認知症の治療薬として使われている4種の医薬品が、フランスではこの8月から医療保険の適用から外れたという記事がありました。
この4種というのは日本でも認知症治療薬として使われているアリセプトなどですが、新しく副作用が報告されたとか、調べなおしてみると無効だと分かったというわけではありません。
しかし有効性と副作用のバランスおよび価格を考慮すると、国民に対して医療保険で手厚くカバーするほどの有用性はないとみなされたようです。従って保険適用から外れて、フランスでは効果があると思う人は使えばよいという一種のオプション的医薬品とされ、使用禁止になったわけではありません。
認知症の患者数は2025年には日本で700万人、65歳以上人口の5人に1人と推定されています。ただこの数字はかなり大げさすぎるという意見もあるようです。2010年代から認知症患者数の中には、それまでグレーゾーンとされてきた「軽度認知障害」までも含まれる統計の数え方になっています。
軽度認知障害の人たちの中には、物忘れが悪化して認知症に進行していく人もいれば、軽度な状態のまま日常生活を何とか続けながら年老いていく人もいます。
さて認知症薬の評価については、これまでに行われた治療試験をまとめると、半年程度続けて服用した結果では、認知のペーパーテストで測る点数は多少とも上昇し、日常生活の活動性は上がっているものの、生活の質や日常生活での行動や振る舞いに影響を与えるほどに達していないとなっています。
非常に簡単に言うとほとんど効果はないといえるのかもしれません。このアリセプトなどの治療薬は、根本的な治療薬ではないとか認知症の進行を遅らせることはできないといわれていますが、実は根本的な理由も存在します。
アルツハイマー型認知症を引き起こす原因として、1980年代に一世を風靡したのは「アセチルコリン仮説」という医学理論でした。これは認知症患者が亡くなった後に解剖して脳を調べてみると、アセチルコリンが健康な人より少なかったという研究結果を基にして生まれました。
しかしその後の研究がさらに進むと、アセチルコリン仮説は1990年代には勢いを失いました。この年代には電子顕微鏡の進歩によって認知症患者の脳に多い「老人班」の主成分はアミロイドであることが分かってきました。その結果、認知症の原因についての「アミロイド仮説」によって「アセチルコリン仮説」は駆逐されてしまったのです。
ところがアリセプトなどの現在の認知症薬は、すべてこのアセチルコリン仮説に基づいて開発されたものなのです。もちろん物忘れなどの症状にはアセチルコリンが関わっていると考えられますので、全く効果がないわけではありません。
しかし私が認知症になってもアリセプトを飲む気にはなりませんし、フランスの判断は妥当といえるのかもしれません。
この4種というのは日本でも認知症治療薬として使われているアリセプトなどですが、新しく副作用が報告されたとか、調べなおしてみると無効だと分かったというわけではありません。
しかし有効性と副作用のバランスおよび価格を考慮すると、国民に対して医療保険で手厚くカバーするほどの有用性はないとみなされたようです。従って保険適用から外れて、フランスでは効果があると思う人は使えばよいという一種のオプション的医薬品とされ、使用禁止になったわけではありません。
認知症の患者数は2025年には日本で700万人、65歳以上人口の5人に1人と推定されています。ただこの数字はかなり大げさすぎるという意見もあるようです。2010年代から認知症患者数の中には、それまでグレーゾーンとされてきた「軽度認知障害」までも含まれる統計の数え方になっています。
軽度認知障害の人たちの中には、物忘れが悪化して認知症に進行していく人もいれば、軽度な状態のまま日常生活を何とか続けながら年老いていく人もいます。
さて認知症薬の評価については、これまでに行われた治療試験をまとめると、半年程度続けて服用した結果では、認知のペーパーテストで測る点数は多少とも上昇し、日常生活の活動性は上がっているものの、生活の質や日常生活での行動や振る舞いに影響を与えるほどに達していないとなっています。
非常に簡単に言うとほとんど効果はないといえるのかもしれません。このアリセプトなどの治療薬は、根本的な治療薬ではないとか認知症の進行を遅らせることはできないといわれていますが、実は根本的な理由も存在します。
アルツハイマー型認知症を引き起こす原因として、1980年代に一世を風靡したのは「アセチルコリン仮説」という医学理論でした。これは認知症患者が亡くなった後に解剖して脳を調べてみると、アセチルコリンが健康な人より少なかったという研究結果を基にして生まれました。
しかしその後の研究がさらに進むと、アセチルコリン仮説は1990年代には勢いを失いました。この年代には電子顕微鏡の進歩によって認知症患者の脳に多い「老人班」の主成分はアミロイドであることが分かってきました。その結果、認知症の原因についての「アミロイド仮説」によって「アセチルコリン仮説」は駆逐されてしまったのです。
ところがアリセプトなどの現在の認知症薬は、すべてこのアセチルコリン仮説に基づいて開発されたものなのです。もちろん物忘れなどの症状にはアセチルコリンが関わっていると考えられますので、全く効果がないわけではありません。
しかし私が認知症になってもアリセプトを飲む気にはなりませんし、フランスの判断は妥当といえるのかもしれません。