川本ちょっとメモ

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<加計・195国会攻防(1)> 政府委員、加計学園を守る 韓国語パンフ「獣医学科募集案内」

2018-01-12 23:59:45 | Weblog

安倍首相による2014年憲法9条解釈変更の提起からというもの、ときおり、国会議事録を読むことにしています。国会議事録の量はぼうだいです。まず読む前に、調べてみたい課題が議論されている衆参の委員会を見つける手間がかかります。国会議事録を読み、課題を理解するには手間ひまを要します。だから、興味のある課題に限って「ときおり」読むということになります。


与党質問の基本は政府広報

与党議員の国会質問はおもしろくないものが多い。与党質問は、政府がしゃべりたいことをしゃべらせる、すなわち政府広報のための国会質問という感があります。

政府側には記者会見、広報、各省の各部局ごとのホームページで公開情報があります。また新聞やテレビのニュースの主力は政府や各級の警察・司法を含むお役所発表をほぼそのまま伝える記事です。

そういうわけで、お役所発表とほぼ同質の答弁を得ることになる与党質問+政府答弁で、興味をそそられることは少ない。逆に野党質問+政府答弁になると、発見が多いというのがわたしの感想です。


野党質問+政府答弁では政治の弱点が見える

野党質問+政府答弁を読んでいると、野党議員の質問主旨から焦点をずらした官僚や大臣などの答弁が数多く見られます。それだけでなく昨年の通常国会では、安倍首相が質問主旨とまったく関係のない事柄を答弁して、野党の質問時間配分を浪費することもしばしばありました。

触れたくない課題については、政府側答弁は官僚・大臣を問わず、意図的に野党質問時間浪費戦術をとっているのではないか。

このように、野党の質問にまともに答えようとしない政府答弁が重なると、それは政府が説明したくない事柄なのだと理解できます。説明を渋る事柄は政府にとってマイナスになる事柄なんだと、誰だってそう理解するでしょう。



2017(H29).12.7.白眞勲議員質問と政府側答弁の攻防の焦点

昨年2017年12月7日、参議院文教科学委員会、内閣委員会連合審査会で民進党・白眞勲参院議員が、韓国内で配布された韓国語の岡山理科大学獣医学部学生募集PRパンフを資料提示して、質問に立ちました。

このパンフは昨年2017年11月14日文部科学大臣設置認可以前に、韓国内で配布されていました。もちろん認可前の学生募集は許されていません。

上の韓国語学生募集PRパンフには、「設置認可申請中」とか「学生募集予定」ということばが印刷されていません。これでは、誰もが、「獣医学部設置認可済」と思うでしょう。ということは、募集パンフと募集PRパンフとでは、実にまぎらわしい。

昨年2017年11月15日毎日新聞が、このパンフの記載内容について事実と異なる誇大宣伝があることを報道しました。

毎日新聞報道で韓国語パンフがクローズアップされた後の、同年11月28日民進党の党内部会に文部科学省が資料提出した同パンフには小さい文字で「予定」と書いたラベルが貼付されていました。

この「予定」が、白眞勲議員質問と政府側答弁の攻防の焦点です。認可前の学生募集PRについては、文部科学省高等教育局が説明会を開き、PDF文書でていねいな行政指導をしています。

ブログトップの図は、「平成29年度大学設置等に関する事務担当者説明会資料」PDF26ページのコピーです。

〇参照クリック
大学設置審認可中における適切なPR文書の書き方見本と細かな注意(2017.12.22.平成29年度説明会資料26ページ)


(毎日新聞 2017年11月15日 22時06分)
<加計学園> 岡山理科大学 ノーベル学者「輩出」? 削除へ 韓国留学生パンフ
 学校法人加計学園が韓国で配った岡山理科大獣医学部の留学生募集パンフレットで、同大は2010年にノーベル化学賞を受けた鈴木章北海道大名誉教授らを「輩出」し、「世界が認める研究成果を挙げている」と記述されている。鈴木氏は北大教授時代の1979年に発見した有機化合物合成法でノーベル賞を受け、北大退官後の94年に岡山理科大教授となったが、在任は1年間にすぎない。

 岡山理科大での業績と誤解を招きかねない表現について、同学園広報室は取材に15日、毎日新聞の指摘を受けて当該部分を削除するとした。

 加計学園は獣医学部定員140人のうち20人を留学生枠とし、14日の設置認可前から韓国でパンフレットを配っていた。毎日新聞が入手したカラー6ページのパンフレットは「(獣医師は)日本の会社員の2~3倍の高収入」とし、学園のホームページでもハングルで「日本で有名な名門学校法人」とアピールしている。

 パンフレットによると志願資格は来春までに高校を卒業し、所定の日本留学試験を受けていることが条件。日本語600字の志望理由書などの提出も求めている。学園の系列大はアジアや中東などから留学生を受け入れている。


