川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

<資料掲載 香港接収関連1> 『香港特別行政区国家安全維持法』 66カ条 中国国営新華社通信 日本語訳

2020-07-17 00:20:01 | Weblog
          写真はBBC NEWSによる2020年6月香港デモのカット
        警官隊に捕らえられうつ伏せにされながらカメラを凝視して
            世界に伝えてくれと何かを訴えている香港青年




(お知らせ)
1. 『香港国家安全維持法』につき、中国国営新華社通信が7月2日日本語訳を伝
  えたものを、毎日新聞 2020.7.14. 16:31 が掲載していました。これを当ブロ
  グに新規掲載します。
2. 従いまして、7月7日付け当ブログ記事、『<専制国家中国の姿2> 資料掲
  載 【香港国家安全維持法 全文66カ条】  日本語訳 ニュースソフィア編集部』
  を削除しました。



(毎日新聞記事  2020.7.14. 16:31 )
中国が香港への統制を強化する「香港国家安全維持法」(国安法)が6月30日、中
国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で可決、成立したのを受け、香港政府は同日深夜、国安法を公布、施行した。これにより、香港は中国の治安維持体制に事実上、組み入れられ、反体制活動は取り締まりの対象となった。中国国営新華社通信が7月2日に日本語で配信した国安法の全文についての記事は次の通り。

 【新華社北京7月2日】
 第13期全国人民代表大会常務委員会第20回会議で6月30日に可決された中華人民
 共和国香港特別行政区国家安全維持法の全文は次の通り。



   -------------------------------------------------------------------

 
  (資料)

 
 中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法

                   中国国営通信新華社 2020.7.2.日本語訳公開
            毎日新聞 2020.7.14. 16:31 新華社通信日本語訳掲載



 【 目 次
 
 第1章  総則
  
 第2章 香港特別行政区の国家安全維持の職責及び機構
 
   第1節 職責
   第2節 機構
 
 第3章 犯罪行為及び処罰
 
   第1節 国家分裂罪
   第2節 国家政権転覆罪
   第3節 テロ活動罪
   第4節 外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する罪
   第5節 その他の処罰規定
   第6節 効力の範囲
 
 第4章 事案の管轄、法律の適用及び手続き
 
 第5章 中央人民政府の駐香港特別行政区国家安全維持機構
 
 第6章 付則
 
 
 
 
 
  第1章 総則
 
 
 第1条 「1国2制度」、「港人治港」
(香港住民による香港管理)、高
 度の自治の方針を揺るぎなくしかも全面的かつ正確に貫き、国家の安全
 を守り、香港特別行政区に関連する国家分裂、国家政権転覆、テロ活動
 の組織・実施及び外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する等
 の犯罪を防止し、阻止し、処罰し、香港特別行政区の繁栄と安定を維持
 し、香港特別行政区住民の合法的権益を保障するため、中華人民共和国
 憲法、中華人民共和国香港特別行政区基本法及び香港特別行政区におけ
 る国家安全維持の法制度及び執行メカニズムの導入・整備に関する全国
 人民代表大会の決定に基づいて、この法律を制定する。
 
 第2条 香港特別行政区の法的地位に関する香港特別行政区基本法第1条
 及び第12条の規定は、香港特別行政区基本法の根本的条項である。香港
 特別行政区のいかなる機構、組織及び個人も権利と自由を行使すると
 き、香港特別行政区基本法第1条及び第12条の規定に違反してはならな
 い。
    (参考) 香港特別行政区基本法
     第1条  香港特別行政区は中華人民共和国の不可分の一部分である。
     第12条 香港特別行政区は高度の自治権を享有する中華人民共和国の
        地方行政区域であり、中央人民政府が直轄する。
 
 第3条 中央人民政府は香港特別行政区における国家の安全に関わる事
 柄に根本的責任を負っている。
 
  香港特別行政区は国家の安全を守る憲政制度上の責任を負っており、
 国家の安全維持の職責を履行しなければならない。
 
  香港特別行政区の行政機関、立法機関、司法機関はこの法律及び他の
 関係法律の定めるところによって、国家の安全を害する行為と活動を効
 果的に防止し、阻止し、処罰しなければならない。
 
 第4条 香港特別行政区は国家の安全を守るとき、人権を尊重、保障
 し、香港特別行政区住民が香港特別行政区基本法及び「市民的及び政治
 的権利に関する国際規約」(
※国連条約です)「経済的、社会的及び文化的権
 利に関する国際規約」(※国連条約です) の香港に適用される関係規定に基
 づいて有する、言論・報道・出版の自由、結社・集会・行進・示威の自由
 を含む権利と自由を法によって保護しなければならない。
 
