ごっとさんのブログ

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医療分野での人工知能の進展

2017-12-09 10:44:40 | 健康・医療
医療分野のテクノロジーの進歩は目覚ましく、疾患の早期発見・治療、リハビリに大きく貢献することが期待されています。人工知能によって医療分野ではどのように診断・治療が最適化されているかを書いてみます。

現在人工知能(AI)は第3次ブーム(といっても私はいつが1次、2次かわかりませんでしたが)を迎えており、医療分野にも大きな革新をもたらしつつあるようです。

東京大学医科学研究所は、2016年8月に、AIを備えるコンピュータであるIBM社の「ワトソン」が、専門家でも診断が難しい特殊な白血病をわずか10分で突き止め、60代の女性患者の命が救われたと発表しました。

この成果は、ワトソンが2千万件に上るガン研究の論文や薬の特許情報などを参照し、患者の遺伝情報と照らし合わせた結果、当初診断された急性骨髄性白血病とは異なる特殊な白血病であると判断し、抗ガン剤の変更を提案したことでもたらされたものです。

国立がん研究センターとNECも17年7月、AIを用いて大腸ガンやガンに移行しやすいポリープを内視鏡検査時にリアルタイムで発見するシステムを開発したと発表しました。AI技術や高速処理技術を駆使し、内視鏡の画像を瞬時に解析できるようにしています。

自治医科大学病院は、双方向対話型AI「ホワイト・ジャック」の試験運用を16年秋から開始しました。患者がタッチパネル式のタブレット端末にIDカードをかざし、症状や発症時期、病歴などを入力すると、同大学に蓄積されたビッグデータと照合して受診すべき診療科に案内します。

医師が電子カルテに身体所見、問診などの情報を追加入力すると、ホワイト・ジャックが再解析を行って可能性の高い疾患を絞り込み、推奨される薬剤や治療法も表示されるようになっています。その他愛知医科大学なども患者のカルテ情報をもとに、適切な診断を支援するAIの開発を行っています。

一方、AIが推論や学習を行うもとになる膨大なデータ(ビッグデータ)の整備も進んでいるようです。医薬品医療機器総合機構は、医薬品などの安全対策を進めるため11年に医療情報データベース事業を開始しています。現在10拠点23病院の400万人規模のデータの品質管理調査を実施中で、18年度以後の本格的運用を目指しています。

こういったことはいずれも研究・開発段階のもので、まだ実際の臨床現場では用いられていません。しかし近い将来、診察室の電子カルテがこうしたAI技術を備え、医療機関ごとのデータを集約し、国家的なビッグデータとつながることで、希少で重篤な疾患の早期発見、最適な治療法の選択に役立つことが期待されています。