上に書いたような状況をふまえて、2017.12.7.参議院文教科学委員会、内閣委員会連合審査会における民進党・白眞勲参院議員の質問と政府側答弁を次に見ていきます。

議事録の文字量が多すぎるので、文字量を少なくするために、議事録にある質疑答弁のことばを短く書き直している部分や、発言を一部省略しているところがあります。

議事録原文に興味がおありの方は、http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/195/0190/main.htmlを参照願います。


(2017.12.7.参議院文教科学委員会、内閣委員会連合審査会)

 ※質問を<Q1> 答弁を<A1> …というように記します

<Q1> 白眞勲議員
(*加計学園が獣医学部設置認可前に韓国において開かれた獣医学部の説明会の資料だとして、2017.11.28.文部科学省が民進党に提供した韓国語の獣医学部学生募集パンフ6ページ分の)1ページ目表紙のまん中に「予定」という文字が貼ってあります。いかにも後で慌てて貼ったような感じなんですけれども、これ、本当に認可前の説明会に配られたものなのか、まず文科省に確認いたします。
 (注)質問の主旨は、文科省提供の「予定」文字貼付のパンフが、韓国説明時のものと同一
    なのか? 韓国説明後に日本で貼付した別物ではないか? ということです。


<A1> 政府参考人(文部科学省高等教育局長・義本博司君)
 韓国におけるPR活動の際に付されたパンフレットについては、予定と明記した上で配付しているものと聞いているところでございます。
 (注)「貼付」と「明記」では、厳密には意味が異なります。「聞いている」というのは伝
    聞です。Q1の主旨は「韓国説明時に貼ってあったのか否か」ですから、A1は答え
    を外しています。


<Q2> 白眞勲議員
 もう一回お答えください。これ本当に(*韓国説明時に)貼られたものなのかどうかを私は聞いているんです。

<A2> 文部科学省高等教育局長・義本博司
 その形状については確認しておりませんけれども、今お話がありましたように、予定という形で資料が出されて、活動としてされているものと聞いております。
 (注)これも岡山理大から聞いたという伝聞だけで、「韓国説明時に貼ってあったのか否
    か」の答えになっていません。


<Q3> 白眞勲議員
 私は昨日質問通告していますよ、これ。貼ったものかどうかっていうのを聞いてくれって言ったじゃないですか。ちゃんと答えてください。もう一回答えてください。

<A3> 文部科学省高等教育局長・義本博司
 大学に確認いたしましたけれども、貼って配ったということでございます。
 (注)なぜ1回目にこの簡単な答えを出さなかったのか? なぜ3回も質問しなければ、答
    弁者はこの単純な答えを話さなかったのか? どう考えてもわたしにはわからないの
    です。


<Q4> 白眞勲議員
 時間がもったいないんですよ。最初からちゃんと質問に答えていただきたいと思います。
 一般的に、認可前に学生等に説明するためには、資料にはどのような内容を記載しなければなりませんか。

<A4> 文部科学省高等教育局長・義本博司
 設置認可前においては募集活動を行うことはできませんが、設置認可申請中などと明記した上で認可がまだなされていないというふうなことを明確にしてPR活動を行うことになっています。

<Q5> 白眞勲議員
 高等教育局の大学設置等に関する事務担当者説明会の中にありますけれども、その中には、① 設置認可申請中という文字が大きく明確に記載されている、また、もう一つ、② 予定であり、変更があり得る旨が大きく明確に記載されていることが重要だと書いてありますけれども、それでよろしゅうございますか。

<A5> 文部科学省高等教育局長・義本博司
 大学設置に係る提出書類の作成の手引の中において、議員御指摘のような記述をしております。

<Q6> 白眞勲議員
 この1ページ目から6ページのどこにこの2点について書かれているんですか。教えてください。

<A6> 政府参考人(文部科学省高等教育局長・義本博司君)
 パンフレットの中においては、予定という形で書かれるということにおいてその手引の趣旨を満たしているというふうに理解しております。
 (注1)この答弁は、「文字を大きく明確に記載」という条件を、わざと無視しています。
 (注2)Q5で白眞勲議員が引用しているのは、「平成29年度大学設置等に関する事務担当
     者説明会資料」26ページ(文部科学省高等教育局高等教育課大学設置室私学部私学
     行政課法人係 平成29年12月22日)からの引用です。これを発行しているところの
     高等教育局長の発言とは驚きものです。
 (注3)ブログトップの「認可申請中における適切なPR活動の例」をご覧ください。これ
     は文科省PDF26ページのコピーです。


  <認可申請中における適切なPR活動の例>
  ―(文科省高等教育課大学設置室PDF26ページから再掲)―

  ◎適切な例のポイント
   ①「設置認可申請中」の文字が大きく明確に記載されている
   ②「予定であり,変更があり得る」旨が大きく明確に記載されている

  ◎下記のような場合、不適切なものとなる
   ①「設置認可申請中」の文字が小さい
     → 受験生等に対して設置が決定したと誤解を与えるおそれがある
       ので,大きく明確に記載すること。
   ②「予定であり,変更があり得る」旨の記載がない
     → 上記と同様に,受験生に対して誤解を与えるおそれがあるの
       で,必ず大きく明確に記載すること。
   ③ 募集開始時期が認可前となっている
     → 認可されるまで学生募集及びそれに類する行為は一切行えな
       い。


