※以下は、河井克行氏・河井案理氏の選挙違反に関係する公職選挙法第221条の
条文です
(買収及び利害誘導罪)
第221条 次の各号に掲げる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動
者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その
供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をし
たとき。
二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動
者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等
に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導
をしたとき。
三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその
周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し
第1号に掲げる行為をしたとき。
四 第1号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第1号若しく
は前号の申込みを承諾し又は第2号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
五 第1号から第3号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し
金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者が
その交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職
員、参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員若しくは職員、選挙管理委員会の
委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は
選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項
の罪を犯したときは、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処
する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し同項の罪を
犯したときも、また同様とする。
3 次の各号に掲げる者が第1項の罪を犯したときは、4年以下の懲役若しくは禁
錮又は100万円以下の罰金に処する。
一 公職の候補者
二 選挙運動を総括主宰した者
三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補
者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第196条の規定により告示さ
れた額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)
の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第1号
又は第2号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した
者
2020.4.29. youtube アップロード
郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#10
https://www.youtube.com/watch?v=PNqQ19EmHbA
元検察官の郷原信郎弁護士が熱い期待
広島地検の「河井克行氏・案理氏の公職選挙法買収違反」捜査
現職時代に私は広島地検特別刑事部長を務めていたことがある。
私は広島県政界の大物に何回も独自捜査をしかけて、その古い広島の政治構造と戦ったことがある。
その後輩たちの広島地検特刑部が、今回は東京地検特捜部からも大量の応援が入って大編成の捜査部隊になって、今、広島の古い政治風土の中で起きた選挙をめぐる不正問題に取り組んでいる。これは私、本当に期待しています。
今報道されているところを見ると、十分起訴できると思う。有罪にできると思う。 私は検察を批判してきた方なんだけども、今回は全面的に応援してます。がんばってくれ、と。
河井夫妻の秘書2人が起訴された。これは連座制が適用されるので百日裁判ということで、もう始まっています。
その後、本格的に始まっているのが、河井克之氏本人が、案里氏もいっしょかもしれませんが、県政界の有力者に現金うん十万円という現金を配って、案理氏への支持を呼びかけてたと、こういう問題なんですね。昨年4月ごろ……。
昨年の参議院選挙、問題はそれだけにとどまらない。
なぜ、そんな露骨な、現金を配ってまわるようなことをしたのか。
この広島地方区の参議院議員選挙はそれまで、自民党公認が1人、そして野党が1人。この2人で、ほとんど無風選挙だった。
それが、自民党は溝手氏に加えて2人目の河井案理氏を公認した、溝手氏には1500万円。案理氏には1億5000万円。10倍ですよ。それが原資になって買収資金に充てられた。
