夏の挽歌
2014-09-08 | 断想
隠れているのはだあれ?遠くであの日の声がする。
山の上には青い空、昼下がり、ツバメが一羽、対角線に飛んで行く。
あの子はおとなしくて優しい子だった。いつも涙顔で、それでも遊んでほしくて付いてきた。
鼻緒の取れかかったちびた(方言?=すり減った)下駄、お下がりの大きすぎる半ズボン、古いベルトでキュッと締める。
きっと恥ずかしかった。いろんなことが。
頭のいい子だった。街の高校へ行き、東京の大学へ行き、そして遠くで働き、たまに帰るだけで、故郷に暮らすことはなかった。
母は嘆く。優しい子だったのに・・・今も母親の嘆きの声が聞こえる。
定年退職したら・・・母親は待っていたのに。復員ならなおさらのこと。
若い人は、いつの時代も遠くへ行きたい。兵隊にとられてさえ、勇躍勇んで出かけた世代もあった。
帰っておいで故郷へ。山も空も庭先の花も、あの日と同じ色で待っている。
夕暮れ時、母屋と納屋の間の暗がりに、いろんな声が残っている。
やがて秋、幾たびも季節は巡り、時間が古いレースのハンカチを折りたたむように積み重なっていく。
人は出会い、また別れ、赤ちゃんは子供に、子供は若者に、若者は長い時間をかけて年寄りに。
青い空を雲が行く。夏の終わりの澄んだ空。
昨日は孫が来た。タブレット端末で孫と一緒に動画を撮ってもらう。
再生して見て焦った。私って、人からはこんな風に見えていたんだあーーーー
そこにあるのは年相応の私の姿でありました。改めてダイエット永続宣言。合掌