ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

3Dプリンターで体組織を造形

2018-03-23 10:42:35 | その他
大阪大学と富山大学の研究チームは、生きた細胞を使って臓器や組織のもととなる3次元の構造体を作り出す「バイオ3Dプリンター」の技術を開発しました。

細胞の入った溶液をインクのように噴出させて瞬時に固め、細胞の機能を維持したまま構造体を作るのがこのプリンターの仕組みですが、これまでは軟骨など一部の細胞にしか使えませんでした。新技術では、特定の酵素を使うことで応用できる細胞の幅を飛躍的に広げたようで、再生医療の進歩につながると期待されています。

私はまだ普通の3Dプリンターでさえ見たことがありませんが、噴出したものが瞬時に固まるというのは、樹脂のようなものであれば可能かもしれませんが、生きた細胞が使えるというのは不思議な気がします。

この技術はiPS細胞から分化させた細胞を生かし、患者の必要に応じて様々な構造体を作ることも期待できるようです。

2次元のインクジェットプリンターは、カートリッジに入った複数のインクを噴出させて紙などに印刷します。研究チームによると、インクジェット式のバイオ3Dプリンターは、それぞれのカートリッジに異なる種類の細胞が入っているというイメージのようです。

入力された3次元データに基づき、細胞を含む直径0.05ミリ程度の溶液を1滴ずつ積み上げていきます。例えば、カートリッジに入っているのが皮膚細胞とそれに適した溶液なら皮膚組織、血管細胞とそれに適した溶液なら血管組織のもととなる構造体ができ、それを同時に行えば、血管の構造を含む皮膚組織を作ることが可能となるわけです。

課題は細胞の機能を維持したまま、噴出された溶液を瞬時にゲル状に固める手法でした。有用な溶液としては、ヒアルロン酸やコラーゲン、ゼラチンなどが知られていましたが、これらを一瞬のうちに固める技術はありませんでした。

そこで研究チームが目を付けたのが「ペルオキシダーゼ」と呼ばれる西洋わさびの酵素でした。この酵素には、微量の過酸化水素と反応して分子などを結合させ固める能力があります。

類似の特性を持つ別の酵素を含め、3年間実験を繰り返した結果、ヒアルロン酸などの溶液に、ペルオキシダーゼが作用するのに必要な処理を施せば課題をクリアでき、幅広い細胞に対応可能とわかりました。

実際に皮膚の細胞でモデルを作って観察したところ、細胞の増殖が確認されました。この様に非常に小さなモデルが作成できましたので、次はプリンターを改良して大量の溶液が使えたり、同時にいくつもの溶液が噴出可能なものとし、より複雑な構造体に対応したいとしています。