 第5条 国家の安全を害する犯罪を防止し、阻止し、処罰するときは、
 法治の原則を堅持しなければならない。法律で犯罪行為と定められてい
 るときには、法律によって罪を定め刑に処する。法律で犯罪行為と定め
 られていないときには、罪を定め刑に処してはならない。
 
  何人も司法機関によって有罪とされるまでは無罪と推定される。犯罪
 容疑者、被告人その他の訴訟参加者が法によって有する弁護権とその他
 の訴訟上の諸権利は保障される。何人も司法手続きを経てすでに最終的
 に有罪が確定しまたは無罪を言い渡されたときには、同一の行為につい
 て再びこれを裁判にかけまたは処罰してはならない。
 
 第6条 国家の主権、統一及び領土保全を守ることは、香港同胞を含む
 全中国人民の共通の義務である。
 
  香港特別行政区にあるいかなる機構、組織及び個人もこの法律と香港
 特別行政区の国家安全維持に関する他の法律を順守しなければならず、
 国家の安全を害する行為や活動に従事してはならない。
 
  香港特別行政区の住民は選挙に立候補しまたは公職につく際、法に
 よって、中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和
 国香港特別行政区に忠誠を尽くす確認文書に署名しまたはその旨の宣誓
 をしなければならない。
 
 
 
  第2章 香港特別行政区の国家安全維持の職責及び機構
 
 
    第1節 職責
 
 第7条 香港特別行政区は香港特別行政区基本法に定められた国家安全
 維持立法を早期に完了し、関連法律を整備しなければならない。
 
 第8条 香港特別行政区の法執行、司法機関はこの法律および香港特別
 行政区の現行法中の、国家の安全を害する行為や活動の防止、阻止及び
 処罰に関する規定を確実に執行して、国家の安全を効果的に守らなけれ
 ばならない。
 
 第9条 香港特別行政区は国家の安全維持及びテロ活動の防止業務を強
 化しなければならない。学校、社会団体、メディア、インターネットな
 どの国家の安全に関わる事項について、香港特別行政区政府は必要な措
 置を講じ、宣伝、指導、監督及び管理を強化しなければならない。
 
 第10条 香港特別行政区は学校、社会団体、メディア、インターネット
 などを通じて国家安全教育を進め、香港特別行政区住民の国家安全意識
 と順法意識を高めなければならない。
 
 第11条 香港特別行政区行政長官は香港特別行政区の国家安全維持問題
 について中央人民政府に責任を負い、かつ香港特別行政区における国家
 安全維持の職責履行状況について年次報告書を提出しなければならな
 い。
 
  中央人民政府が要求した場合、行政長官は国家安全維持の特定の事項
 について速やかに報告書を提出しなければならない。
 
 
    第2節 機構
 
 第12条 香港特別行政区に、香港特別行政区における国家安全の維持問
 題を担当し、国家安全維持の主要な責任を引き受け、かつ中央人民政府
 の監督と問責を受ける国家安全維持委員会を設置する。
 
 第13条 香港特別行政区国家安全維持委員会は行政長官が主席(議長)
 を務め、メンバーには政務司長(政務官)、財政司長(財政官)、律政
 司長(司法官)、保安局長、警務処長、第16条に定める警務処の国家安
 全維持部署責任者、入境事務処長、税関長及び行政長官弁公室主任が含
 まれる。
 
  香港特別行政区国家安全維持委員会の下に、秘書長の指導する秘書処
 (事務局)を置く。秘書長は行政長官が指名し、中央人民政府に任命を
 求める。
 
 第14条 香港特別行政区国家安全維持委員会の職責は以下の通りとす
 る。
 
  一 香港特別行政区の国家安全維持情勢を分析・評価し、関連の業務
   を計画し、香港の国家安全維持政策を策定すること。
 
  二 香港特別行政区の国家安全維持の法制度と執行メカニズムづくり
   を進めること。
 
  三 香港特別行政区の国家安全維持の重点業務と重大行動の調整にあ
   たること。

  香港特別行政区国家安全維持委員会の業務は香港特別行政区の他のい
 かなる機構、組織及び個人の干渉も受けず、業務情報はこれを公開しない。
 香港特別行政区国家安全維持委員会が行った決定は司法審査を受けない。
  
