川本ちょっとメモ

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<専制国家中国の姿> 古いニュースを振り返る 香港銅鑼湾書店店長・林栄基氏釈放記者会見 この事件と国家安全の関係

2020-07-30 23:09:31 | Weblog
    中国共産党中央指導部の汚職・恋愛・家庭など中国発禁本が中国国民に大人気だった

2020-07-05
<専制国家中国の姿>「声を上げ続けなくては」 拷問された中国の元弁護士 =BBC NEWS JAPAN 2015.11.24.
2020-07-17
<香港接収> 資料掲載 『香港特別行政区国家安全維持法』 全66条 中国国営新華社通信日本語訳
2020-07-23
<香港接収> 資料掲載 香港特別行政区政府新聞公報 2020.7.6.「香港特別行政区国家安全維持法第43条実施細則」
2020-07-25
習近平中国政権の実質的香港接収に見る中国対外膨張政策と国内抑圧政策の両輪
2020-07-27
<専制国家中国の姿> 古いニュースを振り返る香港・銅鑼湾書店関係者5人消息不明、中国指導部のスキャンダルを出版 =BBC NEWS 2016.1.11.




  失踪書店主が釈放、香港で記者会見、中国政府の強要を暴露
          https://www.youtube.com/watch?v=3H8QUBUcto8
          新唐人 NTDTVJP 2016年6月19日 youtube文字化
     新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV http://jp.ntdtv.com/


 中国国内で不当に逮捕拘禁されていた香港の銅鑼湾書店の店長・林栄基氏が6月16日に記者会見を開き、逮捕拘禁中に「文書に署名したうえでテレビ出演し、罪を認める」よう強要されたことを暴露し、「中国政府の行為は一国二制度に反する」と厳しく批判しました。

 林氏を含む銅鑼湾書店関係者4人は昨年2015年10月、中国の国家安全局員に逮捕拘禁され、今週(2016年6月)釈放され、香港へ戻りました。

 林氏によれば、2015年10月24日に特別捜査班に強制連行され、今年3月まで寧波ニンポーに拘禁されていました。24時間常に監視下に置かれ、1日20回~30回、1回30分~45分間の尋問を受け、大きな精神的苦痛を味わいながらも、中国と香港の法律を犯したことはないと、主張しつづけました。

 「彼らがいったい何をもって私を罪に問おうとしているのか、見当もつきませんでした。私は中国や香港の法律を犯したこともないし、またその証拠もなかったのだから」

 林氏はまた、彼らのうち数人が今年2月にテレビ出演し、罪を認めた一幕について、「すべてプロデューサーが言わせたセリフ。台本通りに読まないと何回もやり直しさせられました」と言いました。

 また、香港へ戻り、顧客と禁書の作者のリストを渡すよう要求されましたが従わなかった、ということです。

 アラン・リョン香港民党党首は「これが真実であれば一国二制度を著しく侵害するものであり、民主派議員は来週の立法会で緊急質疑を提出し、この問題について香港特別行政区政務室長および関係部門と話し合うと述べています。


香港の書店主らが行方不明になっている。どうやら中国政府当局関係者によって香港域外の中国本土に連れ去られたらしい。このニュースは日本でもかなり取り上げられて、私もよく覚えています、

そのときの感覚は、中国はえげつない国や、一国二制度や外国の評判なんかお構いなしや……といった単純なものでした。

しかし今にして思えば、中国は国際的な反発や香港人の反発を含めて考量したうえでのことだったのです。中国国内では情報の流通は監視下にあります。どこの政府組織が監視しているのか私は知りませんが、政府が好まない情報がネットから削除されたり、日本NHKのような海外放送の、政府が気に入らない部分は音声映像が切れます。

中国政府はそれを隠さず明るみの下で、ネットコンテンツの削除や海外放送の鋏入れを日常作業として行っています。これは私たち日本人にとっては耐え難いことです。


 ◆自由と民主主義を求めて抵抗する人々
 ◆北京天安門の記憶と香港の記憶

同じように香港人にとっても耐え難いことであることは、雨傘運動以来のこれまでの経過が示しています。中国人の中にも何千万人、1億人2億人という想像以上の多数の人々が息を殺して耐えているのだろうと想像します。

1989年6月、北京天安門広場を埋めた大人数の人々の気持ちは自由を求める気持ちだけで、反乱や騒乱といった気持ちはこれっぽっちもなかったにちがいありません。事実として、とんでもない大人数が集まったけれども、デモをしたり集会をしたりという平和的なものでした。

しかし中国共産党指導部はこれを恐れた。「騒乱」であるとして人々に軍隊を差し向けて制圧し、後顧の憂いを絶つ、という考え方でした。

戦車・装甲車多数を動員した人民軍による民衆掃討が1989年6月3日の夜更けに始まり、4日夜明けに終わりました。夜闇のうちに事を済ませる掃討作戦でした。夜の北京天安門広場では、民衆が投げた火炎瓶で燃えた装甲車もありました。射殺された人は驚くほど多数。戦車に轢かれて紙のようにぺちゃんこになっている赤いものがありました。私は天安門事件のことをきのうのことのようによく覚えています。


 ◆一国二制度といえども、香港は中国の不可分の一部分 
 ◆国家の指導者を大事にしなければ国家犯罪になる?

