今日の人間ドックはついてなかった。
最初の不運は、採血で新人スタッフに当たったこと。
(これはヤバイ・・・)
心配した通り、針はなかなか血管に通らない。
針先を左右に振り、小さく往復させて血管を探るが刺さらない。
痛いので「いったん差し直ししても良いですよ」と言ったがやめないで頑張る。
隣のベテランっぽいお姉さんが心配そうに見守っている。
そのうち血管に針が入ったが、今度は血の出が悪すぎる。
途中から隣のお姉さんが手伝ってくれて、なんとか終了した。
今日の不運の本番は内視鏡検査だった。
担当医師は若い女性だった。
(これもヤバイぞ・・・)
嘔吐反射の強いボクは、いつも鼻から入れてもらっている。
鼻からだと少々痛いが、喉を通過する時に軽く「オエッ」となるのをガマンすれば良い。
ところが今日の担当医師は、鼻から入れるのが初めてのようだった。
内視鏡を力で押し込むだけで、いつまでも鼻を通過させられない。
しばらくは必死でガマンしたが、耐えられなくなって声に出した。
「痛い、痛い、痛い・・・」
そのうち痛すぎて状況が分からなくなった。
眼を開けてモニター画面を見ると、見慣れた消化管の映像ではない。
「どこまで入ったの?」と尋ねると、「まだ鼻の中です」。
そんなバカな・・・
ボクは昔、検診で胃の組織を摘みとった時に血管を食い切られて大量下血し、全身の三分の一の血を失って、集中治療室に運ばれたことがある。
わが越谷の市立病院では、不慣れな医師が内視鏡で大腸を突き破るという事件があった。
内視鏡検査を甘く見てはいけない。
鼻の痛みをこれ以上ガマンするのは危険と判断して、「先生、今日はやめます!」
医師が「口から入れ直しましょう」と誘うのを断ってベッドから降りた。
鼻のどこがどうなったのか、それから1時間ほど鼻からの出血がじわじわと続いた。
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