ごっとさんのブログ

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がん免疫療法 続

2015-01-26 11:03:50 | 健康・医療
今日はこの後錦織選手の4回戦・フェレール戦があります。これからが正念場になりますが、ランキングからすれば下位の選手ですので、勝つ可能性が高いのですが、今まではやや有利とはいえ接戦になっています。いままでのように様子を見て1セットを落としたら、そのまま負けてしまう相手ですので、どう戦うか楽しみです。

さてがん免疫療法の続きです。現在色々な病院で免疫療法が実施されていますが、保険適用外ですので、かなり高額医療になるでしょう。詳しい方法はよくわかりませんが、患者の血液から免疫細胞を分離し、NK細胞を培養して増殖させ、これを患者の体内に戻すというのが一般的のようです。NK細胞というのは、免疫系細胞の中で異物を殺していわば食べてしまう役割を持った細胞です。これを増やして活性化することが、がん細胞を攻撃することにつながるのか、かなり難しい問題のような気がします。

十年ほど前、私が読んだ文献で、これなら免疫療法が可能だと思ったものがありました。基本的には現在実施されている方法に近いのですが、この方法は患者の免疫細胞類を培養するときに、患者からとったがん細胞と一緒にするというところがポイントとなっています。つまり免疫細胞とがん細胞を共存させることによって、免疫細胞ががん細胞を異物と認識し、がん細胞抗体ができるというものです。この文献は動物実験だけでしたが、非常に良い効果を出していました。しかしこの方法がその後進展していないのは、患者自身のがん細胞を取り出す、つまり手術後にしか適用できないところでしょう。

前にも書きましたが、がんの発生初期に免疫系が働いて治してしまうことがあるのではないかと思っています。これは何の根拠もないのですが、がん細胞を異物と認識可能性もあるような気もします。しかしがんになってしまった患者は、この異物を排除するシステムが働かなかった人ですので、NK細胞やマクロファージの活性を高めてもあまり効果がないような気がします。つまりがん細胞を殺す機能を高めても、がん細胞まで道案内するものがないわけです。この道案内をして、がん細胞だと教えて殺すように働きかけるものが、抗体になるわけです。

抗体医薬の項で書いたように、がん細胞を認識するような抗体を人工的に作り出すのは、理論的に免疫療法が可能になるわけです。
結論として、現在の免疫療法と言われている治療法は、残念ながらがん細胞を異物と認識させるメカニズムが欠けているといわざるを得ません。だからといって全く効果がないとは言えませんが、大きな期待が持てるものではないようです。
それでも人間の免疫システムは優れたものですので、何とか工夫してこの機能を生かした治療法の開発を期待しています。