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科学は3つの手法に分類

2019-06-16 10:23:29 | その他
私は長いこと研究者としてやってきましたが、科学の世界には3つの手法があるという記事を見ました。

それが「実験科学」、「観察科学」、「理論科学」という分類になります。このうち実験科学が最も研究者が多い分野かもしれませんし、私もこれをやってきました。

半導体を開発したり、医薬やバイオの研究をしたりする人は大体実験科学と言えます。実験科学ではまず仮説を立てますが、私の場合はAとBを反応させるとCができるのではないか、さらにCはある病気に薬理活性があるのではないか、といった仮説になります。

その仮説を検証できそうな実験を考え、試してみて仮説が正しいかどうかを検証します。観察・推論・仮説・実験・検証・考察といった手続きを繰り返して、新たな理論や現象を発見しようというのが実験科学です。

次に観察科学は、人類が誕生する前に起きたことなど、実験したくてもできない研究対象の場合有効な方法となります。

たとえば崖の地層からサンゴの化石を見つけたとします。すると観察科学者は、この石ころから大胆な仮説をたてます。「この辺りは20万年前は、暖かい海の下だった」というようなものです。

これはあくまで仮説であり、おかしな所があるかもしれませんが、観察科学とはそいうもののようです。この検証は自分でするというよりは、他の人がみつけた化石に対する仮説と戦うことによって成り立ちます。

この論戦により矛盾がある場合は、両方をうまく説明できる新たな仮説を作り出すわけです。これをいくつも繰り返すことによって、たぶん真実に近い仮説が出来上がっていくのが観察科学と言えます。

堆積岩などが形成されるには、何億年もの時間をかけて、熱と圧力をかける必要があり、こんな実験をしたくてもとてもできません。そこで観察科学では、石ころひとつから物語(仮説)を作り出し、物語同士を戦わせ新たな物語を作り出し、生き残った物語を「理論」として採用しています。これはあくまで当面は正しいと仮置きしたものとなります。

もう一つの分類が理論科学で、これは宇宙論や素粒子論などの理論物理や数学がこれに当たります。これはあくまでも論理を論理でつなげて、新たな論理(理論)を作り上げていくものです。

この分野は、疑いようのない確かさを基礎にして、数学を使って論理を伸ばしていく作業と言えます。実験するには小さすぎたり、大きすぎたりするものを対象とし、何億光年も離れた天体を論じたり、原子より小さい素粒子のことを語れるのは、数学的に導くことでできた「推論」だからです。

この様に分類していますが、どの科学においても仮説・推論をいかに面白く出すかは同じような気がします。


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