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血液をサラサラにする薬「アスピリン」の有益性

2023-01-18 09:23:56 | 
1世紀以上も前から使われている「アスピリン」ですが、アメリカでは信じられないような量が販売され、万能薬的な役割を果たしているようです。

日本では解熱鎮痛剤として有名ですが、近年血液をサラサラにする薬として認知され、心血管疾患にも処方されています。

心血管疾患には、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、心不全、末梢動脈疾患などがあり、死に至ることも多く後遺症で不自由な生活を強いられる原因となります。

心血管疾患の予防は、対象となる患者が心血管疾患にかかったことがあるかどうかによって区別しています。

既往歴がない人に対して今後も心血管疾患にかからないように予防することを「一次予防」と呼び、既往症がある人に対して再び心血管疾患にかからないようにすることを「二次予防」と呼んでいます。

簡単にいえば一次予防は病気にならないようにすること(生活習慣の改善、予防接種)、二次予防は病気の早期発見・早期治療し重症化しないようにすること(健康診断、保健指導)となっています。

予防や治療の基本は生活習慣の改善ですが、薬物としてはアスピリンとLDLコレステロール低下のためのスタチン剤が通常使用されます。前述のようにアスピリンは血液成分のひとつである血小板の凝集を抑える抗血小板薬としての作用があることが確認されています。

特に一次予防の場合はアスピリンのみを抗血小板薬として処方されることが多いようです。ただし高齢者でのアスピリンの心血管疾患への一次予防と害については、二次予防よりもエビデンスが乏しく若干混沌とした状態が続いています。

これについてはタスマニア大学の研究チームが代表的な臨床研究を行い、2018年に発表しています。これは健康な高齢者への低用量アスピリン投与の効果を、(1)障害のない生存期間、(2)心血管イベントと出血、(3)死亡、について調べたものです。

その結果、健康な高齢者への投与は障害の無い生存期間を延ばさず、心血管疾患の減らさず、大出血のリスクを増やし、ガンによる死亡を増やすという完全に否定的なものでした。

その他いろいろあったのですが、明らかになったことはアスピリンが両刃の剣だということで、これは「アスピリンのジレンマ」と呼ばれています。

もちろんこの後もアスピリンが心血管疾患予防に有効という研究結果は多数出ていますが、アスピリンの使用には注意が必要ということかもしれません。

少し前からアスピリンが各種のガンにも有効という話しも出ており、ますますもてはやされているようですが、こんなジレンマなどといわれているのは、それでも人気がある証拠なのかもしれません。


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