臣辞職は2006年(平成18年)12月28日。第165国会閉会が同年12月19日。佐田大臣(当時)の政治資金問題が165国会開会中に表に出ていないのか、国会議事録にも見当たりません。2016年になって、女性問題で再びクローズアップされるのですが、2006年政治資金問題の記事は見当たりません。以下の記事の元はWikipediaに拠りました。
佐田玄一郎氏は、「安倍晋三さんを支える会」会長として、2006年自民党総裁実現に奔走し、安倍政権実現と共に内閣府特命担当大臣(行政改革担当)に就任しました。(しんぶん「赤旗」2006年12月28日)
2006年12月25日、自身の政治団体「佐田玄一郎政治研究会」が1990年から2000年までの10年間、実態のない架空の事務所費を計上し、約7800万円を支出したとする虚偽の政治資金収支報告書を提出していた問題が発覚。佐田の公設第1秘書の証言によれば、同団体には活動実態が無く、1990年から1999年までに活動費として収支報告書に記載していた2億1300万円についても虚偽記載の可能性が指摘されました。(Wikipedia)
■② 松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる
朝日新聞 2007年05月28日14時21分
28日正午ごろ、東京都港区赤坂2丁目の衆議院赤坂議員宿舎1102号室で、松岡利勝・農林水産相(62)が首をつっているのを秘書らが発見、119番通報した。警視庁によると、松岡氏は自殺を図ったとみられる。松岡氏は新宿区の慶応義塾大学病院で治療を受けていたが、午後2時、死亡が確認された。
赤坂署によると、松岡氏はこの日午前10時ごろまで、宿舎の室内で秘書と話をしていた。その後、出かける予定だったが、正午ごろになっても本人が室内から出てこないため、秘書が、警護に当たっていた警察官と一緒に室内に入ったところ、松岡氏が居間のドアの金具に、布製のひもで首をつっていたという。
松岡氏をめぐっては資金管理団体の光熱水費や事務所費の不透明な支出や、入札談合事件で理事らが逮捕された農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」に関連する団体からの献金問題など「政治とカネ」をめぐる問題が野党から次々と追及されていた。
松岡氏の資金管理団体をめぐっては、電気代も水道代もかからない議員会館を事務所としているにもかかわらず、政治資金収支報告書には2005年までの5年間に光熱水費計約2880万円がかかったと計上していた。松岡氏は国会で「ナントカ還元水とかいうものを付けている」と答弁したが、その後は「適切に報告している」などと繰り返すだけで具体的な説明は一切避けていた。
また、議員会館は家賃もかからないのに、年間約2500万~3300万円を事務所費として支出していたと政治資金収支報告書に記載していた。
一方、緑資源機構をめぐっては、共産党が、林道などの事業と関係のある7政治団体を含む計9団体が松岡氏に約1億3000万円の政治献金をしていたと指摘している。
このほか、出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けた会社の関連団体のNPO法人申請をめぐって、松岡氏の秘書が審査状況について照会していたことが発覚。松岡氏の後援者に対し、都内の会社経営者が「松岡氏への資金協力」として渡した100万円が使途不明になっていることが判明するなど、「政治とカネ」をめぐる問題を指摘されることが絶えなかった。
松岡氏は熊本県出身。1969年、鳥取大農学部卒。1969年に農林省に入り、天塩営林署長などをへて林野庁広報官を最後に1988年農林水産省を退官。1990年2月の総選挙で衆院議員に初当選し、当選6回。農水政務次官や衆院農水委員長、農水副大臣など一貫して農林水産畑を歩んできた。