 第15条 香港特別行政区国家安全維持委員会に国家安全担当顧問を置
 き、中央人民政府が指名派遣し、香港特別行政区国家安全維持委員会の
 職責履行に関連する問題について意見を出させる。国家安全問題顧問は
 香港特別行政区国家安全委員会の会合に列席する。
 
 第16条 香港特別行政区政府警務処に国家安全維持の部署を設置し、法
 執行陣を配備する。
 
  警務処の国家安全維持部署の責任者は行政長官が任命する。行政長官 
 は任命に先立ち書面によって、第48条に定める機構の意見を求めなけれ
 ばならない。警務処の国家安全維持部署の責任者は就任にあたって中華
 人民共和国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和国香港特別行
 政区に忠誠を尽くし、法律を順守し、秘密を守ることを宣誓しなければ
 ならない。
 
  警務処の国家安全維持部署は、香港特別行政区以外から適格な専門家
 と技術者を招へいして、国家安全維持関連任務の遂行に協力させること
 ができる。
 
 第17条 警務処の国家安全維持部署の職責は以下の通りとする。
 
  一 国家の安全に関わる機密情報・情報を収集・分析すること。
 
  二 国家安全維持のための措置と行動を手配し、調整し、推進すること。
 
  三 国家の安全を害する犯罪事案を調査すること。
 
  四 反干渉調査を行い、国家安全審査を進めること。
 
  五 香港特別行政区国家安全維持委員会から渡された国家安全維持業
   務を引き受けること。
 
  六 その他この法律に必要な職責を執行すること。
 
 第18条 香港特別行政区律政司に、国家の安全を害する犯罪事案の起
 訴・告発(検察)業務その他の関連法律問題を担当する、国家安全犯罪
 事案起訴・告発の専門部署を設置する。同部署の起訴・告発官(検察
 官)は律政司長が香港特別行政区国家安全維持委員会の同意を得て任命
 する。
 
  律政司の国家安全犯罪事案起訴告発部署の責任者は、行政長官が任命
 する。行政長官は任命に先立ち書面によって、第48条に定める機構の意
 見を求めなければならない。律政司の国家安全犯罪事案起訴告発部署の
 責任者は就任にあたって中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護
 し、中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くし、法律を順守し、秘
 密を守ることを宣誓しなければならない。
 
 第19条 香港特別行政区政府財政司長は行政長官の承認を得て、政府一
 般歳入から特別の金銭を支出し国家安全維持に関する支出に当て、かつ
 関連人員編成を許可しなければならない。これは香港特別行政区の現行
 関連法律規定の制限を受けない。財政司長は当該金銭の制御と管理につ
 いて毎年立法会に報告書を提出しなければならない。
 
 
  
  第3章 犯罪行為及び処罰
 
 
    第1節 国家分裂罪
 
 第20条 何人も次の各号に掲げる、国家の分裂、国家の統一破壊を狙う
 行為の一つを組織し、画策し、実施しまたは実施に加わったときには、
 武力を使用し、または武力で威嚇したか否かに関わらず、犯罪となる。
 
  一 香港特別行政区または中華人民共和国のどこか他の部分を中華人
   民共和国から分離させること。
 
  二 香港特別行政区または中華人民共和国のどこか他の部分の法的地
   位を不法に変更すること。
 
  三 香港特別行政区または中華人民共和国のどこか他の部分を外国の
   統治に帰させること。
 
  前項の罪を犯したときは、首魁(首謀者)または犯罪行為の重大な者
 を無期懲役または10年以上の懲役に処する。積極的に参加した者は、3
 年以上10年以下の懲役に処する。その他の参加者は、3年以下の懲役、
 拘留または管制に処する。
 
 第21条 何人も他人が第20条に定める犯罪を行うのをせん動し、ほう
 助し、教唆し、金銭または他の財物で援助したときには、犯罪となる。
 情状が重い者は、5年以上10年以下の懲役に処する。情状が軽い者
 は、5年以下の懲役、拘留または管制に処する。
 
 
    第2節 国家政権転覆罪
 
 第22条 何人も次の各号に掲げる、武力、武力使用の威嚇またはその他
 の不法な手段によって、国家政権の転覆を狙う行為の一つを組織し、画
 策し、実施しまたは実施に加わったときには、犯罪となる。
 
