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「逝年」 石田衣良

2014-09-24 | 読書


先日読んだ「娼年」の続編。女性専門の売春組織のコールボーイ、組織は大学の同級生メグミに通報され、女性経営者御堂静香は逮捕、服役中。そこからこの物語は始まる。

リョウは仲間のアズマ、スカウトした性同一性障害のアユム、静香の娘咲良、それに考えを変えて仲間に加わったメグミで再び、同じ仕事を始める。

体は女で心が男のアユムが、男として女性相手に売春をする・・・アズマの超絶マゾヒストぶりは娼年に詳しいが、リョウは経営者としてはたまた実際の労働者として、静香が釈放されるまで頑張る。

頑張る・・・何を?

だから好き嫌いなく、ご用命があればホテルに出向き、最高の性的サービスを女性にして満足してもらい、女性の心と体を癒す。値段は高いらしい。

お客さんの女性は歳はいろいろだけど、未亡人とか、セックスレスの主婦だとか、仕事に忙しいキャリアウーマンだとか。どの女性も知的で、自分の欲望をきちんと言葉で肯定し、それをお金で解決するのに躊躇しない。賢くて感情に流されない。

いゃあ、主婦一筋のこの私とは全然縁のない世界であり、感性。

ここで根源的な疑問。男性はそれが仕事なら、どんな相手とでもできるものだろうか。好き嫌い、とかないんだろうか。いくら若くても。

その昔、好色一代男というお話がありました。あれは男性が能動的でかつ数をこなす。こちら受動的でかつ数をこなす。自分の楽しみの為ではなく、相手の喜びのため。今の時代には、こうやって多くの女性を喜ばせるのが真の男の優しさ。作者はそう言いたいのかしら。

リョウは、エイズを発症したあと出所してきた御堂静香の最後の相手となる。親切ここに極まれり。余命いくばくもない、母親くらいの年齢の女性。

男性に聞いてみたい。そういう状況でも可能なのかと。心の問題だから、好きなら大丈夫と答える人もいるかもしれない。少なくとも、それが男女のコミュニケーションの最高の形態と、作者は言いたそうである。

いゃあ、半分以上七割方はベッドシーンとその前後の状況ですからね、凝り固まった頭の中身もずいぶん柔らかくなったかな。

二冊続けて下半身から人間を考える小説を読んだので、次はもう少し傾向の変わったものを希望。


本日、またまたドイツの絵を直す。直しても直しても夫が足りないところを突いてくる。悔しい。

塗りすぎて、直しすぎてグチャグチャ。

投信一つ売却。ささやかに儲けたのでもういいとしよう。ささやかな人生にそれこそがふさわしい。と言うことで。

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