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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】3-08 緊褌一番 - カレーのCoCo壱番屋 気持ちを引き締めて挑戦する

2024-10-05 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】3-08 緊褌一番 - カレーのCoCo壱番屋 気持ちを引き締めて挑戦する        


 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

  第3章 経営に戦略的企画力を
 日本の経営者・管理職は、非常によく勉強をしていますが、耳学問が進みすぎて、それらに振り回されすぎているように思えます。いろいろな経営理論を聞きかじり、そのメリットのみが強調されたお話を聞き、消化不良を起こしていることに気がついていません。そのために「知っているつもり」「やっているつもり」という”つもり”が積もっていて、自社にとって最適な方法が提案されても「陳腐な理論」「古い経営手法」というような位置づけでかたづけてしまっている企業が多いです。
 四字熟語の中には、【心 de 経営】の精神に則る、経営者・管理職の心の糧になる発想が多数見つかります。前章の思考法を用いながら、それを企業経営に活かすことが、“戦略的”な経営に繋がります。企業経営で欠けている【心 de 経営】をいかに読み解いて、戦略経営を行うかを感じ取ってください。
 3-08 緊褌一番 - カレーのCoCo壱番屋
       ~ 気持ちを引き締めて挑戦する ~



 これまでなら「褌(ふんどし)」の話など、女性のいる前では御法度でした。ところが近年、女性用の褌が販売されているというニュースを見ました。締め付け観が少ないこともあり、カラフルで、女性らしいものが出回ってきているようです。
「緊褌一番(きんこんいちばん)」の「緊褌」に含まれる「褌」という漢字は、「ふんどし」のことで、いまさら言うまでもなく「下帯」とも言います。「緊」は緊張というような熟語を構成したりしますが、「差し迫る」「引き締める」という意味です。従って「緊褌」というのは「褌を引き締める」ということになります。
 企業においてだけではなく、日常生活でも新たなことを開始するときなどに「褌の紐を締め直して取り組む」というような表現を使います。ちょっと用途は異なりますが「勝って兜の緒を締めよ」ということにもその精神は繋がっていると考えます。
「緊褌一番」は「気持ちを引き締めて、何かに挑戦する」というような時に使われます。「緊褌一番」の「一番」は、「ここ一番」などという言い方がありますように、身近な言葉にも繋がっています。「乾坤一擲(けんこんいってき)」の「乾坤」は、それぞれ「天」と「地」のことです。「一擲」は、ハンマー投げなどのスポーツを「投擲」と言いますが、「擲」は投げることです。「投げるときになったら、天地に前例をかける」ということから「運を天にまかせて、のるかそるかの大勝負をする」という時の「ここ一番」という時の表現です。
「ここ一番」というと「CoCo壱番屋」を連想する人も多いのではないでしょうか。CoCo壱番屋は、本社が愛知県にある株式会社壱番屋が運営する日本のカレー専門店チェーンの最大手です。しかし、ハウス食品の関連会社であることは意外と知られていません。
 フランチャイズ展開をしていますが、日本各地だけではなく海外展開にも積極的です。中国での成功例がテレビでも放映されたことをご記憶の方もいるでしょう。もちろん店名の「CoCo壱番屋」というのは「カレーならココが一番や!」から来ていることは容易に推測できます。
 単品ビジネスは景気の影響を受けやすく経営が難しいと言われる中で、CoCo壱番屋の成功要因は何でしょうか?
 カレーの辛さは、人により好みがちがいます。カレーの量やご飯の量も選択でき、トッピングも選べるため、カレーという単品でありながら30種類以上の定番メニューがあり、期間限定で特別メニューが提供されることもあります。
 カレーを連想させる見つけやすい色使いの看板と店舗立地、入りやすい店舗レイアウトなども上記の特徴を側面支援しています。身近なお店にも、ちょっとした工夫を見つけることができ、それをヒントにしている人も多いのではないでしょうか。
 一般的には、単品ビジネスであると景気の変動に左右されがちであると言われています。ところが、カゴメという会社の例を見ますと、単品であること、すなわちコアコンピタンスを明確にすることは、ビジネスの成功に繋がりやすいことを証明しています。
 カゴメは、バブルの時代に、トマトケチャップやトマトジュースという、同社の定番商品だけに頼っていては成長に限界があると考えました。そこで事業の多角化戦略を取り入れて「総合食品メーカー」を目指しました。
 その実現のために消費者ニーズの多様化に添った加工食品を中心に品揃えを豊富にしました。輸入食材も強化し、日本人の食文化の国際化に対応することにも力を注ぎました。その戦略名も「SKY計画」と大空に羽ばたく戦略でした。
 その結果、売上高は天井知らずとはいえませんが大きく伸びました。「大きいことは良いことだ」という時代であればそれでよしと経営者は判断したかもしれません。ところが、総合食品メーカーと「トマトのカゴメ」という企業イメージはあい入れず次第に「トマト」のイメージが薄まるにつれ、顧客に「カゴメ」という会社の見方が変化して来ました。良い方向に進むと考えていた経営陣の期待に反し、収益性、利益率という面では悪い方向に向かってしまったのです。
 今日では緊褌一番「農業食品メーカー」としてのイメージ回帰に成功し、カゴメらしさを取り戻してきているように見えます。
 企業経営は、業績が順調なときほど、自社の経営を厳しく見つめ直すべきと言われます。厳しく”観る”ことにより、それまでは気がつかなかった面まで目が届くようになり、その改善や対策のために次の手を打つことができます。さらに次の飛躍のための新製品や、新しい柱となる商品開発を行う契機ともなります。
 上述のカゴメのように、自社のドメインを見つめ直し、その中で新たな戦略を実践していくときに、注意すべき点をカゴメから学ぶことができます。新規事業を企画するときには、「企業イメージを壊さない、ぼやかさない、反さない」ということに注意し、やると決めたら緊褌一番、兜や褌の紐を締めて、全力で取り組むべきでしょう。
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