2006年9月の安倍政権発足時に初入閣し、農水相に就任。農水族の中心的な存在として知られ、対中コメ輸出や豪州などとの経済連携協定(EPA)の交渉にあたっての手腕が買われた。安倍首相は「攻めの農政を進めるうえで必要な人材」と評価し、光熱水費問題をめぐっても擁護する姿勢を貫いてきた。
■③ 赤城徳彦農水省 事実上の更迭事情
議員宿舎で自殺した松岡農水相の後任だが、就任2ヵ月で事実上の更迭となった。政治献金の収支報告書未記載、国の補助金を受けて1年以内の法人から政治献金を受けていた政治資金規正法違反、郵便料金の二重計上、経費の付け替え、赤城徳彦後援会が父親の自宅を主たる事務所にして(事務所実態がない)10年間で約9000万円の経費を計上などが批判された。 <参照> Wikipedia
■④ 遠藤農水相が引責辞任、安倍政権で5人目の閣僚交代
AFP 2007年09月03日 17:31 発信地:東京
【9月3日 AFP】遠藤武彦農林水産相は3日、自身が組合長を務める農業共済組合が補助金を不正受給していた問題の責任を取って辞表を提出、受理された。
遠藤農水相は、「せっかく任用していただいたのに期待に沿えなかった。心からおわびし、辞任させていただきたい」などと記者団に述べた。
遠藤農水相は、就任直後に発覚した補助金不正受給と献金授受について、事実を認めていた。当初は留任の意思を示していたが、参議院で野党の追及が強まるとの予測から、辞任を決断した。
27日の内閣改造後1週間でのスピード辞任は、安倍晋三(Shinzo Abe)内閣にとって大きな打撃。前年9月に発足した安倍政権で、不祥事による閣僚の辞任・交代はこれで5人目となる。(c)AFP
■⑤ 小渕優子経産相、⑦ 西川公也農水相、
⑧ 甘利経済再生相 (1) 甘利経済再生相 (2)
上の氏名をクリックしていただくと、関係する前記事が出ます。
■⑥ 松島みどり法相 大臣辞職記者会見 2016/10/201
松島みどり法相は10月20日、自身のイラストや名前が入ったうちわを選挙区内で配ったことが寄付行為にあたると国会で追及されたことを受け、安倍首相に辞表を提出後、午後2時半から法務省で記者会見をしました。
<法務大臣臨時記者会見の概要>
【冒頭発言】
本日、法務大臣の職を辞することといたしました。我が国の基本法制、法秩序の維持を司る法務大臣の立場にありながら、このところの私の言動によって国政に遅滞をもたらし、国民の皆様にご迷惑をおかけする事態を招き大変申し訳ないと考えております。安倍総理に抜擢して頂き、法務大臣という重責に就任した身として、経済再生を初めとする山積する課題に取り組んでいる安倍内閣の足を引っ張ることはできない、そう考えました。これからは一議員として安倍政権を支えたいと思っております。
今回、地元の支援者の皆様のせっかくのご期待に沿えなかったことにつきましてはまことに残念であります。在任期間は2カ月足らずでしたが、かねての持論でありました、強姦罪の法定刑が強盗罪より軽い、強姦致傷罪が強盗致傷罪より軽いことの問題を就任直後に提起したのに対し、省内が素早く動いてくれて、有識者による性犯罪の罰則に関する検討会が発足しており、今後に期待したいと思っております。ひとつだけは自分で考えてきたことを進めることが、短い間でしたができました。私からは以上です。
【質疑応答】
Q 就任1カ月半での辞任となったが、率直なご感想を。
A 私自身としては、伝統のある、重い、重要な法務省という役所の大臣になって、これまでの自分の考えからも、これをやりたい、あれをやりたい、国民に法律を近づけたい、いろんな思いを持っておりました。図らずもこういう形で退任することは残念だと考えております。
Q うちわの問題ですが、うちわについて討議資料であると表現されました。有価物ではないともおっしゃっていました。辞表提出して、その認識は変わったか。
A いえ、まったく変わっておりません。私自身、法に触れることをしたとは考えていませんが、とにかく私の問題で国政を停滞させてはならない、その思いで法務大臣を辞職することにいたしました。
Q 国会で追及された問題、配られたのはうちわですよね?
