里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

ナバナ「寒咲花菜」を穫り始める

2024年12月11日 | 畑:花菜類

ナバナ類の一種「寒咲花菜」を穫り始めました。
夏の気温が高かったため例年より1週間ほど遅い9月半ばの種播き。種子はトーホク種苗のもの。
12月早々を見込んでいたので1週間くらい遅くなりました。
今年は昨年のような暖冬とは様相が違うようです。


条件の良くない中での直播きだったので不安でしたが、欠株もなく順調。
追肥土寄せの効果もあったようで、例年になく生育は揃っています。
畝間は80㎝ですが、すでにいっぱいになっており生育は極めて旺盛。


ちょっと見には花芽を見つけるのが難しい。まだ上まで伸びていない株が多い。



主枝(親茎)は意外の伸びるのが遅く大きな外葉に隠れてより見えにくい。
しかし、株の中心を覗くと早いものは膨らんだ蕾が見えます。


ナバナ類には何種かあり、これは花菜(はなな)と呼ばれます。
人によっては菜花と呼ぶ方もいて紛らわしい。店では菜の花として売られることが多いかもしれません。
通常の花菜は春暖かくなって花が咲くナタネですが、これは寒咲きのナタネです。
比較的高い気温にも感応して花芽が出来、生長も早く冬場に穫れるようになります。
元は京都伏見で栽培されていた寒咲きナタネの一種が品種改良され当地のような寒冷地でも栽培できます。
主枝の蕾は見えにくいため覗き込んで確認しながら穫ります。
食べるのには多少咲いても問題ないのですが、主枝のトウは少し早めに摘むようにしないと、花茎が長く伸びわき芽にも影響します。
この主枝のトウを収穫してみます。


トウ(親茎)に付いているわき芽を数芽残して切ります。
しかし、数芽残しのつもりでも地際の葉は非常に詰まっているため大概10芽くらい残ります。
切りました。


切った後。すでにわき芽が大分伸びています。


別の株で。


切りました。


やはりわき芽が伸びています。
トウを上の方で切ればわき芽が多くなり穫れる本数は増えますが、細くなってしまいます。
数株収穫してみます。蕾は隠れて見えにくい。


立てて上からだと蕾が見えます。


トウは花、蕾、茎そして新葉と余すところなく食べられます。
花菜は柔らかくほのかな苦味があり独特の風味と食感が味わえます。我が家郎党でも人気です。
定番はお浸しや和え物ですが、炒め物、てんぷら、一夜漬けなど様々。
ちなみに小生はさっと湯がいて玉子でとじるのが好物です。
こちらは同じナバナ類のアスパラ菜。


11月早々から穫り始め、わき芽(子茎)の収穫が終盤です。外葉に斑点が目立ってきました。
これから孫茎が伸びてきますが、主役は「寒咲花菜」にバトンタッチと言ったところ。


干し柿づくり'24~揉みも終え仕上がり順調

2024年12月10日 | 干し柿づくり

干し柿は、硫黄燻蒸し干し始めて今日で20日。


今年の蜂屋柿は我が家では10年に一度あるかどうかと言う大玉揃い。
400g超えの特大玉も多く、上手に干せれば中身も見栄えも上々のはずです。
しかし、大玉になるほど乾燥に時間が掛かり失敗するリスクも大きい。
今年は大部分を横吊りにしています。


今は生産者の多くが横吊り方式で主流になっています。
風の通りが良く満遍なく乾きやすいので、特に大玉では安心感があります。


気温が高くなるのが一番怖い。一時20℃近くになった日もありましたが、12月になり気温が下がり冬らしい気候に。
オレンジ色の良い色合いになってきました。


乾いた寒風の吹く日もあり、想定した以上に乾燥が進み仕上がってきました。


大玉のため遅れると思っていたので少々嬉しい誤算と言ったところ。
ここまで無事乗り切れればほぼ大丈夫と思いますが、湿気が戻ることもあり安心は出来ません。
想定外だったのは外部からの侵入者があったこと。
窓や入り口扉などは全て開放していましたが、10日目頃に一番下に吊していた柿10個ほどがやられました。
干し柿では初めての経験です。そのやり口からハクビシンかアライグマの仕業と思われます。
直ちに開放部をネットで覆いました。風通しにはマイナスながらやむを得ません。


