川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

<桜を見る会> 安倍晋三前首相不起訴 ――でも、安倍晋三前首相はすべて知っていると見る理由を書いた

2020-12-24 17:08:24 | Weblog


安倍内閣の小渕優子経産相(当時)が2016年、後援会毎年恒例の明治座観劇会の費用補填問題が発端になって、大臣辞任しています。議員辞職はしなかった。今回の「桜を見る会」の類似例です。



「桜を見る会」前夜祭の安倍晋三後援会による夕食会費用補填問題。

東京地検は安倍晋三前首相を不起訴、配川博之公設第一秘書を略式起訴にした。安倍前首相の事情聴取は不起訴のための形式を整えるだけのものだった。

先ほど、共同通信のニュース速報が流れた。――東京簡裁は24日、安倍晋三後援会の配川博之公設第1秘書に罰金100万円の略式命令を出した。

これでこの問題の司法処理が決着した。(クリック → )<桜を見る会> 公選法違反、政治資金規正法違反は確実、検察の手は安倍晋三に届くのか、安倍晋三は慶応病院に逃亡入院するのか の11月26日記事の表題に「検察の手は届くのか」と、これまでの類似事件から見てムリだろうという思いを書いた。一方、それでも微かな希望も持っていた。それが「逃亡入院するのか」という表題の意味であった。

さてこの問題は、検察が証拠固めをあきらめて、安倍前首相は不起訴にした。無罪でもない。そもそも安倍前首相は秘書が誠実に合法下に業務を遂行していると信じてきて、「配川秘書の不法行為を知らなかった」という事実を、どのような理由があろうとも検察が認めたということだ。

しかし、安倍前首相が実際は「承知の上で秘書にやらせた」か、または「実態を知っていて知らぬそぶりで黙認していた」と、すべての人がではないにしても、多くの人がそう思っている。

私もそう思っています。

今回の安倍晋三後援会の政治資金報告書不記載の問題は、民間の不祥事であれば、税務署の介入の口実になったと思われる。経理上このような不正が行われた裏には多くの場合、脱税行為があるからだ。

贈収賄に使われる闇資金がどこから出てくるのか? 事業会社における典型パターンは次の通り。

一つには、事業収入の一部を計上しないで隠す。二つには、支払先と結託して架空経費を事業支出してペイバックを受ける。三つには、事業支出の一部を使途不明金・使途隠匿金の名目で経理処理する。

事業収入を隠すことは、そもそも経理に計上しないのだから、経理担当者に知らせないで済む。架空経費の事業支出も、架空かどうかを経理担当者に知らせないで済む。これで浮かせた資金は、裏金管理幹部の手元に集まる。

一つめと二つめは、脱税になるから公になれば税務署の調査が入る。

三つめの使途不明金・使途隠匿金は税務申告をするので、脱税には当たらない。この支出名目は損金処理の対象にはならないから、税務申告上、所得に算入されて、事業者は法人税なり所得税なりを納付する。これで浮かせた資金も裏金管理幹部の手元に集まる。

(ここで安倍前首相の記者会見が始まったけれど、ばかばかしい茶番劇であることは目に見えているので、あとで、報道記事を見るつもりです。)

政治家にお金や品物の付け届けをする企業は、そのための裏金をつくる人間と、裏金になる出費を経理処理する人間と、裏金を使う人間とに、三分している。

三者それぞれが組織的に連携しているわけだが、三者それぞれが他の二者の行為を関知できないようにしている。事件になったとき、三者それぞれが自分のやったことを先ずは隠す。隠せなくなって自白が始まっても、他の二者のやっていることを直接に見たわけでもなく、聞いたわけでもないから、「知らない」としか言いようがない。

この三者をそれぞれに取り調べを行い、家宅捜索をし、細部の事実を収集し、証言を集めて、事件のストーリーを組み立てるのが警察や検察の仕事である。ところが警察や検察は統治機構の一部なので、政治家の支配下にある。

こういう事業会社の裏金流通システムを参考にして、安倍晋三前首相の今回の問題を考えてみる。

安倍晋三は安倍晋太郎の後継者であるから、大物政治家の環境下で幼少から育ってきた。政治家になる前には、父安倍晋太郎の秘書を務めている。政治家のふところや後援会の運営について、どういうものかはよくわかっていて当然だろう。

安倍晋三はまた東京育ちの東京人で、彼が誇りに思っている長州人ではない。彼はエセ長州人である。だから東京のことはよく知っている。

ぜいたくをして育っているから、東京の一流ホテル内での食事やパーティーがどのていどの金額のものか、もともと知識がある育ちなのだ。

おまけに将来の総理大臣として期待されていた父晋太郎の秘書をしていたのだから、桜を見る会前夜祭の立食パーティー一人5000円がどういうものか、当然知っている生い立ちと立場にある。

安倍晋三氏は総理大臣を2回務めたベテラン政治家であるから、政治活動、後援会活動、政治資金の集め方や使い方を詳細に知悉していてあたりまえのことだ。そのうえで秘書を使っている。

そして大物政治家になればなるほど、政治資金集めやその使い方について、直接にタッチしないものだ。

そういう現場から離れれば離れるほど、その大物政治家の威光が増す。大物政治家は表向き、大義を語っていれば良い。

政治資金の取り扱いは、自分の代理人だと後援者に知らしめてきた大物秘書に任せる。この秘書は絶対に他言しない。そういう信頼関係ができている。

だから、今回、安倍前首相が「私は秘書のいうことを信じていた」と言い、配川秘書が「最近まで本当のことを話していない、隠していた」と言ったとき、昔からの類似例と同じ「秘書がすべての罪を負う」というパターンが成立していた。もちろん秘書の側には、「秘書がすべての罪を負った」後の新しい仕事や生計の方途を安倍前首相が保証してくれるという信頼関係がその根にある。

桜を見る会前夜祭の政治資金法違反問題はこういうことだろうと思います。

しかし、「虚偽答弁118回」という国会をだまし続けた問題は、明治以後の議会史上「前代未聞」という事件である。看過できない。この「虚偽答弁118回」問題の対応については、自民・公明・維新の良識も問われる。これは与党vs野党の問題ではなく、政権最高責任者が国会を欺き続けたという三権分立に関わる重大な問題なのだから。


コメント