A 国会でも申し上げました。1年間に成立した主な法律について、国民というか私の地元の方々にもいろんな年代の男女の方々に知って頂きたいと一生懸命記しました。反対側には私の名前も入っています。で、確かに形の上でうちわかと言われれば、うちわの形は、持つところはありますし、していると思います。ただし財産上の有価物かと問題については、うちわというのは一般に、信用金庫や商店街の名前が書いてあって、イベントなどで配ってそのまま捨てられる、そんな類いのものだと思いますし、そういう問題になる寄付行為だとは思っていません。
Q そういう中で辞任を選んだのは、民主党からも刑事告発され、ひょっとしたら法に触れるという思いがあっての辞任なのか。
A 違います。刑事告発そのものの問題というよりは、民主党含め野党の中に、この問題など、私の問題だけではないかも知れませんが、こういう閣僚を抱えた中では国会審議ができないとか、あるいは重要法案も審議しないとか、そのような動きが出ています。もちろん法務委員会でも出ております。それがまさに国政に停滞をもたらすことであり、そういうことがあってはならないと思って、私がやったことが法に触れるとは思っておりません。、
Q 配られたもの以外に有価物ととられかねないようなものを配布したことはなかったのか。
A ありません。
Q 一部にカレンダーが配られたという話も出ているが。
A カレンダーというのは、まあ、室内用ポスターですよね。政治の世界で室内用ポスターという、外に貼って見せてはいけないけど、応援している人が自分の家や会社の中で(貼るもの)。これも1枚のペラっとしたものに私の名前や説明や写真を載せているものが中心で、財産上の価値というのは値段からみてもそういうものではないと思っています。
Q それはカレンダーとしての機能は有しているものなんですか。
A 12カ月分の日にちとかは書いています。曜日も書いてあります。
Q そうすれば有価物になってしまうのではないか。
A 財産上の有価物をどれくらいからいうのかちょっとわかりませんが、私はそういう認識は持っていないから、法律違反になると思っていないから、自分の親しい人の後援会その他の会合で配っています。
Q 松島さんの国会答弁を聞くと、今日の辞任は唐突に思えるが、いつの時点でご自身で判断したのか。それとも小渕さんの辞任と一緒になったのは理由があるのか。
A 確かに先週は続投すると、しっかりと法務大臣の仕事を務めて参ると先週の夕方も申しておりました。それから土曜、日曜、諸般の情勢をふまえて辞任の決断をするに至ったということでございます。
Q ご自身の判断なのか。回りから「小渕さんと合わせた方がいいよ」といった助言はあったのか。
A いえ、新聞でそういうこと書かれている記事も見たことあるんですけど、私自身がタイミングとして、国会が遅滞なく、国政が遅滞なく(進む)には、今のタイミングだと考えました。土日、熟考を重ねました。
Q 女性の活躍をうたった改造内閣でお二人が辞任して、今後の政権運営への影響が大きいと言われている。このことについてどう思われるか。
A たまたま私も女性ですし、小渕大臣も女性です。ただ、私の言動が問題になったというのは、私が女でも男でも関係ないことだったと思いますので、それは当たらないのではないか。そして私としてはやはり、安倍内閣にとにかくしっかり仕事してもらいたい。それに支障が出ること、足を引っ張ることは決してしちゃいけない。それがひたすら、なぜ辞めたかと聞かれれば、安倍内閣がやらなきゃいけない、全国津々浦々の経済再生、全国の中小企業も小規模事業も景気が良くなったと感じてもらえる。そんな日本をアベノミクスをつくっていく。そのためにも今、停滞しているわけにはいかない。そのように考えております。
Q 今回の辞任の判断やあいさつなど、総理や官房長官とは話をされたのか。どのような話か。
A 辞任のあいさつというのは私は常に自分の言葉で話すように考えておりますので。間違ってはいけないから一応原稿書きましたけど。
Q 小渕さんのケースに比べると額も少なく、辞任の判断はどう思われるか。立て続けということで、閣僚ドミノにつながりかねないという指摘もあるが。
A 2つめの質問については、私の辞任がドミノとかそういうことじゃなくて、私の辞任それこそは、安倍内閣が日本中に経済再生を実感してもらう、その政策に取り組んでいく。私もそう思ってこの2年半、国会議員として仕事をしてきましたが、それを実現するためであって、それがマイナスになるとはまったく考えておりません。なお、小渕大臣と何か比較をされましたが、それはそれ、小渕大臣の中身をよく存じているわけでもございませんし、私は私で別個の問題でございます。