思いのほか乾燥が進んだとはいえ湿気の残っているものもあるのでもう少しこの状態を保ちます。
硫黄燻蒸をしているものの温度湿度がぶり返すとまだカビの心配はあります。
一方、何時までも空気に晒し続けると固くなってきます。大玉の柿は乾燥の加減が難しい。
管理としては、干し始めて10日から2週間目くらいのところで干し柿の腹を揉む作業を行っています。


当地では「芯切り」と言う昔ながらのやり方。全て助っ人がやってくれました。
蜂屋柿には種があり、種の周りが芯状になるため揉んで軟らかくするものです。
そして、揉むことで干し柿に刺激が加えられるため自然に白粉が吹き出てきます。
しかし、いま当地方の生産者はこのような作業はしないようです。
白粉を吹かせない「あんぽ柿」として出荷するため刺激を与えるのはよくないのでしょう。
我が家では「あんぽ柿」から白粉を吹かせた「ころ柿」まで進めて愉しみます。
まだ従来からの縦吊り方式が少しあります。


昨年、一昨年は中玉、小玉を縦吊りにしていますが、今年はこれも殆ど大玉です。
こちらもいい色合いになっています。
縦吊りにすると、縄に当たっている部分が次第に食い込みます。今年は大玉だけになおさらです。
そのため縦吊りの場合は揉み以外に「玉回し」の作業が数回必要になります。


「玉回し」は干し柿を少し回転させ縄をずらし食い込みを和らげるのです。
手前の干し柿を玉回ししました。


横吊りの場合は縄に当たらないので玉回しは必要ありません。
すでに渋は抜け、甘味も増し十分に食べられます。
試食用に取ってみます。


しかし、まだ中身はトロトロ状の熟し柿から脱した状態で干し柿としては未完成。


大玉が多いことを考慮すると「あんぽ柿」が出来上がるまでにはあと1週間から10日必要です。
昨年は小玉が多く500個近くありましたが、今年は1個で小玉2個分ありそうなものが多数。


メインのホウレンソウを穫り始める

2024年12月09日 | 畑:葉菜類

今年の秋冬ホウレンソウは4回に播いています。
昨年は暖冬で生育が著しく進み、大きくなりすぎ困ったので、今年は全体的に遅らせました。
1回目のホウレンソウは10月早々に播き、11月半ばから穫り始めほぼ穫り終えました。
一部がこのように大株になり残っているものがあります。


穫り頃になってきました。想定では2ヵ月後の穫り始めですから、少し早い。


品種はサカタのタネのクロノス。
葉色が濃く葉肉が厚いのが特徴。近年では一番多く作っています。
バラ播きで、基本間引きはしないので薄播きです。
かなりのごろ土でしたが、ほどよい発芽になりました。極端な薄い厚いはありません。


クロノスらしい濃緑で肉厚なホウレンソウになっています。


一番のピークの目標は12月下旬から1月上旬あたりですから若干早いか。
それでも昨年に比べるとまずまずと言って良さそうです。


気温も昨年のように高くはなっていないので想定範囲内の生育です。
これから厳寒期を迎え生育が抑えられ伸びが鈍くなることを想定しています。


これが助っ人が穫ったホウレンソウ。


まだ一方向からの収穫ではなく伸びの早いところから間引くように穫っています。
この程度に株間が広がれば徒長も抑えられるでしょう。


これが3回目のホウレンソウ。


10月25日の種播き。品種は同じくクロノス
1月半ば以降の厳寒期の収穫を想定。寒締めホウレンソウとして収穫しようかと考えています。
昨年は大幅に生育が進みましたが、今年は概ね想定範囲の姿になっています。
これが最終4回目のホウレンソウ。


11月3日の種播き。品種は同じくクロノス。
2、3月の収穫を目安に播いています。これも昨年より遅らせました。
昨年は最終のホウレンソウも生育が進みましたが、今年はまずまずか。
当地では、厳寒期に向かうこの時期の種播きだと収穫まで100日は要するのが普通です。
この後、不織布をべた掛けしますが、掛け始めは気温と生育状態を見ながら決めたいと思います。
現在の生育状況なら12月20日くらいからの被覆で良さそうです。
ホウレンソウは11月から6月まで秋、冬、春と連続の収穫を目指しています。


水墨画「聖護院蕪」(ダイコンとカブの違い)

