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エネルギー代謝と太陽の光

2020-04-30 10:23:54 | 自然
寒さで震えるとき、脂肪細胞は体温を上げるために脂肪を燃焼しています。

このため効率のいいダイエットにもなるとされる「震え」ですが、この現象を追及するとヒトを含む哺乳類のエネルギー代謝には、「太陽の光」が重要な役割を果たしている可能性が浮上しています。

最近の研究で脂肪細胞によるエネルギー代謝に必須な二つの要素が明らかになり、ひとつがオプシンと呼ばれる光受容体と、特定の波長をもつ太陽の光としています。

この知見から現代病のメタボリックシンドローム(メタボ)なども、日光浴不足が原因のひとつである可能性が浮上してきました。ヒトの身体は長い年月をかけ、太陽光の下で進化し、光受容遺伝子であるオプシンもそのひとつです。

現在ほとんどの時間を人工照明の中で過ごしており、これは太陽光の完全なスペクトルを提供していません。ヒトを含む哺乳類には、光を体に取り込む仕組みがあります。

研究チームによると、これを可能にする光受容体であるオプシンは、目だけでなくさまざまなタイプの組織で見つかるようです。例えば皮膚や眼にある光受容体を介して取り込まれた太陽の光は、体内時計や視覚にまつわるものの調整に関わっていることが明らかにされました。

しかし現代人の多くは日中のほとんどの時間を屋内で過ごし、外では日焼け止めを塗り徹底的に日光を避ける傾向にあります。近年の研究でもビタミンDの欠乏や子供たちの視力低下は、日光浴不足による健康問題としています。

研究チームは、脂肪細胞で発現する光受容タンパク質遺伝子の役割を調べるために、マウスでの実験を行いました。マウスを4〜5℃の肌寒い環境において、震えが体温を温存する仕組みを確認しました。

遺伝子操作で光受容体(オプシン)を欠いたマウスは、熱生産能力が低下し、寒い環境で対照群のマウスより体温が低くなりました。さらに正常な光受容体を持つマウスでさえも、特定の波長の光への暴露が無ければ、同じように熱生産能力が損なわれました。

このことから正常なエネルギー代謝が起きるには、光受容タンパク質遺伝子と波長480ナノメートルの青色光が必須であることが示唆されています。また研究チームは、オプシンを欠くマウスは酸素消費量とエネルギー消費量が減少することも報告しています。

つまりこの光受容体および太陽光がなければ、メタボ特有の症状が現れるとしています。この研究結果からメタボ解消には日光浴が必要というのはやや飛躍しているような気もしますが、エネルギー代謝には太陽光のような完全な光が重要であることは確かなようです。

天気の良い日は、太陽光を浴びながら散歩するのは良いことかもしれません。


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