<Q7> 白眞勲議員
 ちょっと待ってくださいよ。
 下記のような場合は不適切なものとなると書いてあるんですよ。① 設置認可申請中の文字が小さい、② 予定であり、変更があり得る旨の記載がない、③ 募集開始時期が認可前となっている。
 今の答弁はそうすると、この予定が一文字書いて貼ってあるだけでもいい、ということでよろしいんですね。

<A7> 政府参考人(文部科学省高等教育局長・義本博司君)
 認可が確定していないということの趣旨が関係者に伝わることがポイントでございますので、そういう趣旨からここに貼られている資料、パンフレットについてはその旨を満たしているというふうに理解しております。
 (注1)「ここに貼られている資料」というのは、小さい字で「予定」と書かれたラベルを
     貼ったパンフということでしょう。これだけで「その旨を満たしている」という高
     等教育局長の答弁です。
 (注2)しかし、高等教育局内作成になる行政指導文書に明記されている条件の一つ、「設
     置認可申請書」の文字がない。行政指導条件違反です。
 (注3)「受験生等に対して設置が決定したと誤解を与えるおそれがあるので,大きく明確
     に記載すること」という条件に対して、「予定」の文字が小さいものであると白真
     勲議員は言っていて、高等教育局長は答弁で、それを否定していないので、「小さ
     い文字」であることはまちがいありません。ですから、これも行政指導条件違反で
     す。


<Q8> 白眞勲議員
 じゃ、これは不適切なものとなるというのは、どういう意味なんですか、これ。おかしいんじゃないんですか。 ※注…上のA7答弁で<認可申請中における適切なPR活動の例>の「下記のような場合、不適切なものとなる」という行政指導条件と違い過ぎるので「おかしいんじゃないんですか」と問いかけている。

<A8> 政府参考人(文部科学省高等教育局長・義本博司君)
 説明会におきましては、議員御指摘の資料とともに、別の資料でございますけれども、医学部、獣医学部の進学説明会というような資料で設置認可申請中であるというのは明記している資料もございますので、全体として適切に対応されたというふうに理解しております。
 (注1)この答弁は、上のA7答弁が高等教育局の部下が作成した行政指導条件を満たして
     いないことを、答弁者である吉本高等教育局長が自覚していることの証明です。
 (注2)なぜなら、議論の的になっている指摘資料ではなくて、別の資料を持ち出している
     からです。これでは吉本高等教育局長の答弁に論理的整合性が成り立ちません。こ
     のA8答弁は単なる言い訳に過ぎない居直り答弁で、酷いものです。今の政権には
     強力与党議席数に安住する傲慢さが目立ちます。


<Q9> 白眞勲議員
 もうはっきり申し上げますけど、これ、上にタイトルで、ハングルで大変皆さんには申し訳ないんですけど、獣医学科募集案内となっているんですよ。募集なんですよ。最初のタイトルから募集になっていますよ。ぺたっと貼ってあるんでしょう。全然これ、満たしていないんじゃないんですか。満たしているというふうに言っていいんですか、本当にこれで。
 (注1)この議論の結論がこれです。パンフのタイトルが「獣医学科募集案内」。岡山理大
     獣医学部には獣医学科と獣医保健看護学科と二つの学科があるので、このタイトル
     は「獣医学科」で正しい。
 (注2)獣医学部設置認可前の韓国内説明会でのパンフタイトルが「獣医学科募集案内」で
     すから、これはもう立派な文科省行政指導違反、政府側答弁者は言い抜けのしよう
     がありません。


<A9> 政府参考人(文部科学省高等教育局長・義本博司君)
 繰り返しになって恐縮でございますけれども、設置認可が行われていないということについての趣旨を伝えるということがポイントでございますので、パンフレットの形状において、さらには、その進学説明会で配らせた資料においてその趣旨が明記されているというふうに理解しております。
 (注)空疎な答弁です。韓国語パンフで韓国内説明会なら違反してもわからないだろうとい
    う加計学園の気持ちでしょう。あからさまな事実が明るみに出ているのだから、政府
    側は加計学園の違反行為を認めて、加計学園を呼び出して叱りつければ済む話です。
    それなのにここまでして加計学園を守らなければいけない吉本高等教育局長は哀れで
    す。


<Q10> 白眞勲議員
 じゃ、明記しているものが配っているということでよろしゅうございますよね。すぐにそれを委員会に提出していただきたいと思います。
 委員長、よろしくお取り計らいのほどお願いします。

委員長(高階恵美子)
 後刻理事会で協議いたします。




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