これは自民党本部にも直結する問題じゃないか、と疑われるわけですよ。
ちょっとこれまでの選挙違反とはまったく性格の異なる重大な政治案件なんですよ。 つまり政権の中枢に直結するような事件です。
公職選挙法違反。買収・供応。これは非常に単純なんですが、実はこれが厄介なんです。
政治活動なのか、選挙活動なのか、これの弁別が検察実務上非常に厄介なんです。
政治活動に関して何かお願いをする。政治活動のための寄付をする、というのは政治資金規正法収支報告書に記載されていれば合法だし。政治資金であれば、政治資金収支報告に記載されていなくても、それは政治資金規正法の問題なんですね。
政治資金規正法対象になる政治活動、すなわち地盤培養行為と公職選挙法の買収との線引きが難しい。
これまでは、そういう弁解が出てきそうなものは、政治活動に関するお金のやりとりだということで、起訴の対象にしてこなかった。
ところが今回は違う。最高検からも「がんばってやれ」という大号令がかかって、東京地検からも大量の検事が投入されて、大部隊でやってるじゃないですか。
まさに、これまでの検察実務から一歩進めて、やろうじゃないか、ということでやってるんだと思うんですよ。これは起訴すれば、有罪になります。だから、がんばれと言いたいんです。
これは有罪になります。
もちろん供述は取らないといけないですよ。
それは、河井安理氏の選挙でよろしく、支持する活動してください、選挙でも助けてください、運動してください、という趣旨だということは立証しなければいけないですよ。趣旨が立証できれば、有罪になります。
それでは、検察は今までの慣習を破って、今回は起訴しようという方向に向かっているのか。
それは、安倍政権にずたずたにされたからです。なんといっても検事長定年延長の問題ですよ。まちがいない。あれは絶対にやっちゃいけないことをやったんですよ、政権が。
違法に、検察庁法違反をして、定年で退官しないといけない検事長を国家公務員法の定年延長でむりやり、そのまま検事長に置いて、そして検事総長の職まで付けて、そういうことで内閣が政権が検察を支配下に収めようとする。
違法な手段を使って支配下に収めようとするから、世の中から大変な批判を受けました。
で、そんなものをやられてしまう検察は何なんだと。法務省だってそうですよ。というその、国民から検察に対する不信がものすごく高まりつつある。そんな政権にやすやすとされてていいのかという状況で、検察が敢えてこの事件をとことんやろうという方向に行ってるんだと思いますよ。
黒川人事、東京高検検事長の違法な人事に検察が怒ったのか、それともこの広島の事件が官邸に来るかもしれないと恐れを抱いた政権が黒川さんを検事総長にしようとしているのか、どちらなのか。
河井克行氏が県政界の有力者に現金を配ってまわってたいうことが、もし公職選挙法の1号、お金を直接に選挙人や選挙運動者に渡したという供与罪になるとすると、買収罪になるとすると、その資金を提供する行為は第5号の交付罪に当たるんです。
というのは、1500万円と1億5000万円の違いがあるからです。普通の選挙運動に対する直接経費であれば、1500万円ていどで賄えるわけですよ。なぜ、1億5000万円もの多額のお金を渡したのか。それ以上のことをやって支持を取り付ける目的としか考えられないじゃないですか。最も効果的な方法は有力者にお金を配る行為ですよ。これ、誰が考えたってわかるじゃないですか。
そういう意味では、党本部から1億5000万円が河井克行氏の陣営に渡されたこと、河井克行氏と案理氏の両方に入ってないんですよ。それがその最終的に買収と言われる行為に直結した疑いがあるわけですね。
この問題は検察が敢えて河井克行氏本人に向かっていくとすると、政権に直結するんですよ。自民党本部に直結し、もう一つここには安倍首相の個人的な動機があるんじゃないか、と言われてるんですね。
もう一人の候補であった落選した溝手氏に対して積年の恨みがある。週刊文春が書いてます。第1次安倍政権のとき参議院選挙で負けて、そのとき批判されたことをずっと恨みを持っていたという事情があったと言われてるわけです。
しかも1億5000万円もの多額の資金を出すときに総裁が知らないわけないじゃないですか。となると、この事件は自民党本部、そして官邸にまで及びかねない大変な事件なんです。
となると、遡って考えると、あの検事長、違法な定年延長の動機もひょっとするとここにあったのかなというようなことも疑われてくるんですね。
しかも検察がハードルを下げて、こういう、選挙から少し離れた時期の不透明な金のやりとり、それによる支持の拡大を違法だ、公職選挙法違反だ、という風に考えて起訴した、有罪になったということになったら、日本の選挙が変わります。ぐうっと選挙の透明性が増すことになるんです。ですから今回は、検察にがんばってもらいたい。
それじゃ、どうしてこれを東京地検特捜とか大阪地検特捜とかでやらなかったのか。広島地検は広島高検管内です。東京地検特捜部であれば、東京高検管内です。東京高検の検事長は黒川弘務氏です。
(注) 黒川東京高検検事長は5月21日辞職。 この郷原弁護士youtube談話は
その前の4月29日で、黒川辞職が考えられない時期のことです。
いくら官邸の意向を受けてストップをかけようと思っても、残念ながら今の黒川検事長には何もできない。管轄外なんです。人(検事)を出してるだけです、東京から。
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