■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 若き3代目が創業以来の無借金経営企業をけん引 9b06
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■ 若き3代目が創業以来の無借金経営企業をけん引 9b06
GOKO映像機器(川崎市幸区)は、かつて8ミリフィルム編集機の開発・製造で世界のトップシェアを獲得し、フィルムタイプのコンパクトカメラでは大手コンパクトカメラメーカーのほぼ全社から受けたOEM依頼を含め生産台数で世界一を獲得したことがある中小企業だ。
同社の経営基盤は8ミリフィルム編集機で盛期を迎えた時期に形成されたが、市場や社会情勢の変化に対応して事業転換できる企業体質の維持に努めたことが会社の足腰を強くした。80年代に入って8ミリフィルム衰退の兆候を察知すると事業の機軸をコンパクトカメラの開発・製造に移した。OEMを含み年間生産450万台となり生産台数で世界一に返り咲いたのは僅か数年後。次いでカメラがデジタル化されると映像機器事業の主力製品を医療・美容・工業など様々な分野向けの特殊スコープに特化し、さらに成長した。機動力と俊敏な新製品開発力が会社を存続させた原動力といえそうだ。
創業者で今年93歳になる後藤正取締役会長は「自社の次代を支えるため、世の中の技術革新の主流に追随する必要のない独自製品の開発努力を怠らなかったことが奏効した」と当時を振り返る。正会長が同社の前身となる三星光機を立ち上げた1953年は、終戦からほどない経済の混乱期。倒産していく多数の企業を目の当たりにし、絶対に倒産しない中小企業を目指して1.一切の見栄を排す 2.自ら考案した製品のみを作り、下請け仕事はしない 3.無借金経営――を事業の3大原則に掲げた。以来、無借金経営。自己資本比率98%を堅持しているという。
現在の代表取締役は正会長の孫娘で3代目。2015年12月に就任した後藤友子氏だ。正会長が農業への挑戦として長野で立ち上げたトマト生産事業に現在尽力している2代目、母・佳子氏の跡を継いだ。友子社長は、正会長が軌道に乗せ、佳子氏も従事した光学映像機器部門に軸足を置き、近年医療分野向けに独自開発し改良を加えた毛細血管スコープなどや、これらを有効活用するためのソフトウェア開発にも注力している。海外への販促も自ら積極的に行い、新製品への引き合いも増えているという。
低迷したことのない類まれな企業の経営を引き継いだ心境をこう語る。「2003年に慶應大学を卒業してすぐ入社した。祖父を見て育ち、その仕事をサポートする母の様子も間近で見ていたため、私もGOKO映像機器に貢献したいと思っていた。経営者が全ての意思決定とその実行に深く関与する中小企業の経営は簡単ではないと知っていたが、魅力も感じていた。祖父が築いてきた会社を継ぐ者として、社の内外に恥ずかしくない社長になると心に決めた」
需要の変化を敏感に捉え、顧客の課題を柔軟に解決する姿勢の友子社長は、光学映像機器を1台からカスタマイズできる自社の開発力が医療機器分野に貢献できる余地は大きいと感じている。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成