Q うちわを発注した業者の納品書や請求書では「うちわ」と書いてある。改めて「うちわ」なのか。
A 私も見ました。納品書などは、その会社の人から見ると、商標というかブランド名も書いてあったみたいだけど、会社としてはうちわの範疇に入れているんだと思います。私が申したり私の…えー…領収書なりその他というのは、これは討議資料を印刷したものですから、それは食い違っているというのはおかしいことじゃないと思います。
Q 特捜部が受理したという話もある。受理への受け止めと、元法務大臣として捜査に協力するのか。
A 私もそれほど詳しいわけではございませんけど、告発というものはいっぱいあって、受理というのも一杯あって、その中からそれがどういうものかを捜査、点検がなされていくんだと思います。協力するのかと言われたら、もちろん必要なもの、すでに国会の委員会の方にも収支報告書ですとか、請求書とか領収書とか出してますから、同じものを出すだけで、私もこれから詳しく調べてみないと分からないような複雑な問題は抱えていませんので、それをするだけです。
Q 告発状を出されたから辞任したのか。そこを判断したタイミングと、土日はどういうご判断をされたのか。
A まず告発状の受理とは直接関係ございません。国会審議とか、国政が停滞するかが大事なポイントですから、タイミング的にはね。もう一つは総理から言われたのは、心機一転、新しい気持ちで能力を生かしてほしい、そのような表現をされました。考えたことは、この週末の金曜の夜の時点から何が変わったかというと、いろいろ考えました。でも結論は結局、この安倍内閣の国政を一日も停滞させたくない。それにはどうすればいいのか、私が続けるより辞めた方がいい。私を抜擢してくれた安倍総理を、身を引いて一議員として支える方法があるんではないか。そう思ったんです。
Q 国会では法務大臣の立場で法律を都合良く解釈しているのではないかという意見もあり、大臣としての資質を疑問視する指摘もあった。ご自身こういった指摘をどう受け止めているか。
A それはあたらないと思っております。そして、この、たとえば、告発されたらあとどうなるかという質問があったが、それに対しては法務大臣ですから個別具体的に影響を与えることを言うことができませんと答えました。現在は法務大臣ではありませんので、私の、政治家・松島みどりとして申し上げますと、法に触れることはしていないと考えていると言い切っている次第です。
Q 大臣の資質としてはどう考えるか。
A 大臣の資質、法務大臣の資質…。私は、法務大臣に的確であると安倍総理に考えて頂いて、この重責に就かせていただき、自分では資質があると考えて法務行政にあたってまいりました。
Q 性犯罪の検討会が近く始まるが、1カ月半でやり残したことや後悔する点について思うところがあれば。
A 今申し上げた件に関しては、最初の会合が10月末に始まって、あとはもとより、私がどういう中身にしろと言う考えはありませんでしたから、皆さんがたである程度の時期に結論を出してもらって、それが法律の改正につながればいいと考えていましたので、これについてはある程度満足しているわけです。それ以外につきましては、来年せっかく民法改正、債権法の120年ぶりの改正も法案の中身を詰める時期でしたから、私も一緒に議論したいと思いましたが、それがかなわないことは残念でしたが、与党の一員として法務の重要なマターに関係すること、そして入管の職員を増やさなければいけない。再犯防止のために矯正と保護が一体にならなければいけない、どうしていくかという思いはいろいろありますが、与党議員として党内部会で発言してバックアップしたい。大臣でなくとも国会議員としてできることはいっぱいあると思っています。
Q 財産的価値はないという認識だが、大臣が国会に提出した資料では、約2万枚で約174万円、1本あたり80円支払った。何を基準に判断するのか。
A それは、法律の厳密な条文の意味は分かりませんが、それがたとえば売買の対象になる、あるいは投票活動の有無、何十円のものをもらったからこの人に投票するとか、そういう選択肢を、そういうことを、こういう中身を書いている人だから投票してくれるならいいけど、うちわというあおぐものをくれたから投票するという価値判断になるようなものではないと、私はそのような解釈をしています。
Q 投票行動に影響を与えるか、そういう価値を持つか、ということか。
A それは私の考え方であって、法律について、まして告発されているようですから、判断される方の根拠はよく分かりません。
Q 司法が財産的価値があると判断することもありうる。その場合に受け入れるのか。
