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コウモリはなぜ夜行性

2018-12-30 10:38:10 | 自然
コウモリは夜行性で夜狩りをすることが知られていますが、最近昼間に狩りをする珍しいコウモリが見つかりました。

これはマレー半島の東30キロの沖合に浮かぶティオマン島で、陸上を歩くナマズや空を飛ぶヒヨケザルなどたくさんの動物が暮らしています。この島では、数匹のブライスキクガシラコウモリが真昼に昆虫を追いかけて飛ぶ姿が観察されました。

昼間に活動するコウモリが見つかったのはこれが初めてではなく、昼行性のコウモリについて3件の例が報告されています。これらのコウモリはすべて「島」で暮らしているという共通性を持っていました。

これは進化における、コウモリはなぜ夜行性になったのかという謎を解く手がかりとなるようです。地球上に生息するコウモリはおよそ1400種で、果物や花の蜜、虫、ときにはカエルを食べますが、ほぼ例外なく夜間に狩りをします。

40年以上前から提唱されている仮説は、「コウモリは鳥に追われて夜行性になった」というものです。ツバメのようにコウモリと同じ獲物(昆虫など)を食べる鳥たちに追いやられる、あるいはタカやハヤブサなどコウモリを捕食する鳥に追いやられることで、コウモリが今の姿に進化した5400万年前には、すでに夜行性になっていたとする仮説です。

もう一つの仮説が、「コウモリは熱に弱いため夜行性になった」という説もあります。黒くて薄い翼が太陽光線を吸収しやすく、昼間外にいると高温になりすぎる恐れがあるというものです。

イギリスアバディーン大学の研究チームは、約30年前にコウモリの夜行性に関する研究を始めました。これらの仮説を検証するため、コウモリの天敵がいない、コウモリと獲物が競合する動物がいない島を探しました。

そしてポルトガルの西の沖にあるサン・ミゲル島を研究場所に選びました。この島には昆虫を食べるコウモリ、アゾレスヤマコウモリが生息し、昼間に飛ぶ姿がよく見られることが知られていました。

またこの島には競合したり天敵となる鳥がほとんどいないので、最初に調査する場所に適していると思われました。コウモリが夜行性である理由を理解しようとするには、昼行性のコウモリを観察して何をしているのか、何が起こっているのかを知る必要があるためです。

また1995年研究チームは高温説を検証するために、サモアに派遣し気温が上昇する日中に活動するサモアオオコウモリを調査しました。こういった色々な島での調査の結果、コウモリが夜行性になった原因は補色関係にあるという点が裏付けられました。

ただ難しい点としては、昼行性のコウモリが生息している島であっても、別のコウモリは夜行性の場合があったりします。結局コウモリは非常に高い適応力を身につけているという結論になっているようです。

私の家の近所でも小さな橋の上などで夜コウモリが飛んでいるのを見かけますが、昼はどこに隠れているのか面白いものです。


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