ごっとさんのブログ

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サプリメントでガン予防はできるのか

2018-03-15 10:45:24 | その他
薬剤や特定の栄養成分の服用で行う疾病予防を、専門用語で「化学予防」と呼びますが、ガン予防を目的にサプリメントを使うのは、まさに化学予防ということになります。

現在はビタミンやミネラルなどのサプリメントがあふれていますが、私は基本的に必要な栄養素は通常の食事をしていれば不足することは無く、サプリメントで過剰摂取するのは疑問であるという意見です。今回これに近いような記事が出ていました。

1980年代に5年から10年という長期間にわたって国際的かつ大規模なガンに関する化学予防試験が行われました。世界中の試験対象地域で、それぞれ2~3万人のボランティアを募り、特定の成分の入ったサプリメントを飲んでもらい、その後のガンの発生状況を調べたものです。

この結果例えば中国での試験では、β-カロテン、セレニウム、ビタミンEを投与したグループは、非投与群と比較して21%胃がんの発生率を低下させることが分かりました。

しかしこの中国の住民たちは、他のエリアの住民よりもともとの血中のβ-カロテン濃度が低いという事情が分かりました。β-カロテンを投与したことによって血中の濃度が低いからやや高いに変化し、これはもともとガンのリスクが高い人を対象にしたためとわかりました。

この中国以外の試験ではこれらのサプリメントを投与したことによるガンの予防効果は見られず、逆に喫煙者が高用量のβ-カロテンを摂取すると、肺ガンのリスクを20~30%も上昇させていました。

また別の調査としてアメリカでβ-カロテンとガンの関係を見る調査が行われました。この調査では、もともと血中β-カロテン濃度の程度によってグループ分けした解析が行われましたが、やはり血中濃度が低い人ほどガンのリスクが高く、低い人に補給することでガンの予防効果は認められたものの、元から高い人への補給ではガンのリスクを高めるという結果が出ています。

β-カロテン、ビタミンA、C、E、セレニウムのいずれか、あるいはこれらを組み合わせた抗酸化サプリメントの有効性を検証した68試験の合計23万人のデータを解析した研究が2007年に発表されました。

その結果は、ビタミンCとセレニウムについては、死亡リスクは変わりませんでした。ところがβ-カロテン、ビタミンA、Eについては、4~16%という有意差をもって死亡リスクが高まるという結果が出ています。

こうした結果から、その成分が不足状態にある一部の人を除き、ガン予防のために特定の栄養素をサプリメントで大量に摂取することにメリットはないといえるでしょう。

これは私に都合のよい記事でしたが、サプリメントを摂るということは、プラセボ効果は期待できますので、害があるというところまではいかない気もします。