統治される民衆の側と統治する側では、往々にして思いが異なるものです。

天安門事件の翌年、1990年4月4日、第7期全国人民代表大会第3回会議で、香港特別行政区基本法が採択されました。

この基本法第1条条文は、「香港特別行政区は中華人民共和国の不可分の一部分である」、です。

2015年7月1日施行になった「中華人民共和国国家安全保障法」第11条条文は次の通りです。

第11条 中華人民共和国の市民、すべての国家機関と軍隊、すべての政党と国民組織、企業と機関、およびその他の社会組織は、国家安全保障を維持する責任と義務を負っている。 
 中国の主権と領土保全は侵害されたり、分裂したりすることはできない。国の主権、統一、および領土保全を守ることは、香港、マカオ、台湾の同胞を含むすべての中国人の共通の義務である。

第11条前半にあるように、中国では民間企業であっても企業内共産党組織を作るよう望まれています。さらに第11条後半では、国家の主権、統一性、安全を守ることは、すべての国民の義務であると明記されています。

中国共産党中央指導部から見ればこのように、一国二制度とはいえ、それよりも党中央・国家中央の方が上位にあります。

ですから、香港の法律優先であるにもかかわらず、香港法を無視して香港法の最上位である基本法第1条、国家安全保障法第11条を、法的裏付けにしたと考えると、香港からは無法に見えても、党中央・政府中央の立場では「香港の書店関係者誘拐」の法的裏付けを付することができる。

ただ、この場合でも香港国家安全維持法第1条に並置している、 ①国家分裂、 ②国家政権転覆、 ③テロ活動、 ④外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する、等の容疑が成り立つという前提がいるだろう。

では、今回問題になった香港銅鑼湾書店が出版あるいは販売している本の何が、国家の安全を害すると言うのか?

対象になる本の性質はいずれも共産党中央の指導的メンバーに係わるゴシップです。賄賂、家族・親族・知人らが名義人を務める賄賂や不動産取引、企業経営や金融・経済取引。女性関係や家族問題。これが香港域外から香港を訪ねる中国人に大人気でよく売れました。

これらの本には、事実であることもたくさん詰まっているのでしょう。だから、秘密警察のような機関が関係者を誘拐して懲らしめるというわけです。

でも、ここで注目すべきは、共産党中央や政府中央や軍中央などの大実力者を批判したり、嘲笑の対象にしたりすれば、「国家を弱める大罪」という扱いをされることです。これはすなわち、国家の指導者を大事に扱え批判は許さぬと、国民に示しているのです。国民を脅迫しているのです。


  習近平氏の“陰口”家族とも禁止 中国、共産党員の統制強化
                      共同通信 2020/06/26 17:19


 【北京共同】 中国の習近平指導部が共産党・政府の機関に勤める党員に対し、家族との会合を含むプライベートの時間に習総書記(国家主席)の地位をおとしめたり、党・政府に批判的なウェブサイトを閲覧したりすることを禁じる内部通知を出していたことが26日、分かった。中国筋が明らかにした。
 党は近年、習氏の思想を学ぶスマートフォンアプリの利用を促すなど9千万人を超える党員への思想統制を強化している。新型コロナウイルス対応や米国との関係悪化、香港の混乱を巡って指導部の政権運営への不満が高まり、面従腹背や習氏と距離を置く派閥形成の動きが出ることを警戒している可能性がある。


朕は国家なり。――これはフランス国王ルイ14世のことばとしてよく知られています。これを単純化して中国に言い換えれば、習近平は国家なり。ロシアなら、プーチンは国家なり。北朝鮮なら、金正恩は国家なり。こういう警戒を要する指導者が支配する国々に、日本は囲まれています。


しかし、中国には北京天安門に群集した人々のように、そして2019年から2020年7月までの香港人のように、自由と民主主義を望んで意思表示した驚くほど多数の人々が雌伏しています。

私たちは国家指導者たちが自己都合に合わせて作り上げる愛国像にあおられることなく律していきたい。彼ら自由と民主主義を待ち望んでいる人々を私たちの友人として遇していきたい。自由と民主主義を自己都合に利用するだけの専制的指導者の体制とは、油断なく向き合っていかねばなりません。

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