2024年12月08日 | 水墨画:菜果
本画仙 色紙
 

カブの美味しい季節になりました。
カブの一種に京野菜として知られる聖護院蕪があります。
この大カブの聖護院蕪を水墨で描いてみました。
この聖護院蕪を原料として京都の代表的な漬物千枚漬けが作られます。
大分昔のことになりますが、小生は大きな誤解をしていました。
聖護院蕪の存在を知らず、原料となるのは聖護院大根とばかり思っていたのです。
千枚漬けを何度も食したわけではありませんが、あの滑らかさはカブなればこそと納得です。
桜島大根はじめ大型の丸ダイコンはかなりあるものの大型のカブは少ないようです。
そもそもダイコンとカブでは大きな違いがあります。
ダイコンは根そのものを食しますが、カブは生態的には茎の部分に相当します。
根は尻尾のように付いている部分。ですから大部分が地上に出ています。
青首大根も地上にかなり出ます。いわゆる抽根部は次第に緑がかってきます。
聖護院大根も地上部に顔を出した部分は薄らと緑がかるようです。カブはあくまで純白。
大きな違いは葉の形にあります。
ダイコンは葉柄にギザギザに切れ込みのある葉が何枚も付きます。
カブは葉柄に連なった1枚の葉が付いておりギザギザほどの切れ込みはありません。

越冬を前に茎立ち菜に追肥と土寄せ

2024年12月07日 | 畑:花菜類

越冬を前に茎立ち菜に追肥と土寄せをしました。
茎立ち菜とは当地方での呼び名で通称「茎立ち」、とう立ち菜のことです。
アブラナ科野菜の春に伸びてくるトウを食します。広い意味ではナバナ類の一つ。
今収穫しているハクサイや縮み雪菜などのアブラナ科野菜も春まで放置すればトウが伸びてくるので、これも茎立ち菜の一つと言えるでしょう。
しかし、トウを利用する目的で栽培する場合に茎立ち菜と言うのが普通です。
我が家で茎立ち菜として作っているのは「仙台雪菜」「かき菜」「つぼみ菜」の3種。
種播きは例年並の10月21日。昨年よりは若干遅い。
当地の標準よりは早播きです。大株にして越冬した方が収穫量は多くなります。
7、8粒と多めに直播きし、3回に間引きして10日ほど前に1本立てにしました。
これが「仙台雪菜」。


当地方のいわゆる伝統野菜で、このまま葉物として美味しく食べられます。
我が家では春に伸びるトウが美味しいので、昔から茎立ち菜として作っています。


3種の中では一番弱く作りにくいのですが、今年は順調。欠株もありません。
「仙台雪菜」を作る方は少なくなりました。増えているのは我が家でも作っている「縮み雪菜」。
しかし、全くの別種。ただ、最近店に出ている雪菜と称している野菜は「縮み雪菜」です。
まず畝の両肩に追肥。


見にくいですが、節約のため在庫の硫安に苦土石灰を混合して使っています。
土の水分具合も良かったので鍬だけで土寄せしました。


特に覆いなどの防寒はしません。土寄せが防寒対策なのでしっかりと寄せます。


大株にするとわき芽の数が多くなるため沢山のトウが伸びてきます。
こちらは「かき菜」。


類似のアブラナは全国各地に見られます。
「かき菜」は在来アブラナの一種で、主に関東での呼び名になっているようです。
丈夫で作りやすく沢山穫れるので昔から作っています。
昨年は発芽と初期の生育が遅れましたが、今年はまずまずの生育で欠株もありません。
同様に追肥。


土寄せ。


昨年に比べると生育のバラツキが少ない。元々は丈夫なので旺盛になるでしょう。


「かき菜」は茎立ち菜専用で、春にトウ立ちし伸びてきた新葉を利用します。「仙台雪菜」のようにこのままで葉物としては利用できません。
こちらは「つぼみ菜」。


「かき菜」と同類で、姿が似ています。
「かき菜」に比べると「つぼみ菜」の方が葉が明緑色で艶があります。
他よりも初期の生育が進むように感じられます。
同様に追肥。


土寄せ。


当地方では、「かき菜」より「つぼみ菜」の方が馴染みがあります。
我が家では昔は「つぼみ菜」は作っていませんでした。作り始まったのは数年前から。
他の2種より確実に早く穫れることが分かり毎年作るようになりました。


アスパラ菜や寒咲花菜と違い茎立ち菜3種は冬の十分な低温に当たることで沢山の花芽が出来ます。
茎立ち菜は早春の貴重な野菜と言えます。