  一 中華人民共和国憲法で確立された中華人民共和国の根本的制度を
   覆し、壊すこと。
 
  二 中華人民共和国の中央政権機関または香港特別行政区の政権機関
   を覆すこと。
 
  三 中華人民共和国の中央機関または香港特別行政区の政権機関の法
   に基づく機能遂行を著しく妨害し、阻害し、破壊すること。
 
  四 香港特別行政区の政権機関の職責履行の場所とその施設を攻撃、
   破壊し、正常な機能を遂行できないようにすること。
 
  前項の罪を犯したときは、首魁または犯罪行為の重大な者を無期懲役
 または10年以上の懲役に処する。積極的に参加した者は、3年以上10年
 以下の懲役に処する。その他の参加者は、3年以下の懲役、拘留または
 管制に処する。
 
 第23条 何人も他人が第22条に定める犯罪を行うのをせん動し、ほう
 助し、教唆し、金銭または他の財物で援助したときには、犯罪となる。
 情状が重い者は、5年以上10年以下の懲役に処する。情状が軽い者
 は、5年以下の懲役、拘留または管制に処する。
 
 
    第3節 テロ活動罪
 
 第24条 中央人民政府、香港特別行政区政府もしくは国際機構を脅迫し
 または公衆を威嚇して政治的主張の実現を図るため、次の各号に掲げ
 る、社会に著しい害を与えまたはそれを意図するテロ活動の一つを組織
 し、画策し、実施し、実施に加わりまたは実施すると脅しときには、犯
 罪となる。
 
  一 人に対する重大な暴力。
 
  二 爆発、放火または有毒性、放射性、感染症病原体等の物質散布。
 
  三 交通手段、交通施設、電力設備、ガス設備またはその他の可燃・
   爆発設備を破壊すること。
 
  四 水、電気、ガス、交通、通信、ネットワークなど公共サービス・
   管理の電子制御システムを著しく妨害し、破壊すること。
 
  五 その他の危険な方法で公衆の健康または安全を著しく害するこ
   と。
 
  前項の罪を犯して、重傷、死亡を招きまたは公私の財産に重大な損失
 に与えたときには、無期懲役または10年以上の懲役に処する。その他の
 場合は、3年以上10年以下の懲役に処する。
 
 第25条 テロ活動組織を作り、指導した者は、犯罪となり、無期懲役ま
 たは10年以上の懲役に処し、財産没収を併科する。積極的に参加した者
 は、3年以上10年以下の懲役に処し、罰金を併科する。その他の参加者
 は、3年以下の懲役、拘留または管制に処し、罰金を併科することもで
 きる。
 
  この法律でテロ活動組織とは、第24条に定めるテロ活動の犯罪行為を
 実施しもしくはそれを意図しまたは第24条に定めるテロ活動犯罪行為の
 実施に参加し若しくは協力する組織をいう。
 
 第26条 テロ活動組織、テロ活動人員及びテロ活動実施のために訓練、
 武器、情報、資金、物資、役務、輸送、技術もしくは場所などの支援、
 協力、便宜を提供し、または爆発性、有毒性、放射性、感染症病原体な 
 どの物資を製造し、不法に管理・所有し及びその他の形式でテロ活動を
 準備したときには、犯罪となる。情状が重い者は、5年以上10年以下の
 懲役に処し、罰金または財産没収を併科する。その他の場合は、5年以
 下の懲役、拘留または管制に処し、罰金を併科する。
 
  前項の行為をし、同時に他の犯罪を構成するときには、処罰のより重
 い規定によって罪を定め罰に処する。
 
 第27条 テロリズムを主張し、テロ活動をせん動したときには、犯罪と
 なる。情状が重い者は、5年以上10年以下の懲役に処し、罰金または財
 産没収を併科する。その他の場合は、5年以下の懲役、拘留または管制
 に処し、罰金を併科する。
 
 第28条 この節の規定は、香港特別行政区の法律によって、他の形式の
 テロ活動犯罪の刑事責任を追及し、かつ財産凍結等の措置を講じること
 には影響しない。
 
 
    第4節 外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する罪
 
 第29条 外国または域外の機構、組織、人員のために国家の安全に関わ
 る国家の秘密または情報を盗み、探り、買収、不法に提供した場合、以
 下の行為のいずれか一つを外国または域外の機構、組織、人員に実施す
 るよう求め、外国または域外の機構、組織、人員と共謀して実施し、も 
 しくは外国または域外の機構、組織、人員の指図、コントロール、資金
 援助またはその他形式の支援を直接または間接的に受けて実施した場合
 は、いずれも犯罪に属する。
 
