■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】101 ネット注文やオンライン通販、早めの準備が窮地救う 1120
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■ ネット注文やオンライン通販、早めの準備が窮地救う 1120
KOFS(カフス)は徳島市八万町で3店舗を展開しているカフェだ。社長は澳津美菜さん37歳。大学生のころ、いつか自分の店を持ちたいと決意し、21歳から準備を始め、就職はせず故郷の徳島に戻り2007年4月、24歳のとき開業した。
当初は20代の女性がターゲットだったが、自身の出産を機に子育て中の30代主婦向けに食事メニューのほかカフェやスイーツを提供。徐々に店舗を増やし、2017年8月に株式会社化した。新型コロナウイルス感染症の流行前は店内での飲食とテイクアウトの両方で売り上げを伸ばし、スタッフもパートやアルバイトを含め約40人を抱えるまでになった。
だが、コロナ感染が広がり、2020年4月の外出自粛要請で店を開けていても客足が遠のき、1日の来店客数は急減。売上も4月は前年同月比60%に減り、5月は休業し同36%まで落ち込んだ。危機打開のため資金繰りに走り回った。2店舗が持ち店舗で家賃負担は少なかったが、スタッフの休業保証を行った際の雇用調整助成金がなかなか下りず、従業員への賃金確保に苦慮した。
窮地を救ったのはテイクアウトのネット注文だった。コロナ前、テイクアウト注文は電話でリアル対応していたが、それだと店の定休日や営業時間外のオーダーを取ることができない。またスタッフが1回の注文に対応するのに約5分を要するので、注文を受けるにはそれなりの人数も必要だった。そこで2月に中小機構四国本部が主催したIT勉強会に参加。テイクアウトのネット注文のノウハウを習得し、勉強会の成果を活かしてSNS投稿を強化して周知を図るなど準備を進めていた。
満を持して3月からネット注文を始めたら、おりしもコロナが顕在化して需要が急増。今年5月のテイクアウト売り上げは年同月比で10倍も売上を伸ばした。事前準備はオンライン通販でも奏功。インスタグラムで自社オリジナルのアイスケーキをPRしたら、リンク先のECサイトから徐々に注文が伸びた。店舗受け取りの各種ケーキの予約も、手数料無料のGoogleフォームを使って予約ができるようにしたところ、ホールケーキの注文数がコロナ前の10倍になった。
店舗内のイートインで売上が難しくなった分をテイクアウトと通販で補い、結果的に事業領域の幅を増やすことができた。テイクアウト部門の好調で本店の売り上げは前年同期比110%に伸びている。
これから3年で事業内容を通販、テイクアウト、イートインの3本柱にしていくつもりだ。通販はアイスクリームを中心に、中元・歳暮やバレンタイン、クリスマス、母の日など各種イベントを彩る商品を開発し、販路拡大をねらう。テイクアウトはもちろん、イートインでは温かさや冷たさを大切にした料理やスイーツを提供し、店舗に足を運ぶワクワク感を大切にしたいという。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成