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労働組合は機能しているか

2017-12-27 10:37:01 | 時事
先日タイトルのように「労働組合は機能しているか」というコラムを見ました。

私は特殊な業務ではありましたが、長いこと会社員として勤務し、若いころは労働組合の役員などもやってきました。私の世代は学生時代は学生運動の真っただ中におり、就職してからも労働組合活動というものに何の違和感もなく入っていきました。

実際は管理職となり、組合とは会社側として接する機会の方が長かったのですが、労働組合というものが徐々に変化していったことは確かです。

労働組合は、戦後の民主化の中で組織化が進み、正社員中心の企業別組合が主流になりました。これは日本特有の組合で、海外ではほとんどが職種別組合となっています。このため私の所属していた組合も会社とのなれ合いの、御用組合と批判したものです。

1989年には、ナショナルセンターとして連合が誕生しました。基本的には組合員のための組織ですが、高度成長期には春闘による賃上げや労働条件の改善が、組合のない中小企業労働者やパートタイマーにも波及する形で、組合員以外にも一定の役割を果たしてきました。

ところが90年代末に環境が激変し、経営者は短期的な視点を重視し株主を重んじ、従業員を育成するというより、使い捨てへと変質していきました。この辺りは社会環境の変化もありましたが、やはり労働組合が有効な手を打てなかったこともこの傾向に拍車をかけたような気がします。

この時は政府も労働者派遣法などを改正し、高度専門職に限定されていた派遣が製造業まで広がりました。この結果、企業の正社員が減り、2003年には非正規で働く人の割合が労働者全体の3割を超えたのです。

この流れは08年のリーマンショック後の雇止めの混乱を受けて変わることを期待しましたが、全く変わりませんでした。この間労働組合は、パート労働法の改正や最低賃金の引き上げなどを行いましたが、問題となる非正規社員をどうするかはほとんど進まなかったような気がします。

企業の生産性向上に協力して配分を求める組織も多く、正社員を非正規に置き換えることの対応が抜け落ちていました。連合は非正規労働センターなど立ち上げましたが、労働組合全体の問題にはなっていない気がします。

この同じ仕事をしながら条件に格差がある職場が増え続けていくことを是正するのも労働組合の問題だと思っています。現在進めている働き方改革を政府や経営者に任せるだけではなく、同じ労働者としての組合の力が必要でしょう。

そういった点では現在の労働組合は未だに組合員の権利を守るだけで、本来の機能を果たしていないような気がします。