  一 中華人民共和国に対して戦争を発動し、もしくは武力または武力
   による脅しを以て、中華人民共和国の主権、統一、領土保全に対し
   重大な危害をもたらした場合。
 
  二 香港特別行政区政府または中央人民政府が法律、政策を制定、執
   行するのをひどく妨害し、かつ重大な結果を招く恐れのある場合。
 
  三 香港特別行政区の選挙に対し操作、破壊を行い、かつ重大な結果
   を招く恐れのある場合。
 
  四 香港特別行政区または中華人民共和国に対して制裁、封鎖または
   その他の敵対行動を行った場合。
 
  五 各種の不法な方式を通じ、香港特別行政区住民の中央人民政府ま
   たは香港特別行政区政府に対する憎しみを引き起こし、かつ重大な
   結果を招く恐れのある場合。


  前項の罪を犯したときは、3年以上10年以下の懲役に処する。犯罪行
 為が重大な場合は、無期懲役または10年以上の懲役に処する。
 
  本条第1項の規定に関連する海外の機構、組織、人員は、共同犯罪と
 して罪を定め刑に処する。
 
 第30条 本法第20条、第22条に規定する犯罪を実施するため、外国ま
 たは域外の機構、組織、人員と共謀し、もしくは外国または域外の機
 構、組織、人員の指図、コントロール、資金援助またはその他形式の支
 援を直接または間接的に受けた場合は、本法第20条、第22条の規定に
 従って厳しく処罰する。
 
 
    第5節 その他の処罰規定
 
 第31条 会社、団体などの法人または非法人の組織が本法に規定する犯
 罪を実施した場合は、その組織に対し罰金を科する。
 
  会社、団体などの法人または非法人の組織が本法に規定する犯罪行為
 をしたために刑事処罰を受けた場合は、運営を一時停止するよう命じ、
 もしくはその免許または営業許可証を取り消さなければならない。
 
 第32条 本法に規定する犯罪を実施することで得た資金援助、収益、報
 酬などの違法所得及び、犯罪に用いまたは用いることを意図した資金と
 ツールは、差し押さえ、没収しなければならない。
 
 第33条 以下のケースに該当する場合、関係する犯罪行為者、犯罪被疑
 者、被告人については軽く罰し、処罰を軽減することができ、犯罪が比
 較的軽いものである場合は、処罰を免除することができる。
 
  一 犯罪の過程で、犯罪を自発的に放棄しまたは犯罪結果の発生を自
   発的かつ効果的に防止した場合。
 
  二 進んで自首し、自身の犯罪行為をありのままに供述した場合。
 
  三 他者の犯罪行為を告発して、事実であることを証明し、または重
   要な手掛かりを提供して他の事案の捜査・解決を助けた場合。
 
  強制措置を取られている犯罪被疑者、被告人が、法執行機関、司法機
 関がまだ把握していない、本法に規定された他の犯罪行為をしたことを
 ありのままに供述した場合は、前項第2号の規定に従って処理する。
 
 第34条 香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が本法に規定する
 犯罪を実施した場合は、国外追放を独立して適用または付加的に適用す
 ることができる。
 
  香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が本法の規定に違反した
 とき、何らかの原因によりその刑事責任を追及されない場合でも、国外 
 追放することができる。
 
 第35条 何人も法院から国家の安全を害する罪を犯したと判決を言い渡
 された場合は、候補者として香港特別行政区が行う立法会、区議会選挙
 に参加する資格、もしくは香港特別行政区のいずれかの公職または行政
 長官選挙委員会委員に就任する資格を直ちに失う。かつて中華人民共和
 国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和国香港特別行政区に忠
 誠を尽くすと宣誓または声明した立法会委員、政府職員及び公務員、行
 政会議メンバー、法官及び他の司法人員、区議員は即座にこれらの職務
 を失うとともに、選挙に参加または上記の職務に就任する資格を失う。
 
  前項に規定する資格または職務の喪失は、責任ある組織、関係の選挙
 または公職の任免を管理する機構が発表する。


 
    第6節 効力の範囲
 
 第36条 何人も香港特別行政区内で本法に規定する犯罪を実施した場合
 は、本法を適用する。犯罪の行為または結果が一つでも香港特別行政区
 内で発生した場合は、香港特別行政区内での犯罪と見なす。
 
  香港特別行政区に登記されている船舶または航空機内で本法に規定す
 る犯罪を実施した場合も本法を適用する。
 
 第37条 香港特別行政区の永住民または香港特別行政区に設立された会
 社、団体などの法人または非法人の組織が香港特別行政区外で本法に規
 定する犯罪を実施した場合は、本法を適用する。
 
