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健康のカギを握る「腸内細菌」

2021-01-23 10:24:06 | 健康・医療
最近は腸が免疫機能に重要な働きをしていることが色々と報告されています。

特に大腸内の細菌叢(マイクロバイオーム)が様々な病気の発生と関係していることが発表されており、メディカルノートに地中海食や免疫強化の話が掲載されていました。

まず地中海食の話ですが、この食事は果物、野菜、ナッツ、豆類、オリーブオイル、魚が豊富で、赤身肉と飽和脂肪酸が少ないことが特徴です。

この研究はアイルランド国立大学コーク校のチームが行ったもので、フランス、イタリア、オランダ、ポーランド、イギリスに住む65〜79歳の612人を対象にしています。試験開始前と開始12か月後に、通常の食事をとった人と地中海食を取った人それぞれの腸内細菌を調べています。

腸内細菌は種類が多い人の方が、より健康であると考えられています。その結果地中海食を取った人の腸内細菌の種類が、対象者に比べて多いことを見出しています。

地中海食を取った人は、高齢者の身体的、精神的な健康に良いとされている善玉菌が多く、一方で体に炎症を起こす悪玉菌は少ないと報告しています。さらに地中海食は体に良いとされる単鎖脂肪酸を作る善玉菌を増加させ、特定の胆汁酸を作る悪玉菌を減少させることが分かりました。

この胆汁酸は大腸ガン、インスリン抵抗性、脂肪肝の危険因子となることが知られています。もうひとつ腸内細菌とガンの関係に着目した研究が2020年3月に発表されました。この研究はテキサス大学サウスウエスタン・メディカルセンターなどの研究チームが行ったものです。

チームはマウスを使った実験で、ビフィズス菌に属する細菌は腸管免疫反応を活性化することによって、ガンを制圧することを見出しました。

これらの細菌を注入すると腫瘍の中に入って働き、CD47遮断免疫療法と呼ばれるメカニズムによって腫瘍細胞を消滅させると報告しています。

腫瘍細胞はCD47タンパク質を免疫細胞の膜に組み込むことで免疫細胞の攻撃を防いでいますが、ビフィズス菌がその過程を阻害するため、免疫が腫瘍細胞を攻撃する力を保てるようになります。

これは2018年のノーベル賞で話題になった免疫チェックポイント阻害剤と同じような働きと考えられます。研究チームはさらにビフィズス菌に反応しないマウスを反応するマウスと同じケージに入れると、やがて反応するようになることも見出しています。

このように地中海食を取り入れたり、ビフィズス菌を増やすことによって健康に大きな影響を与える研究が盛んに行われています。

腸は思っている以上に大きな働きをしているようですが、暴飲暴食をしない程度でも十分良い働きをしてくれるような気がしています。


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