ごっとさんのブログ

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画像診断装置「MRI」のはなし

2018-09-03 10:43:07 | その他
ガンや脳梗塞など、病気の診断に広く使われているMRI(磁気共鳴断層撮影)は、最近はこころの病気の解明や脳科学などにも貢献しています。ここではこの装置の基本的な原理や今後の応用展開などを書いてみます。

私も5.6年前にこのMRI診断を受けたことがあります。ある日突然左目に違和感を感じいろいろ調べてみると、顔の左半分が動かなくなっていました。慌てて病院に行ったところ、突発性顔面麻痺という診断で、大部分は原因不明で自然に治るが、まれに脳が原因の場合があるからとMRIを予約しました。

顔面麻痺自身は3週間ほどで自然に治ってしまったのですが、せっかくなのでMRI検査を受けてみました。

さてそのMRIですが、ベットで横になりドーナッツ状の装置の中に入って体の断層画像を撮影する装置です。この装置の中には、巨大な円筒状の超電磁石が入っています。

人間の体重の約6割は水でできています。体内の水素の原子核は、通常バラバラの方向を向いていますが、MRIで外から強力な磁場を与えると、コマのように回転している原子核は一定の方向を向きます。

さらに電磁波を当てると、原子核はタイミングをそろえて特定の方向を向く「核磁気共鳴」を起こします。この現象を利用して信号をとらえ画像化しているのがMRIです。この説明では何のことかわからないと思いますが、簡単に言えば体内の水の動向を把握し、その水に包まれた臓器の状況をとらえているものです。

同じような画像診断としてCT(コンピューター断層撮影)は、X線が体を透過して画像を撮影するため、放射線被曝を伴います。このMRIは被曝がないことに加え、自由に体の断面が撮影できる、画像のコントラストがはっきりしていてわかりやすいなどの利点があります。

水を含んで軟らかい脳や脊髄などの画像化にも適しています。ただMRIは撮影に時間がかかり、その間はじっとしていないといけないため、呼吸で動きやすい肺や心臓の撮影はCTに比べて苦手です。

撮影時の大きな音も課題です。MRI装置は、撮影に必要な傾斜磁場コイルに電流を流す際にコイルが振動します。そのため鉄道の高架下のような大きな音が出るので、通常は耳栓をして検査を受けますが、これも最新型は静音化しているようです。

また最近はfMRI(機能的磁気共鳴断層撮影)という技術が開発され、考えたり感じたりする時に脳のどの部位が活動しているかを調べることができるようになりました。

日本は100万人あたりのMRI台数がトップの国のようですので、この装置を使ってどんな研究成果が生み出されるか注目しています。