 第38条 香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が香港特別行政区
 外で香港特別行政区に対し、本法に規定する犯罪を実施した場合は、本
 法を適用する。
 
 第39条 本法施行後の行為は、本法を適用して罪を定め刑に処する。
 
 
 
  第4章 事案の管轄、法律の適用及び手続き
 
 第40条 香港特別行政区は本法に規定する犯罪事案に対して管轄権を行
 使する。ただし本法第55条に規定するケースは除外する。
 
 第41条 香港特別行政区が管轄する国家の安全を害する犯罪事案の立件
 捜査、訴追、裁判、刑罰の執行などの訴訟手続き事項については、本法
 と香港特別行政区の現地法を適用する。
 
  律政司長(司法官)の書面による同意を経ずに、何人も国家の安全を 
 害する犯罪事案について訴追を行うことはできない。ただし、この規定
 は関係する犯罪について法に基づいて犯罪被疑者を逮捕し、留置するこ
 とに影響せず、また、これらの犯罪被疑者が保釈を申請することにも影
 響しない。
 
  香港特別行政区が管轄する国家の安全を害する犯罪事案の裁判は公訴
 手続きに従って行う。
 
  裁判は公開して行わなければならない。国家の秘密、公共の秩序など
 に関わるため公開審理しない方がよい場合は、マスコミと公衆が全部ま
 たは一部の審理手続きを傍聴することを禁止する。しかし、判決の結果
 は一律に公表しなければならない。
 
 第42条 香港特別行政区の法執行、司法機関は香港特別行政区現行法の
 留置、審理期限などの方面に関係する規定を適用するときは、国家の安
 全を害する犯罪事案が公正、適時に処理されることを確実にし、国家の
 安全を害する犯罪を効果的に防止、阻止、処罰しなければならない。
 
  犯罪被疑者、被告人については、国家の安全を害する行為を引き続き
 実施することはないと信じる十分な理由が裁判官にないのなら、保釈を
 認めてはならない。
 
 第43条 香港特別行政区政府警務処の国家安全維持部門が国家の安全を
 害する犯罪事案を処理するときは、香港特別行政区の現行法が、警察な
 どの法執行部門が重大な犯罪事案を調査するときに取ることを認めてい
 る各種の措置を取るとともに、以下の措置を講じることができる。
 
  一 犯罪の証拠が残っている可能性のある居所、車両、船舶、航空機
   およびその他の関係する場所と電子設備を捜査する。
 
  二 国家の安全を害する犯罪行為を実施した疑いのある人員に旅行証
   の提出を求め、またはその出国を制限する。
 
  三 犯罪に用いまたは用いることを意図した財産、犯罪により得た収
   益などの犯罪に関係する財産を凍結し、制限令、抵当令、没収令及
   び公有化を申請する。
 
  四 情報の発出者または関連のサービスプロバイダーに対し、情報の
   削除または協力の提供を要求する。
 
  五 外国及び域外の政治的組織、外国及び域外の当局または政治的組
   織の代理人に対し、資料の提供を要求する。
 
  六 行政長官の承認を経て、国家の安全を害する犯罪を実施したこと
   を疑う合理的理由のある人員に対し、通信傍受と秘密監察を行う。
 
  七 捜査に関係のある資料を保有し、または関連のデータを管理・所
   有していることを疑う合理的理由のある人員に対し、質問に回答
   し、資料またはデータを提出するよう求める。
 
  香港特別行政区の国家安全維持委員会は警務処の国家安全維持部門な 
 どの法執行機構が本条第1項に規定する措置を講じることに対し、監督
 責任を負う。
 
  香港特別行政区行政長官に対し、香港特別行政区国家安全維持委員会
 と合同して、本条第1項に規定する措置を講じるため関連の実施細則を
 制定する権限を授ける。
 
 第44条 香港特別行政区の行政長官は裁判官、地域法院法官、高等法院
 の原訟法廷法官、上訴法廷法官及び終審法院の法官の中から若干名の法
 官を指名して、国家の安全を害する犯罪事件の処理に当たらせなければ
 ならない。暫委または特委法官の中から若干名の法官を指名することも
 できる。行政長官は法官を指名する前に香港特別行政区国家安全維持委
 員会と終審法院首席法官の意見を求めることができる。上記の指名法官
 の任期は1年とする。
 