A それはこれからのことで、わかりません。捜査をされるとしたらどう答えるかは今分かりませんし。
Q 土日に熟考されたとのことだが、うちわが問題になってから10日以上。国会の議論もひととおり出たのではないかというタイミングとも考えられるが、今後さらに審議に影響を与えると判断したのはどうしてか。
A 各委員会、各法律の審議はこれからです。山場を超えたという意味かもしれませんけど、予算委は一般質疑、法務委も大臣所信に対する一般質疑でしたから、いよいよ各法律の議論を各委員会ともやっていくのはこれからだと思っています。
Q うちわの問題が影響を与えるのか。
A 直接うちわの問題ではございません。それだけではなくて、いろいろな総合的判断の中でございます。
Q 有価物かどうかの判断は「売買の対象」「投票の価値判断」ということでいいか。
A 今思いつくのはそういうことです。ほかにもあるのかもしれません。
Q ネット上で売買の対象になっているようだが。
A それはこのような派手な展開になったから。私見てませんけど。夏にお渡しした時点で「もうかった」という顔をしている人、高価なものをもらったという雰囲気の方はどなたもいらっしゃいませんでした。
Q 先週末に刑事告発され、自ら所管している東京地検の捜査対象に法務大臣になってしまった異例の事態だからこのタイミングで辞任するのか。
A 提出は先週ですが、受理されたのは今日になってからと聞きました。私が辞任を心で決めたのは日曜日ですから、そうじゃないです。
Q 今回の辞任が、女性の社会登用にどういう影響を与えるか。
A 私自身、安倍政権の女性を活用ということについては本当に日々感無量でおります。私が何十年も前に大学を卒業したときは、経済学の女子学生など採用してくれる会社はほとんどありませんでしたから。入社案内のパンフレットも男子のところは3m来たけど女子には1冊も来なかった。そういった中で、安倍総理が企業に向けても政府においても政治の世界でも女性を活用しようと思ってくれたこと。そしてその一環として私も法務大臣という重要な職についたこと。それは一連の流れとしてすばらしい。ただ、この女性を活用しようということは、どの会社においても、どの政府、組織においても、そのうちの一人がちょっと失敗だったというか、私自身は再生可能な失敗だと思っておりますが、何かの小さな失敗で部長になった女性が部長をいったん外れても、続く人が有能ならきちんと職に就けると思うし、そしてその女性自身も、安倍内閣が掲げるように再チャレンジで、部長で失敗した女性もいったん外されてもまた頑張ればポジション得られる、そういうものだと思います。
Q 今後の女性活用にマイナスか。
A だから思いません。もし万一、だからやめようということを考える会社があったら、絶対にそんな考えは持たないでいただきたい。
Q 松島さんといえば赤い服のイメージ。今日は公選法上、潔白だという思いで白い勝負服なのか。
A 法務大臣になってからはあまり赤い服は着ないでちょっと落ち着いた色の服をと心がけておりました。今日は、確かに、人間、特に女性が朝、何を着ようかというのは、何か自分でも思うところがありますから、白を着たというのは、よく理解して頂いた。公選法上というよりは、新しいまっさらな気持ちで今日から歩みだそう、そういう気持ちです。
Q 今日という日が小渕さんと同じ日になってしまいました。1日に2人の大臣辞職会見は前代未聞。同じ日になってしまったご感想。ひょっとしたら幕引きをはかるのは早い方がいい、1日で片付けようという思いはどこかになかったか。野党からの追及も早く終わるんではないかと。
A 月曜日ですからね。始まりの日ですし、もちろん野党の行動もマスコミ各社の報道ぶりも見ながら、きりのいいところがここだな、と。
Q あえて同じ日を選んだのか。
A 同じ日を選んだというよりは、結果的に同じ日になったかもしれないけど、別に連絡取り合ったわけでもないですし。
Q ダブル辞任をどう思うか。
A それは皆さんが判断して頂いた方が。私が言うことではないですし。
Q きのうは党の関係者と連絡は取ったか。
A まあ、官邸とか、党の先輩とか、色んな先輩型とお話はしました。でも決めたのは私です。
Q 官邸で総理にどう説明し、総理からはどう言われたのか。
A 申し上げましたのは「せっかく抜擢して法務大臣につけて頂きましたのに、いろんなことで安倍内閣の政治を停滞させかねない事態になって申し訳ありません。辞職したいと思います」と。総理からは先ほども申し上げましたが「心機一転、これからも頑張っていろんな場面で能力を発揮してくれ」と、そう言われました。