どんな業界でも、〇〇協会、〇〇連合会、〇〇組合などの業界団体があります。新しく発生し勃興したビジネスについても、社会的な影響力を認知されるほどになると、業界団体ができます。たとえば、今をときめくIT業界のように。
どのような経緯を踏み、いかようにして業界団体が作られるのか。それは知りませんが、行政の誘導によるもののようです。官公需に頼る業界は行政側の意向に逆らうことはできません。電力・ガス・通信・交通・運輸などの公益関係、保険・銀行・証券などの金融関係、医療・薬品関係、医師・弁護士から行政書士に至るまで各種士業の業界。行政の統制は、網の目のごとくに及んでいます。
行政の統制監督を、私は原則必要であると思っています。名だたる大企業でさえ、汚職や不正行為が毎年のごとく、しかも数多く報道されています。力のない中小・零細企業なら、監督がなければ違法すれすれまたは違法な不正行為続出だろうと思います。しかしながら……。
私が仕事で関係した地方末端の業界団体を見ますと、その団体を所管する行政部署には三つのメリットがあったと想像します。
一つは、最新の規制情報や技術情報を伝達するなど、業界指導をスピーディーに、省力的に実施できること。これは、行政側と業界の双方にメリットがあり、良いことでしょう。ただし、団体に所属しない事業者に対する、団体所属事業者の特権的立場を保証する形にもなっています。情報の独占です。行政側は、業界団体に所属しない事業者に、情報を伝える努力をしません。
二つ目は、業界団体の専務理事や事務局長という、団体運営の中心になる役職を元公務員で占めることです。天下りです! 私の仕事で関係した小さな業界団体では3年交代を目安にしていたようです。天下り人は、その団体の動向や団体所属事業者の個別情報を元職の行政担当部課に伝えます。これは、個別事業者と行政側との新たな縁結びにもつながります。すなわち新たな天下り先の開拓です。
三つ目は、官公需受注事業者のセレクションです。指名競争入札においては、指名に入るかどうかが、第一段階の勝負です。口実がどうであれ、天下り人のいる事業者が有利なことはまちがいありません。また、業界団体所属事業者同士は顔見知りですし、なじみもあります。指名業者の間から、発注者になじみのある事業者が受注する可能性が高くなります。
官公需の発注者にとって、気心の知れた天下り人のいる事業者の方が、一般的に仕事がやり安い(事業者の資質が良くない場合など例外はあります)。また、天下り人のいない事業者でも、なじみがありサービスの良い事業者の方が、発注者にとってありがたいのは当然です。
私は高校育友会の役職を務めたことがあります。これにも市や県の連合団体があります。県の場合、事務局長は教育委員会の天下り人でした。連合団体の実態は、おおむね県の上意下達機関でした。会議で意見は活発に出ます。しかし教育委員会の意向に反する意見は、さまざまな理由を付されて、連合団体の意思としてまとめられることはなかったのです。そういう方向に誘導しなければ、天下り人自身が元職の機関からお叱りを受けるのでしょう。
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