  およそ国家の安全を害する言動があった場合は、国家の安全を害する
 犯罪事案を審理する法官に指名してはならない。指名法官の担当期間
 中、国家の安全を害する言動のあった場合は、その指名法官の資格を終
 了する。
 
  裁判法院、地域法院、高等法院、終審法院において、国家の安全を害
 する犯罪事案について提起された刑事訴追手続きはそれぞれ各当該法院
 の指名法官が処理しなければならない。


 第45条 本法に別途規定がある場合を除き、裁判法院、地域法院、高等
 法院、終審法院は香港特別行政区のその他法律に従い、国家の安全を害
 する犯罪事案について提起された刑事訴追手続きを処理しなければなら
 ない。
 
 第46条 高等法院の原訟法廷が扱う国家の安全を害する犯罪事案につい
 て提起された刑事訴追手続きに対し、律政司長は国家秘密を保護する、
 事案が渉外要素を備えている、または陪審員及びその家族の人身の安全
 を保障するなどの理由に基づき、証書を発行して、関連の訴訟は陪審団
 のいる状況の下で審理を行う必要がないと指示することができる。律政
 司長が上記の証書を発行した場合、高等法院の原訟法廷は陪審団のいな
 い状況の下で審理を行うとともに、3名の法官が裁判法廷を構成しなけ
 ればならない。
 
  律政司長が前項に規定する証書を発行したとき、関連の訴訟に適用さ
 れる香港特別行政区のいかなる法律条文の「陪審団」または「陪審団の
 評決」に関する部分も、いずれも法官または法官の事実の裁断者として
 の機能を指すと理解しなければならない。


 第47条 香港特別行政区の法院は審理の過程で、関連の行為が国家の安
 全に関わるものなのか、または関連の証拠資料が国家の秘密に関わるも
 のなのかという認定問題に遭遇したときは、行政長官がこれらの問題に
 ついて発行する証明書を取得しなければならず、上記の証明書は法院に
 対して拘束力を持つ。
 
 
 
  第5章 中央人民政府の駐香港特別行政区国家安全維持機構
 
 
 第48条 中央人民政府は香港特別行政区に国家安全維持公署を設立す
 る。公署は法に従い基づいて国家安全維持の職責を履行し、関係の権力
 を行使する。
 
  公署の人員は中央人民政府国家安全維持に関係する機関が合同で派遣
 する。
 
 第49条 駐香港特別行政区香港国家安全維持公署の職責は次の通りとす
 る。
 
  一 香港特別行政区の国家安全維持情勢を分析、判断し、国家安全維
   持の重大な戦略と重要な政策について意見と提案を出す。
 
  二 香港特別行政区の国家安全維持の職責履行を監督、指導、調整、
   支持する。
 
  三 国家安全に関する情報を収集、分析する。
 
  四 国家安全に危害を与える犯罪事件を法に基づいて処理する。
 
 第50条 駐香港特別行政区国家安全維持公署は法に厳格に法に基づいて
 職責を履行し、法に基づいて監督を受け、いかなる個人や組織の合法的
 権益も侵害してはならない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署の人員は必ず全国的法律を順守し
 なければならず、また香港特別行政区の法律も順守しなければならない
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署の人員は法に基づいて国の監察機
 関の監督を受ける。
 
 第51条 駐香港特別行政区国家安全維持公署の経費は中央財政でまかな
 う。
 
 第52条 駐香港特別行政区国家安全維持公署は中央人民政府駐香港特別
 行政区連絡弁公室、外交部駐香港特別行政区特派員公署、中国人民解放
 軍駐香港部隊との業務上の連携と協同を強化しなければならない。
 
 第53条 駐香港特別行政区国家安全維持公署は香港特別行政区国家安全
 維持委員会との調整メカニズムを作って、香港特別行政区の国家安全維
 持業務を監督、指導しなければならない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署の実務部門は香港特別行政区の国 
 家安全維持関係機関と協業メカニズムを作って、情報の共有と行動の連
 携を強化しなければならない。
 
 第54条 駐香港特別行政区国家安全維持公署、外交部駐香港特別行政区
 特派員公署は香港特別行政区政府と共同で必要な措置を講じて、外国及
 び国際機構の駐香港特別行政区機構並びに香港特別行政区にある外国と
 域外の非政府組織及び報道機関に対する管理とサービスを強化する。
 
