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新型コロナの人工中和抗体を作製

2021-06-20 11:12:16 | 健康・医療
現在新型コロナのワクチン接種が高齢者から始まっていますが、はたして7月末までに終わるかどうか危しいとおもっています。

ワクチンはいわゆる「擬似感染状態」を作り出して、体内で中和抗体を作るという技術ですが、これを人工的に作り出すことに成功したと、広島大学の研究グループが発表したという記事をサイエンスポータルが掲載していました。

新型コロナウイルスに感染した患者は、体内でウイルスに結合できるさまざまな抗体が作られますが、再び侵入しようとするウイルス抗原に結合して再感染を防ぐ力を持つのが中和抗体です。

中和抗体を人工的に作れば治療薬に使えるため、海外では人工抗体を投与する臨床試験が進められています。広島大学の研究グループは、新型コロナウイルスに感染、回復した重症度の異なる23歳から93歳までの約20人の患者を対象に血液を採取し、血清中に含まれる抗体を分析しました。

その結果感染から2週間以上経過した患者は、IgGと呼ばれる抗体を獲得していました。その4割はウイルスを中和する活性が弱いか、検出感度以下だったようです。重症者と軽症者を比較すると、重症者の8割が中和抗体を獲得していたのに対し、軽症者では2,3割に留まっていました。

この辺りはやや不思議な気がしますが、感染して回復したということは中和抗体によって増殖を抑えるから回復するという経過を経るはずです。つまり重症、軽症にかかわりなく抗体はできているはずですので、ややここの意味が分かりません。

これらの結果を受けて研究グループは、独自に開発した技術を活用しました。感染から2週間以上経過した重症患者の血液から中和抗体を作る免疫細胞を選別・分離し、これらの免疫細胞から抗体を作る遺伝子を取り出して増幅し、中和抗体を人工的に作製することに成功しました。

さらにこれらの人工抗体から、従来の新型コロナウイルス(従来型)に強く結合する32種類の人工抗体を最終的に選び出しました。解析の結果選抜した人工抗体の97%は従来型だけでなく英国型のウイルスにも強く結合しました。

ワクチンの効果を下げる可能性が指摘さている南アフリカ型にも63%が結合しました。この人工抗体を治療に使用するためには新たな臨床試験を含めて、多くの実験が必要となりますが、確実に効果が出る方法として期待されます。

現在進んでいるワクチン接種は、ウイルスの外套タンパク質に対する抗体を作り出すためですので、こういった人工抗体の必要性は少なくなってくるのかもしれません。

しかしワクチンを接種しても抗体ができにくい人などもいるはずで、その治療法として準備しておく必要はありそうです。


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