皮膚の常在菌の話ですが、いくら清潔にしても皮膚には多くの細菌が住み着いています。
ヒトの体全体を覆う皮膚は、成人で面積が約1.6平方メートルもあり、皮膚に常在する細菌叢は腸内に次いで多く1000種類以上の菌が住んでいると報告されています。この細菌類はヒトを守る役割をしていることが知られていますが、ここではそういった菌が皮膚ガンの予防をしているという話を紹介します。
この細菌叢の生態系が健康に重要な影響を持つことはわかってきていますが、この分野は個別の細菌とその集団からなるエコシステムが複雑に絡まっているため、分かりやすく説明するのが難しいようです。
それでも現在はこういった複雑な細菌叢研究に注目が集まっているのは、このシステムを人為的に変えることが可能なためとしています。もちろん皮膚にも細菌叢が存在し、たとえばニキビの原因となるアクネ菌もその一つです。思春期に急に皮脂の成分の変化と分泌量が上昇し、皮膚に常在するアクネ菌の増殖と炎症が起きるのがニキビです。
ただし腸内細菌叢の研究と比べると、皮膚細菌叢研究人口は少ないようです。そういった中で、カリフォルニア大学の研究グループは、皮膚ブドウ球菌の中に人間の皮膚で病原性を持つ他の黄色ブドウ球菌の増殖を抑えていると発表しました。
これは病原菌の増殖を抑えるペプチドを分泌する系統が存在し、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚では減少していることを示し、皮膚の細菌叢の重要性を示すことに成功しています。
次がタイトルのように、皮膚の細菌叢からガンの発生を抑制するブドウ球菌を発見したということを、同じグループから報告されました。A型溶連菌や緑膿菌など、皮膚に常在する病原菌の増殖を抑える細菌をスクリーニングする過程で、ペプチドとは異なる6-HAPと名付けた低分子化合物を介して、増殖を抑える菌株をやはりブドウ球菌の中に特定したことから始まります。
有機化学分析により6-HAPの構造を調べると、この化合物が核酸合成を阻害する構造を持つことが分かりました。そこで正常皮膚細胞株や皮膚ガンの細胞に対する6-HAPの作用を調べると、ガン細胞にだけ増殖抑制作用を示しました。
通常核酸合成阻害剤に特異性があることは無いのですが、この6-HAPの作用能力がガンと正常でどのように違っているかを調べました。最終的にミトコンドリア内に存在するmARCの発現を比べたところ、正常細胞にのみで発現が高いことが明らかになり、これが6-HAPの能力の差として出ると推測しています。
この化合物はすでにできたガンの治療に使えるほどの薬理作用はないようですが、ガン発生を抑えているのが細菌であるというのは面白い知見といえそうです。
ヒトの体全体を覆う皮膚は、成人で面積が約1.6平方メートルもあり、皮膚に常在する細菌叢は腸内に次いで多く1000種類以上の菌が住んでいると報告されています。この細菌類はヒトを守る役割をしていることが知られていますが、ここではそういった菌が皮膚ガンの予防をしているという話を紹介します。
この細菌叢の生態系が健康に重要な影響を持つことはわかってきていますが、この分野は個別の細菌とその集団からなるエコシステムが複雑に絡まっているため、分かりやすく説明するのが難しいようです。
それでも現在はこういった複雑な細菌叢研究に注目が集まっているのは、このシステムを人為的に変えることが可能なためとしています。もちろん皮膚にも細菌叢が存在し、たとえばニキビの原因となるアクネ菌もその一つです。思春期に急に皮脂の成分の変化と分泌量が上昇し、皮膚に常在するアクネ菌の増殖と炎症が起きるのがニキビです。
ただし腸内細菌叢の研究と比べると、皮膚細菌叢研究人口は少ないようです。そういった中で、カリフォルニア大学の研究グループは、皮膚ブドウ球菌の中に人間の皮膚で病原性を持つ他の黄色ブドウ球菌の増殖を抑えていると発表しました。
これは病原菌の増殖を抑えるペプチドを分泌する系統が存在し、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚では減少していることを示し、皮膚の細菌叢の重要性を示すことに成功しています。
次がタイトルのように、皮膚の細菌叢からガンの発生を抑制するブドウ球菌を発見したということを、同じグループから報告されました。A型溶連菌や緑膿菌など、皮膚に常在する病原菌の増殖を抑える細菌をスクリーニングする過程で、ペプチドとは異なる6-HAPと名付けた低分子化合物を介して、増殖を抑える菌株をやはりブドウ球菌の中に特定したことから始まります。
有機化学分析により6-HAPの構造を調べると、この化合物が核酸合成を阻害する構造を持つことが分かりました。そこで正常皮膚細胞株や皮膚ガンの細胞に対する6-HAPの作用を調べると、ガン細胞にだけ増殖抑制作用を示しました。
通常核酸合成阻害剤に特異性があることは無いのですが、この6-HAPの作用能力がガンと正常でどのように違っているかを調べました。最終的にミトコンドリア内に存在するmARCの発現を比べたところ、正常細胞にのみで発現が高いことが明らかになり、これが6-HAPの能力の差として出ると推測しています。
この化合物はすでにできたガンの治療に使えるほどの薬理作用はないようですが、ガン発生を抑えているのが細菌であるというのは面白い知見といえそうです。