 第55条 次の各号の一つに該当するときには、香港特別行政区政府また
 は駐香港特別行政区国家安全維持公署が申し立て、かつ中央人民政府の
 承認を受けて、駐香港特別行政区国家安全維持公署がこの法律に定め
 る、国家の安全を害する犯罪事案に対し管轄権を行使する。
 
  一 事案が外国または域外勢力の介入という複雑な状況に関わり、香
   港特別行政区による管轄が確かに難しいこと。
 
  二 香港特別行政区政府がこの法律を有効に執行できない重大な状況
   が生じること。
 
  三 国家の安全が現実の重大な脅威に直面している状況が生じるこ
   と。
 
 第56条 第55条の規定に基づいて国家の安全を害する犯罪事案を管轄
 する際は、駐香港特別行政区国家安全維持公署が立件・捜査を担当し、
 最高人民検察院が関係検察機関を指定して検察権を行使し、最高人民法
 院が関係法院を指定して裁判権を行使する。
 
 第57条 第55条の規定に基づいて管轄する事案の立件・捜査、審査・
 起訴、裁判及び刑罰の執行等の訴訟手続きには、「中華人民共和国刑事
 訴訟法」の関連法律規定を適用する。
 
  第55条の規定に基づいて事案を管轄する際は、第56条に定める法執
 行、司法機関が法によって関連の権限を行使するものとし、それらが強
 制措置、捜査措置の決定及び司法裁判について交付する法律文書は香港
 特別行政区で法的効力を有する。駐香港特別行政区国家安全維持公署が
 法によって講じる措置には、関係機構、組織及び個人は必ず従わなけれ
 ばならない。
 
 第58条 第55条の規定に基づいて事案が管轄される際、犯罪容疑者は
 駐香港特別行政区国家安全維持公署によって尋問を受けまたは強制措置
 をとられた日から、弁護士を弁護人として依頼する権利を有する。弁護
 をする弁護士は、法によって犯罪容疑者、被告人に法的支援を与えるこ
 とができる。
 
  適法に逮捕された犯罪容疑者、被告人は、早期に司法機関の公正な裁
 判を受ける権利を有する。
 
 第59条 第55条の規定に基づいて事案が管轄される際、何人もこの法
 律に定める国家の安全を害する犯罪事案の状況を知っている場合は、正
 しく証言する義務を負う。
 
 第60条 駐香港特別行政区国家安全維持公署とその人員による、この法
 律に基づく職務執行行為は、香港特別行政区の管轄を受けない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署が発行した証明書または証明文書
 を所持する人員及び車両等は職務執行にあたって香港特別行政区の法執
 行人員の検査、捜査及び差し押さえを受けない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署とその人員は香港特別行政区の法
 律に定めるその他の権利及び免除を有する。
 
 第61条 駐香港特別行政区国家安全維持公署がこの法律の定めるところ
 によって職責を履行する際、香港特別行政区政府の関係官庁は必要な便
 宜と協力を与えなければならず、職務執行を妨げる行為については、法
 によってこれを阻止しかつ責任を追及する。
 
 
 
  第6章 付則
 
 第62条 香港特別行政区の現地法の規定とこの法律が一致しないときに
 は、この法律の規定を適用する。
 
 第63条 この法律に定める、国家の安全を害する犯罪事案の処理に関わ
 る法執行、司法機関とその人員または国家の安全を害するその他の犯罪
 事案を処理する香港特別行政区の法執行、司法機関とその人員は、事案
 の処理過程で知り得た国家機密、商業秘密及び個人のプライバシーを守
 らなければならない。
 
  弁護人または訴訟代理人を務める弁護士は、業務活動で知り得た国家
 機密、商業秘密及び個人のプライバシーを守らなければならない。
 
  事案処理に協力する関係機構、組織及び個人は事案の関連状況につい
 て秘密を守らなければならない。
 
 第64条 香港特別行政区にこの法律を適用する際、この法律に定める
 「懲役」「無期懲役」「財産没収」及び「罰金」はそれぞれ「監禁」
 「終身監禁」「充公犯罪所得」及び「罰款」を指し、「拘留」には香港
 特別行政区の拘置や労役センター、教導所への収容に関する法律規定を
 準用し、「管制」には香港特別行政区の「社会服務令」「感化院への収
 容」に関する法律規定を準用し、「免許または営業許可証取り消し」は
 香港特別行政区の関連法律に定める「登録や登録免除の取り消し、ライ
 センスの抹消」を指す。
  
 第65条 この法律の解釈権は全国人民代表大会常務委員会に属する。
 
 第66条 この法律は公布の日から施行する。
 
 





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